軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第278話

料理を少しずつ皿に取り、それぞれの神様にお供えしたら試食が始まる。 三毛皇(みけおう) さんに届けるわらび餅はもう少ししたら作ろう。

「この半生卵は?」

「蝋が溶けるくらいの温度で保温して三十分ほど浸けておくと出来ます」

「それで保温の魔道具を使っていた訳か…」

「これは好みが分かれる」

「私は黄身を潰して白身と混ぜるのが好きかも」

「俺は白身が不要だな」

「サラダのトッピングですが、この玉子に【粗相豆】を掛けても美味しいです。勿論、塩でもいいですけどね」

「面白いな」

「これはパスタに乗せてもよさそうだね」

「してこの半生卵の名前は?」

「【のぼせ玉子】ですかね? 熱めのお湯で長湯してのぼせたイメージです」

やはり温泉玉子は好みが分かれるか。

「【お花サラダ】は砕いた茹で玉子がオシャレで上手いな」

「店だったら最後の茹で玉子をザルで潰す作業を客にさせても面白いかもしれないね」

「名前は【 花卵(はなたま) サラダ】かな?」

「【サルファサラダ】というのも」

「そのサルファって硫黄花のイメージだよね?」

「そうだな」

「うーん、微妙」

ホーク=エーツさん的には温泉玉子の作り方や、ピーラーを使えば髭の生え揃う前の幼ドワーフでも簡単に【 王芹(セレリィ) 】の筋取りや【茄子花芋】の皮剥きが出来ることが興味の対象になったみたい。【シュパー】を売り出す時に “ 子供でも楽々 ” という事は大事なアピールポイントになる訳だしね。

後は大振りな【蛇魚】類の骨切り作業が気になって仕方なかった模様。以前より口当たり良く食べやすくなったら人気が出て流通量も変わってくるだろうし。

「ポタージュも美味しい。【海蛇魚】のスープも切り身のツルンとした口当たりがたまらないね」

「フワフワだな」

「デンプンをはたいて湯がいたからツルンとするのだな」

「エールもいいが『 生命之水(蒸留酒) 』の方が合うと思う」

「ホーク=エーツさん、ワートをどうぞ」

「あっ…アッシュ=ラックさん、ありがとう」

「じぃじがホーク=エーツさんにはワートを渡してあげなさいって」

にっこり微笑みながら冷たいワートを手渡すアッシュちゃん、マジで可愛い過ぎる!! マジ天使。

「【海蛇魚】のタレ焼きは【蛇魚】よりアッサリしてるのう」

「そうですね」

「牙の有る無しで味もだいぶ違うものだ」

「タレ焼きはスネちゃんが最高かー」

「今日用意出来なかったのが残念ですね」

「【蛇魚】のタレ焼きを作ることがあったら連絡してくれ」

「分かった。『スリーストライプ』の商業ギルド宛でいいか?」

「それで頼む。お賽銭を払いに来るからな」

「おいおい」「本気で?」「クスクス…」 呆れ声やら笑い声やらが口々に飛び出す。

「この【 強情菊(ゴンボ) の根】と【食用マンドラゴラ】の炒め物もタレ焼と似た味付けなんだ」

「古代エルフの伝統料理は塩味でしたけど」

「これは野菜料理でも儂好みじゃ」

「わたし、じぃじの為に作ります。ミーシャねぇね、作り方を教えてください」

「教えてあげるけど、【 強情菊(ゴンボ) の根】の値段が高かったよ」

「そうなんですか…」

「種を購入できんかのう?」

「種…ですか?」

「畑で育てればよいのじゃよ。そこまで立派にそだてなくとも若い根なら早く収穫できるじゃろ?」

「そうですね。年明けには【粗相豆】の栽培も始まりますし、【粗相豆】を使う料理の食材を増やしておくのはいいことかもしれない。少し残しておいて下さい。支部長に試食してもらうので」

まさかのゴボウ栽培計画。俺の金貨一枚は無駄ではなかったということだな。

「この唐揚げ、お魚とは思われないくらい美味しい!!」

「肉に負けていないな」

「カーン兄貴にどう報告しよう…」

「どうって?」

「これ、ミーシャ宛のイヤガ……お土産だったんでしょ? 皆で食べたけど最高だった、って教えていいものやら…」

あ、そういう事ね。イヤガラセのつもりだったのに皆で美味しく食べたからなぁ…。

「だったら基本の唐揚げと、残ったタレ焼きのタレに絡めたものにマヨネーズを添えたもの、二つの料理を渡して差し上げればいいかと思います。今日の試食会にもお誘いしたんですけど、ラルフロ=レーンさんと打ち合わせがあるからって断られちゃいましたし」

「えっ、そうなの?」

「はい」

「そうだったのか…。だったら兄貴を羨ましがらせようか。【大蛇魚】料理を少し貰うね」

「ミーシャちゃん、今言ったアレンジなんだけど、私達も食べていいよね?」

「勿論ですよ。唐揚げは沢山ありますし」

テリヤキ味にマヨネーズ、最強タッグだからなぁ…。その間にわらび餅だ。

デンプンと水を鍋に入れ、ゆっくりと加熱していく。水の量はデンプンの五倍くらいで。次第にかき混ぜるヘラが重くなってくる。透明感が出て艶を感じられる様になったら完成。本当はバットに移して冷やしたいところだけど、生憎ここには無いので鍋のまま冷やす事に。鍋底を水を張った桶に当てるだけ。水が温くなったらパイク=ラックさんに冷やしてもらうんだけどね。

「唐揚げをこのタレに絡めてマヨネーズをつけたものをパンで挟んだら凄く美味しい!!」

「これは美味い」

「あ、【 緑白(りょくはく) 葱】の白いところを糸みたいに切って、それと食べても……、今切ります」

焼き鳥をするかもしれないかと思ってネギを用意していたけど柳川鍋にしか使ってなかったし。こんな時は白髪ネギだ。ネギ焼きを作ってもいいけど。

「葱がガルシア翁の様に……」

「葱もガルシア化するのか!?」

でたー、ガルシア翁!! って、白くてモジャモジャした物全てをガルシアさんの名前で例えていいものなの?

「ちょっと待って!! ガルシア葱は……支部長呼んでくる」