軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第237話

(共)「こっ、これは……」

(共)「ヤバいな」

(共)「エールを飲むのを忘れてしまったよ」

(共)「もうぶつ切り煮込みは食べられない」

(共)「【筏焼き】じゃな」

(共)「あっ、タレを付けないまま、白焼きで食べたりもします」

(共)「【蛇魚の筏タレ焼き】か?白焼きは【蛇魚の筏白焼き】だな」

(共)「スネちゃん、一瞬で終わっちゃったな…」

だって鰻は一匹だけだもんなぁ。六人で食べたらそりゃあ一瞬で無くなるよ。一人一尾は食べたい。それが無理でもせめて半尾くらいは……ねぇ。

(共)「あの、焼き鳥…、鶏肉串の準備がしてあります。鶏肉と葱の交互串と鶏皮の串です」

(共)「それも同じタレ焼きか?」

(共)「はい。焼いて浸して焼く…です。エールと合います」

(共)「俺にも焼かせてくれ」

(共)「ガルフ=トング、勝負するか?」

突如始まった大小鍛冶師の焼き鳥対決。どちらが勝つ負けるではなく、どちらも焼きが上手なんだけど。

(共)「【 緑白(りょくはく) 葱】が美味いのじゃ」

(共)「ミーシャちゃん、このタレの作り方宜しく」

(共)「パリパリに焼けた鶏皮にこのタレ!!」

(共)「忘れないうちにレミ神とチャン=ポーン神にもお供えをです」

(共)「いかんいかん」

(共)「これは『ブルー=フォレスト』でも人気になりそうだよ。【つゆ豆】の事を長に伝える件、これは責任重大だね」

皆でエールを楽しみながら焼き鳥を食べる。焼き鳥屋っぽくていいよね。そして何か大事なことを忘れていた様な……

(共)「このタレは他の食材にも合うのか?」

(共)「はい。他の魚介にも合いますし……あっ、思い出した!!」

(共)「何じゃ何じゃ」

(共)「ボク、オロール先生にプレゼントしようと思っていた【サモン】の頭を渡すのを忘れてました」

(共)「まさか塩漬けの?」

(共)「それです。【サモン】屋さんからオマケしてもらったんです」

「わい〜、 氷頭(ひず) だってば。煮てかねばな」

訳:(あらあら、塩漬けの【サモン】の頭だよ。煮て食べたいねぇ)

(共)「オロール先生、共通語、共通語!!」

(共)「あ、悪い悪い、つい興奮してしまってね…」

美味しい焼き鳥を食べ、エールを飲み、オロール先生のうっかり古代エルフ語に笑っていたその時、ドンドンと激しくドアを叩く音で俺たちは現実に引き戻された。

ドンドンドンドン、ダンダンダンダン

「ミーシャ=ニイトラックバーグ!! 開けろ、開けてくれ!!」

(共)「はい?」

「ホーク=エーツだ。緊急事態……げほっ ……、いいからドアを開けてくれ!!」

鍵は開いてるんだけど……

「ホーク=エーツ、落ち着け!! 鍵は空いてる。入ってこい!!」

「おっろ〜、どんだんずや」

訳:(おいおい、どうしたんだい?)

皆慌ててるので素の言語になる。緊急事態って一体何が起こっているの!?

「ミーシャ=ニイトラックバーグ、コレは一体どういう事なのか?」

「ホーク=エーツ落ち着け。そして共通語で喋ってくれ。オロール女史に伝わらん」

「まぁ一口飲むのじゃ」

パイク=ラックさんが冷えたエールを手渡す。いっ…いいの? 相手はホーク=エーツさんだよ?

(共)「あっ、…い、今ここで何を焼いて…???」

(共)「何って【蛇魚】と鶏肉串だが」

(共)「嘘、マジで? マジか?」

(共)「落ち着け、水でも飲め」

(共)「ゴクッ………ふぅ 煙はともかく、何あの香ばしい匂いは!! ギルド中にあの香ばしい匂いが広がってきて、職員がパニックになってる。いや、職員以外も居たかも」

(共)「あっ、窓を開けたから…」

(共)「俺のデスク周りが大惨事だったんだよ。香ばしい匂いと煙とが部屋に侵入してきて、週末の終業前に何であんな魅惑的な匂いがするんだって……大騒ぎになった」

(共)「いや、美味かったぞ」

(共)「それは聞いてない。それで、ギルド支部長や受付が「今の匂いは一体!?」って問い詰められてて、仕方ないから「古代エルフの調味料の実験」って支部長が誤魔化してたみたいだけど……」

(共)「まさか匂いだけで…」

(共)「幸い、三時の区域にまでは匂いは広がらなかったみたいだけれど、ギルド内は大騒動だ」

(共)「市場や屋台の有る方にスネちゃんを焼くあの香ばしい匂いが広がっていたら……」

(共)「暴動が起きるかもな」

(共)「それで、レシピの確認だ。何を使って何を焼いた?」

(共)「最初に【蛇魚】を【粗相豆】と水飴と、水で割った『 生命之水(蒸留酒) 』を合わせたタレを付けて焼きました。次に鶏肉と【 緑白(りょくはく) 葱】を交互に刺した串と鶏皮の串を同じタレを付けて焼きました」

(共)「それだけ…なのか?」

(共)「それだけじゃよ」

鰻を焼いただけなのに……。いや、鰻を焼いたらどうなるか想像しきれてなかった俺のミスだな。

(共)「そのタレの残りがそこの壺に入っているぞ」

(共)「ペロッ… これは先日の【 穂先(ホ) 黍(キビ) 】焼きと同じ……いや、こっちの方が脂と旨味が濃いな」

(共)「失礼、入るぞ」

そうこうするうち商業ギルド支部長さんがやってきた。

(共)「まさか、こんな大騒動になるとは…」

(共)「支部長さん、ごめんなさい」

(共)「いや、許可を出したのはこちらだからな。謝る必要はない。それに古代エルフの調味料を使った料理の試作だと説明したから そ(・) れ(・) を寄越せとはならないだろう」

(共)「ちょいと珍しい物を誤魔化すのに “ 古代エルフ云々… ” は昔から使われている便利な方便だからね。上手く使っておくれ。私も移動の手配が完了したら『ブルー=フォレスト』に直ぐ向かうからね。今は同伴転送の準備待ちだよ。後は【 運魔(ウマ) 】をどうするか…」

古代エルフあるあるなのか…。確かに不思議な案件には古代エルフが絡んでいそうだ。

(共)「商業ギルド支部長、これが新しい包丁なんだが、【蛇魚】系の魚を捌くのに特化させた」

(共)「取り敢えず預かっておこうか」

やはり鰻の蒲焼きは危険な香りだった…。