軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第158話

パイク=ラックさんに 三毛皇(みけおう) さん宛の手紙を預けた。なぜ俺は異世界で日本語で書いた手紙で文通をしているのだろう? それも文面は時代劇によくあるセリフだよ。

ドワーフと猫獣人が日本語で時代劇のセリフを文通……うん、謎だ。

「ミーシャちゃんの鉱石コレクションが気になるな」

「ボク、良いもの持ってないですよ」

「いやいや、ゴミの中にお宝が潜んでいることもあるのよ。ミーシャちゃんにとって他愛も無い品でも私にとって超お宝な事も有るからね」

押し切られて手持ちの鉱石を見せることになった。流石に、お試し的な意味で寮費を日割り支払いして使わせてもらっている学生寮の部屋に貴重品を置きっ放しにする勇気はなかったので、重いけど持ち歩いている。服とか嵩張るものは流石に置いてきたけど。

「おおっ、【黒薔薇】に変身中の石だ。えっ!? これ【 星留(ホシル) 】じゃない? ここの端っこ菊花してるよね? やばーい、ミーシャちゃん、それお姉ちゃんに売らない?」

アリサお姉ちゃんがサンゴの化石を見るや否や鼻息を荒くして迫って来た。 化石(フォシル) じゃなくて【 星留(ホシル) 】なのか。

「あ、やっぱり【菊花・ 星留(ホシル) 】で間違いなかったか。使えそうなのか?」

「使える使える。これなら一回だけ立派に昇天させられる。ちゃんと菊花が出てるから『菊花葬送』が発動するよ」

うん、話が全く見えない。話しの断片から分かることは、菊花部分は間違いなくサンゴの化石で、あと昇天とか葬送とか言ってるから浄化関係に使うのかな?

「アリサお姉ちゃん、ボク、話が見えないんだけど…」

「ゴメンゴメン、【菊花・ 星留(ホシル) 】を探してたから興奮しちゃったの。これは『 死者送還(ターン・アンデッド) 』が打てる魔道具の 核(コア) に使うんだ。聖職者の使うスキルと違って『葬送』系の魔道具って単発発動だったり使用回数があったりでね。それってぶっちゃけ使い捨てでしょ? 本格的に討伐に行く訳じゃないから複数回使える魔道具を買うのが勿体ないんだよね…。【桜花・ 星留(ホシル) 】は対アンデッド攻撃用で、【菊花・ 星留(ホシル) 】は対アンデッド送還用だよ。他にも色んな【 星留(ホシル) 】があるけど、よく使うのはさっき言った二種類かな」

なるほど。古代の死骸が固定化した化石を使い、比較的新しい死骸で固定化していない 不死者(アンデッド) を消滅させるのか。それ、何だか面白いな。

「魔道具の 核(コア) ということは、魔道具製作の職人さんに発注ですか?」

「【桜花・ 星留(ホシル) 】だったら武器扱いになるからリンドでも作れなくはないけど、【菊花・ 星留(ホシル) 】は魔道具職人か錬金術師に製作依頼だね。間違ってもヒト族の聖教会に持っていっちゃ駄目だからね」

「持っていったらどうなるの?」

「お布施扱いというか、 昇天献上(打ち上げ花火) されちゃうね。『 魂矢(たまや) 』〜!! って天に向かって打たれちゃう」

「うわ、それは勿体ないかな」

「それより、その【菊花・ 星留(ホシル) 】どこで見つけたの? ミーシャちゃん探索も採集もしたことないんだよね?」

「実は……」

『ビレッジアップ』の露店で見つけた掘り出し物だった話をしたらグッジョブだと褒められました。価格も俺が磨いたこの研磨状態なら銀貨六枚〜金貨一枚くらいで取り引きされるんだとか。勿論、菊花の部分が完全状態だったり複数の菊花が出ていればかなりのお値段になる。

「研磨ノートも付け始めていて、これがそのノートです。あとこの【 星留(ホシル) 】は

ボク的にはまだ研磨途中なんですけど…」

「だったらそのノートごと魔道具職人のところに持っていこう。この状態で 核(コア) として使えるのか、追加で研磨した方がいいのか教えてもらうといいよ」

とまぁ、『 死者送還(ターン・アンデッド) 』の魔道具が欲しいアリサお姉ちゃんに強引に魔道具職人の工房に連れて行かれることになった訳です。保護者?としてリンド=バーグさんも付いてくる。多分俺の保護者じゃなくて、アリサお姉ちゃんの暴走を阻止する為の保護者に違いない。

「頼もーう!!」

アリサお姉ちゃん、それは道場破りの挨拶です……。

「誰だ!!」

「『地底 娘(こ) 』の 右の特攻隊長(ライトウィング) ・アリサ=ランド、ここに見参!!」

「あー、 大(おお) 鍛冶師の鐘割り嫁か……上がっていいぞ」

何だろう…、これが冒険者の遣り取りなのか!? それより鐘割り嫁って???

「鐘割り言うな!! 折角、魔道具の依頼に来たというのに……」

「それならそうと早く言ってくれ。最近仕事が少なくてエールを飲む小金が足りねぇのよな」

隣を見たらリンド=バーグさんが苦笑いしているし。

「その見ない顔のドワーフは?」

「初めまして、ボクはミーシャ=ニイトラックバーグといいます」

「ミーシャちゃんはリンドの庇護養子だよー。で、私の妹分なのだ」

「嬢ちゃん、悪いことは言わないからな、そこの鐘割り嫁の妹分になるのは止めとけ」

「こいつはラルフロ=レーン。ガラス職人の家系に生まれて錬金術師になるのを夢見ていたのに気付けば魔道具職人になっていた変り種だ」

「変り種言うな」

「ここ『スワロー』にいる魔道具職人の中でもトップクラスで腕はいいからな。魔道具製作を頼むならここが一番だ」

「よせやぃ、褒めてもエールは出ないぞ」

うーん、何だか不安になるんだけど……。