軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

631.体調が悪かったのね

レオンとランドルフは猫に会いに行った。一緒に行くと駄々を捏ねて、リリー付き添いのローズも向かう。マーサがいいと口にしたけれど、すぐに俯いた。自分が傷つけたことを思い出したのね。

「マーサは大丈夫よ。今日と明日はお休み。二回寝たら、次の朝には会えるの」

明後日と表現しても理解できないと思う。ローズはじっと手を見つめた。その目の前で、指を一本、二本と畳んで見せる。同じ仕草をしたローズがこくんと頭を縦に揺らした。

「ろじぃ、手つなぐよ」

レオンがにこにこと手を差し出し、ローズは嬉しそうに指先を重ねた。しっかり握り、二人で歩いていく。後ろからランドルフが追いかけ、一礼したリリーが見守った。猫の脱走はシロが常習犯で、捕まえるのが得意なランドルフが同行すれば平気ね。

ヘンリック様を見送った玄関ホールで、二階へ向かう階段を見上げた。いま、二階の部屋を使っているのはユリアーナだけなの。見晴らしがいいのと、未婚の貴族令嬢だから。年齢差が大きくても、夫ヘンリック様や公爵令息ランドルフと一緒は避けた。

フランクの提案だけれど、なるほどと思ったの。間違いの有無ではなく、外からどう見えるかが重要だわ。変な疑いを向けられないよう事前に手配するのも、家令のお仕事だとか。気を遣ってばかりで大変よね。

本来は公爵家の家族が二階を使い、客人や預かりのユリアーナとランドルフが一階なのよね。私がレオンの安全を考えて一階を選んだ過去を思い出しながら、一段ずつ踏みしめて登る。

部屋の扉をノックしてから開く。もし寝ていたら後にしましょう。こそっと覗いたら、起きていた。ベッドに座ってぼんやりしている。

「ユリアーナ、入るわよ」

声を掛けて入室し、ベッドサイドの椅子に腰かけた。ユリアーナはベッドヘッドにクッションを置いて、寄り掛かっている。腰から下は上掛けに覆われているけれど、上着を羽織っていなかった。寒くないのかしら? 心配になり、畳んである上着を手に取る。

「寒くないの? 羽織ったほうがいいわ」

話しかけながら触れた私は、びくりと肩を震わせた。すごい熱じゃないの!

「熱があるわ!」

「……え?」

ぼんやりして気づいていない様子。これは重症だわ。すぐにベッドサイドのベルを鳴らし、侍女を呼んだ。駆けつけた侍女にてきぱきと指示を出す。額を冷やす水とタオル、上掛けの追加と部屋を暖める暖炉の準備。それから医者の手配よ。

昨日、マーサを診てくれた医者がすぐ来るはず。横になるよう指示をして、果物をすりおろすよう伝えた。この熱では食べないかもしれないけれど、体力を維持するためにも食事は大切だわ。あたふたと準備を整えた。

風邪だと思うけれど、子供達と部屋が離れていてよかったわ。うるさくて眠れないこともないし、うつる心配もない。言われるまま素直に横になったユリアーナの手を握りながら、私は久しぶりに妹の看病を始めた。