軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

451.二つに分かれる道 *** SIDE公爵

妻アマーリアは優しい。ひどい失態を犯しても、多大な迷惑を掛けられても、反省したら許そうとする。俺はそんな彼女に救われた。

だが、今回のヘルダー伯爵家の件はダメだ。介入すれば、バルシュミューデ公爵家の顔を潰す。友人同士でも、さすがに笑ってやり過ごすのは無理だろう。だから釘を刺した。可哀想に思っても手を出すな、と。

アマーリアはゆったりと頷く。理解していると示す眼差しに、ほっとした。

ヘルダー伯爵家の三男は、すぐにでも放逐するしかない。家族の情を切り捨てること、伯爵家が没落を免れる唯一の手段だった。腹を痛めて産んだ我が子を諦める決断は、母親には酷だとわかる。それでも貴族夫人であるなら、残された二人の息子と家を守る決断をするべきだ。

アマーリアの髪は柔らかな色をしている。ぎらぎらした金髪ではなく、艶があるのにしっとりと淑やかな感じだった。まるで彼女の性格を示すように、金髪は主張しない。

美しい妻や可愛い息子に、同じ判断をさせてはならない。強くそう思った。俺の手を汚すことになろうと、二人は綺麗なままでいてほしい。

「バルツァー子爵夫人はどうなさいましたの?」

アマーリアは不在の子爵夫人について尋ねた。元騎士だった奥方なら、寝込んだのではないと思うが。

「先日、新しい馬を手に入れまして。実家まで遠出しております。ハンスが出ると言ったのですが、勝つのがわかっている試合を観るより馬の方がいいと」

苦笑いして語尾を濁した子爵は、やれやれと首を横に振る。それでも緩んだ口元は、妻への愛情を滲ませていた。男爵家の夫妻は、仲良く話すオイゲン達三人を見つめる。その眼差しは柔らかく、息子への愛情を感じさせた。

どの家も、貴族だから家を優先する。だが、家族も大切なのだ。それでいい。過去には理解できなかった感情が、鮮明に把握できた。遠い世界の出来事と感じた愛情も、今は身近に存在する。

「バルツァー子爵家とシラー男爵家については、もう禊も終わった。反省したご子息を大切にすればいい」

言葉の外で「ヘルダー伯爵家は別だ」と滲ませた。もう関わるな、あの家を庇えばお前達も引きずられる。警告に、はっとした顔の三人は、しっかり頷いた。

気づけば、五人の少年は笑顔で雑談に興じていた。レオンは眠いのか、欠伸をしながらアマーリアの腕の中だ。重いだろうと手を伸ばし、レオンを受け取る。少しぐずる様子を見せたが、抱いて密着していると眠ってしまった。

この子が大きくなった時、俺は必ず味方になろう。アマーリアの育てる子が、嘘をついたり人を貶めたりするはずがない。それでも道を踏み外したら、叱って償う方法を一緒に模索する。この手を絶対に離さない。

家を守ることより、その方が重要な気がした。貴族家の当主としては失格だが、元から夫や父親も失格だった俺だ。今さらだな。