軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

399.今日は皆がおかしいわ

フランクを伴ったヘンリック様は、なかなか戻ってこない。着替えに行ったのよね? でも覗きに行くのはちょっと……。それに、いつもは同行して手伝うベルントが残っている。

「ねえ、ベルント。ヘンリック様はどうしたのかしら」

「着替えに手間取っているのかもしれません。先に食堂へ向かわれてはいかがかと」

「そう」

手間取っていると言いながら、ベルントは向かわない。これが答えなのね。何か話があるのでしょう。大事なことなら、後で私にも教えてくれると思うわ。そのくらいの信頼関係は築いたはずよ。

「レオン、食堂へ行きましょうか」

「おと、ちゃまは?」

「まだお着替えしているの。お座りして待ちましょう」

「うん」

自分で歩くと主張するレオンと手を繋ぐ。握った手を揺らしながら、元気に歩くレオンと歩調を合わせた。小幅に踏み出す私は、思わぬ結果に頬を緩めた。これだとスカートが揺れないのね。ドレスの時に応用しましょう。

なんだか着物みたい。ふと浮かんだ前世の記憶に、あれはドレスの代わりになるか考え始めた。ああ、だめね。私は着付けができないもの。着用方法を教える技術がなかった。そもそも着物の構造がよくわかってないので、似たような形の洋風ドレスなら出来るかも。

考え事に囚われて、食堂の前を通り過ぎそうになった。

「おかぁ、しゃま……ここ」

立ち止まったレオンが引っ張らなければ、どこまで行ったか。恥ずかしくなる。

「ありがとう、レオン。あら、お父様達は?」

侍女リリーも声掛けをしたと報告を受ける。今日は離れで過ごすと言われたんですって。何かあったかしら。お母様の命日でもないし、誰かの誕生日も……違うわね。それなら私も誘われるでしょうし。

不思議に思いながら、用意された椅子に腰掛ける。レオンは自分で座ると主張して、私の膝に乗ってくれなかった。軽い膝の上を手で撫でて、少し寂しいと感じる。成長の証なのに、抱っこしたかったなんて。贅沢な考えね。

クッションをいくつも重ねた上に座り、レオンはご機嫌だった。不安定だから、平らなクッションを作るよう提案する。お裁縫専門の下女がいるので、伝えてもらう。絵を描いて指示したが、マーサもリリーも首を傾げた。

口頭でさらに追加説明をして、ようやく形が伝わる。ドレスがあるのだから、立体縫製も存在した。円柱型のクッションが出来るまで、レオンには我慢してもらいましょう。

「待たせて済まない。義父上殿は……どうした?」

「何か予定があるようで、今日はご一緒できないと連絡がありましたの」

私も事後報告だった。笑いながら付け加え、食卓を囲む。満面の笑みで頷きあうフランクとベルント。そわそわして落ち着かないヘンリック様。可愛いレオンも膝に乗ってくれないし、今日は皆の様子がおかしいわ。

ちょっと不満に思いながら、レオンの千切ったパンから食べ始めた。