軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話 アルフレッドの嫁候補

王都へ向かう馬車の中、向かう場所へ思いを馳せます。

数々のことが起こる王都はどう変わっているのでしょうか。

王妃様からの急な手紙には戸惑いもありますが、かえってよかったのかもしれません。わたくしが王都に行く理由になりますので、お母様の体調などをごまかさずに済みます。

馬車の中向かいに座るアルフレッドは何処か物憂げです。

「何か気になることでも?」

時勢が刻々と変化していく日々の中で思うことは、たくさんあるでしょう。アルフレッドが気にするところはどういったことでしょうか。

「あの、先日話していた事で詳しく聞きたいことがあるんですが。」

「何かしら?」

「俺の縁談の話です。」

そういえば詳細を本人に話したことがございませんでした。

大した話ではありませんが、良い機会ですからお話ししておきましょう。

「候補の中にエリザベスちゃんが入っていることは知っているでしょう?」

「それは知ってます。アーサー兄さんから聞きました。」

アルフレッドの言う兄さんとは、彼の実兄ではなく、従兄弟である夫のことです。

アルフレッドはエリザベスちゃんが後を継がなかった時の跡取り候補でもありますが、婿候補でもあります。

エリザベスちゃんが領地を継ぎ、婚姻したい方がいなかった場合、アルフレッドが婿となる予定です。

もちろん、エリザベスちゃんも存じておりますし、アルフレッドがこれを了承したから我が家でもらいうけたのです。

婚姻がどうなるか未定ですので養子縁組こそしておりませんが、アルフレッドはこれから先、ギルシュに連なることが決まっております。

「出発前に屋敷で言ってたのはエリザベス以外に候補がいるってことですよね?」

「えぇ。今のところは二人ほど。」

「二人…それって…」

なぜかそこで一旦黙ってしまいます。

「ちなみにどんな場合に婚姻する、みたいな条件は決まってます?」

「領外との婚姻をそこまで重視する必要がない、と判断したときです。」

領を治めるには領内だけでなく他領との繋がりも大切にしなければなりません。その天秤は時勢によって変わります。

アルフレッドは分かっている様子です。目で頷いて先を促してくれます。

「一人目はラナ・ギルシュ男爵です。」

「それってドードラのですよね?」

「えぇ。ラナとの婚姻はエリザベスちゃんが領主を継がなかったときを考えています。アルフレッド、あなたがギルシュ家を継ぐ場合、あなたは伯爵家からの養子ですから、分家から嫁を取るほうが領を治めるには良いでしょう。あなたは先々代の孫でもありますから、大きな反発は起こらないでしょうけれど、本筋ではありませんから。」

「すでに男爵なのに良いんですか?」

「前にお話ししたときに、弟が成人したら爵位を譲りたいとおっしゃっていましたから、その点は問題ないかと。」

「わかりました。年はいくつなんです? 確か、すごく若かったんでは?」

「十五でございます。」

「若いですね。学園は?」

「これから三年通ってもらいます。」

王立学園は十四歳以上であればたとえ大人であっても通うことが出来ます。

「これからですか? だったら編入させちゃうのはどうです? 男爵家から侯爵夫人になるとしたら、元男爵とはいえ反発はありますよ。」

確かに、アルフレッドの言うとおりです。その方が周りを黙らせられます。

「そのとおりですね、アルフレッド! では、今年一年で学園で、学ぶ事を叩き込みましょう。 そして来年から一年間だけ通って卒業していただくのです。」

これは良い案を頂きました。ラナは優秀ですからなんとかなりましょう。

アルフレッドの顔が少しばかり引きつっておりますが、気にしないことにいたします。

「あの、セシリア様? エリザベスが領主を継いで相手もいる場合、俺はどうなるんです?」

「それが二人目の候補です。スザンナと結婚してもらいます。」

「えっ!スザンナって今度子爵を継がせるって言ってた?」

「そうです。わたくしの姪です。」

「まだ十三歳でしょう? 離れすぎですよ。」

「たった七つか八つでございましょう?」

「いや、…。」

否定的につぶやくアルフレッドですが、これは一般的な範囲でございます。直ぐに婚姻するわけでもございません。

スザンナの身分であれば、初婚であっても三十歳ほど歳が離れていることもあるのです。

ですが確かに、今のアルフレッドにとっては子供にしか見えないのでしょう。

お互いが歳をとれば些細な差とわかるはずです。

「…あの、セシリア様? なんで俺が領主になる場合の候補はスザンナじゃないんですか?」

「なぜ、だと思う?」

わたくしはにっこりと笑みを作って聞き返してみます。少しお勉強です。

「え…セシリア様がいるから、ですか? あそこの分家からはもう必要ないってことですか? それで、他との婚姻でつてを広げたほうが良いから?」

「ふふ、もう少しお勉強が必要ね。アルフレッドが言うこともあります。ですが一番は分家に力をつけさせないためです。二代つづけて侯爵夫人を輩出するのはあそこの分家に力をつけさせることとなります。」

「…なるほど。」

「ということですので、アルフレッド、しばらくあなたにガフを任せます。スザンナが卒業するまで。」

本当にそうなるかは、夫に相談してから決まりますが、夫は受け入れてくれることと思います。

「えっ…なぜそうなるんですか? 領全体は誰が?」

「領はもとに戻るだけです。領官に任せます。緊急かつ重要な判断のみ、アルフレッドが処理をするだけです。」

アルフレッドが来る前は、この役割をお父様が担ってくださっておりました。

「あなたがスザンナと結婚した時は、ガフの街をスザンナと共に治めることになるでしょ? だからです。それに、領主を継いだときにも役に立つはずでございます。」

「なるほど…わかりました。教えてくださってありがとうございます。ちなみに、他領の候補とかあるんですか?」

「それはまだ、これからでございます。今は変わってゆく最中ですから。」

今は政治中枢が大きな動きを見せております。もう少し、波が落ち着いてからでも遅くありません。

こういった事を考えるためにも、今はまず王都で、情報を集めなければなりません。