軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

討伐報酬の精算

俺たちは日が暮れる前に王都の門を潜り、冒険者ギルドに討伐報告をした。

報酬は一旦ルナの冒険者タグに入れてもらい、配分は明日改めてすることにした。もう、今日は風呂に入って飯を食って寝たい。

ギルド職員がオンをちらちら見ながら、恐る恐る尋ねてきた。

「あの、そちらの方も討伐に参加されたのですよね? 環境への影響は……魔力のコントロールとか、いかがでしたか?」

言葉を選んでいる様子に、苦笑いが浮かぶ。

後ろに控えていた護衛がすっと前に出てきた。

「そのあたりのお話は、後日クランの幹部と話していただければと――」

「あ、そうですね。無傷での討伐達成、おめでとうございます」

職員はパッと切り替えて、俺たちの無事を祝う。

オンはそのやりとりをじっと見ていた。表情がなくて、何を考えているかうかがい知ることはできなかった。

サァラがそのオンの顔をのぞき込んだ。

「お風呂、一緒に入るかにゃ?」

オンは目を見開いた。

「あ、うん。……はい」

それだけ言うと、真っ赤になる。

「あたしたち相当臭いからね。髪の毛なんか三度洗いしないといけないかも」

ルナがポニーテールを揺らした。

「俺たちも一緒に風呂に行くか」

アーデンが俺の背中を叩いた。

「着替えを取りに行くだけで、部屋が臭くなりそうです」

と返したが、クランでは臭くなった服を洗濯してもらえる。今まで自分たちで洗っていたのに比べると、すごく楽だ。

戦って稼ぐ人とそれを支える人で分業しているんだな。その分、どんどん稼がないといけない。

オンを戦力に数えることができたら、クランの収入がぐっと上がりそうだ。何か、できることはないだろうか。強すぎる魔力を絞って、標的以外への被害をなくす訓練……。

翌日の午前中は、クランハウスの一室を借りて、討伐報酬の精算と反省会をした。それぞれの要望をメモして、今後に活かすための資料にする。

エドガーの報酬は商業ギルドのタグにつけた。いよいよ冒険者タグが欲しくなってきたようで、アーデンと話し込んでいる。

護衛の人にもデッドフロッグ一匹分を配分しようとしたら、護衛として報酬を受け取っていると辞退された。

「訓練させてもらって、得したよ」

なんか、スマートで格好いいな。

それに比べたら、ちょっと言いづらいけど、俺は手を挙げた。

「あの、よかったらその金を借りてもいいですか? オンの訓練を一つ思いついたので、職人街で作ってもらおうと思うんだ。

あ、だから借りるんじゃなく、『先行投資としてその金を使わせてほしい』だな」

断られるかな? 俺たちの報酬を削ってやることじゃないし、出過ぎた真似かもしれない。

オンの目がキラキラしている。

護衛をやってくれたAランク冒険者が身を乗り出してきた。

「その話、詳しく……。いや、場所を変えて幹部のところに行こう」

冷静で格好いいと思った人が、興奮気味に、椅子を倒しそうな勢いで立ち上がった。

「え? ちょっと思いついて実験したいだけで、上手くいく保証なんかないですよ」

そう抵抗したが、護衛は俺の腕をガシッと掴んで放さない。

彼は「話し合いがどうなるかわからないから、オンには待っていてほしい」と告げて、俺だけ連行していく。

「いってらっしゃーい」

背後から、ルナの呑気な声援が聞こえてきた。