軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

穏やかな休日

その日がついにやって来た。

馬車が見えたので、俺たちは迎賓館の玄関に向かった。

領主の家の馬車からサァラが飛び出してきて、フォンに抱きついた。

続いてエリオットが降りて、ルナに手を差し出した。

お、エスコートじゃないか。

ルナはビキニアーマーの上にケープを羽織り、腰に薄い布を巻いている。

露出を少なくして、王城向けにアレンジしたんだな。

エロい感じは減っていないなぁ。不思議だ。

エリオットの従者が用意してきた食事を持ち、俺たちは庭園の向こうにある丘に向かった。

敷布の上に手づかみで食べられる物が並び、飲み物の瓶が並ぶ。

果実水やお酒を自由に選び、再会に乾杯した。

「上品な料理が続くと、こういうものが恋しくなりますね」

俺は具を挟んだパンにかじりついた。タレがパンに染みこみ、とても美味い。

「空気まで美味しい気がするわ」

フォンが空を見上げながら言った。

「空気?」

サァラが鼻をピクピクしながら、確認する。

「毎日魔塔に籠もっていたから、青空を見るのも久しぶりなのよ。

それに、何やら薬品の匂いがするのよね」

ああ! 日光不足だと気分が下がりやすくなるんだ。

地下ダンジョンに入る前後は、日光浴が推奨されているくらい大切なこと。

オルドを見ると、うなずいている。

「昼の休憩時にでも、外に出るようにしよう」

これで、フォンの心が少しでも軽くなるといいな。

エリオットは静かに俺たちの様子を見ていた。

「君たちは本当に仲がいいね」

「気が合わないと、戦闘するときの連携がうまくいかないですからね」

あれ? ルナのしゃべり方が、丁寧になってる気がする。

タウンハウスで指導されたりしているのだろうか。

「そうか。領主軍だと人数が多いから、気が合う同士で組むことの方が少ないと思うよ。

人格は脇に置いて、能力だけで組み合わせるしかないんだ」

「うへ~。宮仕えは大変だにゃ」

「その分、安定した収入があるし、怪我したときの保証もある。

冒険者ほど自由はないけどね」

エリオットが眩しそうに目を細めた。

「私たちはそんなに仲が良いわけではないぞ」

オルドが自分たちの話をした。

「必要な能力を提供しあう関係で、私的な付き合いはしない」

確かに、癖が強い面々だったな。飲みに行っても口論になりそう。

穏やかな風が吹き抜けていく。

ぬいぐるみを運んだときの、緊張感が漂う食事ではない。

作戦を練るのではなく、とりとめのない会話を重ねる。

俺はのんびりと、平和を噛みしめた。

食事が終わると、エリオットはオルドを連れて帰っていった。

タウンハウスで、光牙の道標たちと今後の相談をするそうだ。

俺たちはそのまま丘で過ごした。

ルナとサァラは、王都の様子を教えてくれた。

美味しい屋台もあるし、武器屋の品揃えも豊富らしい。

値段の幅もすごい。領地より安い物もあれば、手が届かない物もある、と興奮気味に話している。

羨ましい。

「一緒に行こうねん」

と言うサァラの笑顔を見て、妬ましいという感情に蓋をする。

「ああ、早く一緒に行きたいな」

そう返事をしたら、フォンの顔が強ばった。

俺は会議が一段落したら不要になるかもしれないが、フォンのサークレットの問題はまだ先が見えていない。

そのうち俺が去ることになったら……いや、こんな状態のフォンを置いていけないぞ。

「行くときは、フォンも一緒だって」

ルナがフォンの手を握り、顔をのぞき込む。

「……そうね」

フォンが泣きそうな笑顔を作った。

迎賓館で上品な夕食をいただいた。

ルナが、フォンに「マッサージをしてあげる」と言って部屋に引き上げた。

サァラは俺の部屋について来た。

オルドは領主のタウンハウスに行って、今日は戻ってこない。

「フォンをいい子いい子してあげて、溜まってるでしょ?」

何が、とは言わずとも通じる。

「今日はトーマも心を緩めるにゃ」

俺はサァラをかき抱いた。頭を撫でられ、背中を撫でられて、我慢していたものを解き放った。