作品タイトル不明
盲点
「あのさぁ、あたい馬鹿だからわかんないのかもだけど。作った奴がわかってるんだから、そいつを押さえて訊いたら駄目なのん?」
静かにお茶をしていたサァラが、横から口を出した。
「え?」
フォンが目を丸くする。俺も目が点だ。
そ、そうだよな。回り道するんじゃなくて、本丸を攻めてもいいんだよ。
「フォンの乳母夫婦をとっ捕まえて、吐かせればいいのか。
あたしたちが依頼を出して、高ランクの戦力と知識のある魔道士に同行してもらって」
ルナが顎に手を当てて、考え出した。
「掲示板に出したら相手にばれるけど、ギルドマスターが他の支部にもこっそり指名依頼してくれたらいいのかも」
「おいおい、そんな特別措置を……」
ギルドマスターが渋る。
「トーマに対する借り、あるよね? 少しずつ返しておいた方が、お互いのためなんじゃない?」
「あ~、まあ、そういう面も……あるか」
すごい勢いで展望が開けていく。
だが、何かがひっかかる。何だ?
「あ、フォンのサークレット! 盗聴機能がついているなら、これも筒抜けになるんじゃ?」
しまった!
言ってから気がついたが、これも筆談で伝えるべきだったのでは?
背筋が凍りつく。なんで今まで気づかなかったんだ、俺。
フォンが涙目になった。
俯くまいとしているが、肩が小さく震えている。
万事休すか。
「俺たちも油断したな。なんかマズいことをしゃべってないか?」
ギルドマスターが口を押さえて、職員を見た。
職員は「やれやれ」と呆れたポーズを取ってから、棚から調書を取り出した。
「子どもたちは『本人が盗聴している間に盗聴する仕組み。だから、遠くの会話を聞こうと思わせるだけでもいい』と指示されたと供述しています。
常時発動型なら魔石の消耗が激しいので、信憑性が高いと思いますよ」
俺たちは胸をなで下ろした。
ギルドマスターも一緒に安堵しているのは、駄目じゃねぇか? しっかりしてほしいよ。
「そういえば、子どもたちはどうしてるんだ?」
ルナが質問した。
「まだ勾留しています。
ダンジョンで殺害すれば遺体は吸収されて、証拠隠滅できてしまう。悪質極まりないため、傷害ではなく殺人未遂と判断される可能性があります。刑罰の対象となるでしょうね」
「冒険者タグを取得した時点で、もう『子ども』じゃないんだ」
ギルドマスターも甘い顔はしなかった。
「ちょっと思いついたんですけど、使用目的がわからないダンジョンのドロップ品を鑑定する、古道具屋があります。魔道具専門というわけではないのですが。
そこで調べてもらったら、どれくらいの危険度かは判明するかもしれませんね」
職員がそんな情報をくれた。
「うわ~、盲点だった。急いで古道具屋に行こう」
ルナが立ち上がった。