軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

謎解き(物理)はお手の物!

「っし! あと1つ!!!!」

ツーハンデッド仕様の大剣を片手でふるうというエゲつない行為をいともたやすく行いながら、 パーティリーダー(ヴィルさん) が咆哮を上げる。

両断されたのは牛ほどの大きさの巨大ハリネズミだ。アリアさんが糸で顔を雁字搦めにして視界を奪った隙に、ヴィルさんが真っ向から唐竹割り……という流れですよ。

もう1匹出てきてたんだけど、そっちはセノンさんが魔法で眠らせたところをエドさんがこんがり焼きあげて終了でした。

……スヤァしたまま永眠とか、何も見えない恐怖の中切り捨てられた同胞と比べれば、まだマシ……かな?

最初の淀みには魔導絡繰なる自律型ロボットが。次の場所には種や葉っぱをエアガンやブーメランみたいに飛ばしてくる植物が。そして今度は巨大なハリネズミが……と、魔力溜りで出現する魔物には統一感が感じられない。

ランダムで出てくる仕様なのかな?

地面の上で渦を描いていた陰鬱な青白い光が、ハリネズミ達が霧散するのと同時にふっと掻き消える。

私が 野営車両(モーターハウス) から外に降りると、結界のような壁が崩れて外に出られるようになっていた。

「……ん? なんか……周りの風景が変わってる?」

「魔力溜り潰してってるからね。幻影が維持できなくなっていってるんだろうねー」

外に出てふと気が付いたのは、今までは綺麗だった風景がずいぶん荒くなっていること。

境界線がジャキジャキしてて汚いって言うか、描画時のアンチエイリアス設定オフにしてたっけ? みたいな感じ。

……というか、風景そのものの解像度自体が低くなってるような気が……??

アリアさんやセノンさんを始めとした 高解像度(美女・イケメン揃い) の 暴食の卓(ウチ) のメンバーと比較すると、その風景の荒さがよくわかるわー。

近くにあった草を触ってみても、前に感じたようなリアルさはすっかりなくなっていて、ガチガチに硬いポリゴンを触ってる感じがする。

笑いながら教えてくれたエドさんの言葉に、納得しまくるしかなかったよ。

ドロップ品を拾っているヴィルさんとセノンさんを眺めつつ、ふと腕時計を見てみた。

……おう! 朝ご飯を食べてからだいたい4時間くらい経ってるな……。

キリも良いようだし、行動食配ろうそうしよう。

「身体を動かしたところで、カロリー補給のお時間ですよ! マスのおにぎらずとケーク・サレですよー」

「ありがたい! そろそろ腹が減ってきたところだ」

「ありが、と! 良い匂いが、する!」

お昼ご飯というかオヤツというかの栄養補給が小休止程度の時間で済むんだから、行動食って便利よな。

満面の笑みで近づいてくるメンバーズに海苔がないのでラップに包んだおにぎらずと、同じくラップに包んだケーク・サレを差し出した。

普通の人たちならそのどっちかでいいんだろうけど、皆さんの行動量と食欲を考えるとこの二つ出しても足りるかどうか、なんだよなぁ……。

どこかに腰を下ろすでもなく立ったまま行動食を食べ始めるみんなを眺めつつ、私もちょっと小振りに作っておいたおにぎらずにかぶりついた。

パリっと焼けた皮とほっくり焼けた身。そこから出た濃厚な脂がじんわり滲むけど、しっかりと粒の立った仄甘いお米と混じって中和されるおかげか、しつこさは感じない。

ついでに、味付けは塩・胡椒ではなくお醤油を使ったおかげで、お米との相性はなおさらばっちりだ!

あぁー! お米とお醤油とこんがり焼けた魚って、どうしてこんなに相性がいいんだろうなぁ?

……ちなみにコレ、ベースをご飯じゃなくてイングリッシュマフィンとかバゲットに、お醤油をオランデーズソースに変えて、ポーチドエッグを乗せてあげるとエッグベネディクトになるよ!

食べたことないけどね!!

うーん……ケーク・サレもなかなかの味だと思う。甘しょっぱいというか、しょっぱ甘いというか……お好きな人は好きだろうけど、ダメな人はダメだろうなぁ、って言う味。

私は好きだけどね、タンパク質系のしょっぱさと砂糖の甘いのって。

「お腹、満足! ありがと、リン!」

「この前も頂きましたが、チーズが入ったケーキも美味しいものですね」

「おこめのも美味しいねー! 中の魚をアリアと一緒に獲った甲斐があったよー♪」

「リンのお陰で腹も落ち着いたところで、他の二つも壊しに行くぞ。ここからは、そう遠くないところにあるはずだ」

「体力は、まだ保ちそうなので大丈夫ですよ! それに、だいぶ幻影も荒くなってきてますし、みんな壊せば先に進めそう、って思えてきたんで、気力もばっちりです!」

美味い美味いと瞬く間に行動食を平らげたみんなからラップを回収し、ポケットに突っ込んでおく。

ヴィルさんが視線を向けてくれるけど、今の私はやる気に満ち満ちていますよ!

コレで何の反応もなければテンションも下がるばっかりだけど、幻影のクオリティ低下とか目に見えるものがあるおかげで「先に進まなくちゃ!」っていう気分になってるから、今のうちに先を急ぐべきだと思う。

何しろ、いつまでこの体力が保つかどうかわからないからな!

それに、もう少しで攻略できるとは思うけど、油断はしちゃいけないよね……。

前衛と後衛に挟まれつつ、例によって 生存戦略(サバイバル) さんをフル活用してダンジョン攻略を再開した。