軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

8話 討伐依頼完了

「……ふぅ、結構体力使うな」

全速力でこれだけの距離を走れば、流石に息が切れる。

20分ほど走ったところに森が見えてきた。

ここを越えればもう少しでヘリミア村だ。

「よし、じゃあ使うか」

《空歩》を使用して、森を越えれるぐらいの高さまで歩いて行く。

「ぐぬぬ、めちゃくちゃ歩きづらいな」

愚痴をこぼしながら、もがくこと数分、俺はある事に気づく。

「……これ風魔法と相性が良いのでは?」

俺の才能が無かったのか《空歩》だけでは満足に移動することが出来なさそうだ。

だから《空歩》は宙に浮くための手段として用いる。

自分で歩こうとするのではなく、風を動力にして移動する。

この発想自体は悪くない気がする。

あとは試してみるだけだ。

自分の背中を押すように風魔法を発生させる。

最初は威力の弱いもので様子を見てみる。

「お、おお!?」

結構良い感じに動く。

ふわふわ〜、とした感じ。

これでは空を歩く、というよりも飛んでいると言った方が合っていそうだ。

「左右は──と……うん、大丈夫そうだな」

自分で向きを変えることで左右に移動することができた。

《空歩》の魔力の消費量は超回復分を少し上回ってるぐらいで、あまり気にしなくても良さそうだ。

実質、風魔法を使った分だけ魔力が減っていく。

この移動方法、実戦でもかなり使えるかもしれない。

思わぬ収穫を得たな。

「それじゃあ、ヘルミア村まで飛んでいくとするか」

……流石にヘリミア村まで飛んでいくのはまずいことに気がついた。

飛んでいる途中で冷静になれて良かった。

ヘリミア村の近くに着地して、そのあとは走ってヘリミア村まで向かった。

「な、なんだお前!」

ヘリミア村の前には見張り役の衛兵が立っていた。

俺に気づいた衛兵は警戒し、手にしていた槍をこちらに向けた。

「ジャイアントスライムの討伐依頼を引き受けた冒険者です」

そう言って俺は依頼書を衛兵に渡した。

「……た、確かにこれはウチの村が依頼したものだ。……でも何故お前は馬車にも乗らずに来ているんだ!? 結構距離があるだろう!? 歩いて1日はかかる距離なはずだ!」

「歩かずに走ってきたので」

「……走ってきた? ……あの距離を?」

「そうですね」

多少は驚かれることを想定していたが、ここまでとは……。

「……まぁ悪い人じゃ無さそうだし大丈夫か。村長は村の奥の家にいるから多分迷わずに行けるはずだ」

「ありがとうございます」

頭を下げて、村長の家に向かった。

辿り着いてから、村長に軽く挨拶をすると、かなり不安そうにしていた。

「お主、まだ新人冒険者ではないか! ……本当に大丈夫かのぅ?」

「ジャイアントスライム程度なら大丈夫ですよ」

《英知》でジャイアントスライムを調べたところ、あまり脅威に感じる部分は無かった。

「威勢だけは良いみたいじゃが……まぁよい。命を最優先にして頑張ってきてくれるかの?」

「はい、もちろんです」

どうやら村長は俺のことを心配してくれていたようだ。

優しい人だ。

村長の人柄が良いのか、村の住人もみんな笑顔で暮らしている。

その光景を見て、俺は家族のことを少し思い出した。

「学園に入る前に顔ぐらい見せに行ってやらないとな」

そんなことを呟き、ジャイアントスライムのいる平原に向かった。

平原には、ぽよん、ぽよん、と動くジャイアントスライムが何体もいた。

平原が大きな青い物体で埋められているのは面白い光景だ。

これ5体で済まないな。

数えてみると15体ぐらいいるようだった。

ジャイアントスライムは人に敵意を向けることは滅多になく、警戒心も低い。

しかし意図せずにヘルミア村に襲いかかることが危惧されているみたいだ。

今回のようにジャイアントスライムは、たま〜に何体も発生するみたいで定期的に討伐が依頼されているようだ。

依頼内容は5体だが、全部倒しておいた方がいいだろうな。

「5体も15体も大して変わらないし、何も問題ないな」

ジャイアントスライムの弱点は身体の中心にある核だ。

それを攻撃すれば、簡単に倒すことが出来る。

だが、ジャイアントスライムの粘液は酸性で攻撃をするだけで多くの冒険者はダメージを負うことになる。

魔法耐性も優れているため、攻撃手段は物理攻撃に限られる。

……割と強力な魔法を放てば倒せるだろうけど。

「まぁ要は核を攻撃すればいいってだけだ。それなら攻略は簡単だ」

俺は剣を持ち、ジャイアントスライムの核に狙いを定める。

そして、剣を思いっきり投げる。

投擲された剣は核に突き刺さると、ジャイアントスライムの粘液は飛び散って溶けていった。

適当に思いついた攻略法だが、物を投げて倒すってのが正解なのかもしれない。

核となる魔石を回収し《アイテムボックス》に入れる。

この魔石を見せることで、ジャイアントスライム討伐の証明になる。

それと残った粘液を触ってみると、人体に害は無さそうだったので《アイテムボックス》に入れておいた。

その後は、同じ作業の繰り返し。

15体目倒し終えた頃にメッセージが聞こえてきた。

[スキル《投擲》を取得しました]

……なんか意図せずにスキルを取得していた。

そして討伐完了の報告をするために村長宅へ戻った。

「随分と早いのぅ。流石にジャイアントスライム相手は厳しかったか?」

「いえ、もう討伐してきました」

「なぬぅ!? 討伐って、まだ10分も経っとらんぞ!?」

「まぁ弱点がある敵なので、比較的倒しやすかったと思います。えーと、これが討伐証明部位の魔石になります」

15個の魔石を《アイテムボックス》から取り出す。

「お主、どっから取り出したのじゃ!? それに魔石の数も5個では済まんぞ!?」

「ジャイアントスライムが15体いたので、全て討伐しておきました」

「なぬ!? この短時間で15体倒したというのか!?」

「そうですね。ジャイアントスライムは核に攻撃すれば簡単に倒せるので」

「……ふむふむ。嘘をついてるようにも見えん。しかし、ちと現実離れした内容なのもまた事実じゃ。村の者にジャイアントスライムがいないか確認してきてもらっても良いかの?」

「どうぞ。あ、もしジャイアントスライムがいたら、ついでにそいつらも倒しておきますよ」

「太っ腹じゃのぉ……」

その後、村長は青年を一人呼び、草原に向かわせた。

10分ほどして青年は帰ってきた。

「ジャイアントスライム、どこにも見つかりませんでした!」

「確認ありがとう。……これでお主の報告は全て正しいことが判明したのぅ」

「ジャイアントスライムがいなくなって何よりです」

「そこまでこの村のためにジャイアントスライムを気にかけてくれるとは、お主は優しいのぉ。ほれ、これが報酬じゃ」

村長に渡されたのは金貨1枚。

依頼はジャイアントスライム5体で銀貨30枚だったので、どう考えてもこの報酬は多すぎる。

「あの、これ金貨ですけど……?」

「5体でなく15体倒してくれたからのぉ」

「それなら銀貨90枚では?」

「差額の銀貨10枚はワシの感謝の気持ちと疑った詫びじゃ」

ここで断るのも悪いか。

それにせっかくくれると言うのだ。

ありがたく貰っておこう。

「ありがとうございます!」

「うむ。お主が冒険者として大成することを願っておるよ」

シワシワの笑顔で村長はそう言うのだった。

……ヘリミア村か。

いい村だな。