作品タイトル不明
ヤマタニ卿のロックゴーレム討伐
第8話 ヤマタニ卿のロックゴーレム討伐
遠距離輸送は、蒸気トラックに頼っていた。
サンブレロ高原を越え、岩場付近の街道に差し掛かったところで――
数十体ものロックゴーレムが出没し、通行は完全に遮断されていた。
この街道が封鎖されれば、サンブレロ街は大きな打撃を受ける。
食糧の輸送が滞る。
さらに蒸気トラックやバスの納品も止まってしまう。
迂回路はあるが、大幅な遠回りとなり、輸送費は膨れ上がる。
――討伐するしかない。
冒険者ギルドにも依頼は出したが、数の多さに尻込みされ、受け手は現れなかった。
「こうなれば、騎士団で対処するしかありますまい。」
ゴドールが言う。
「だが……あの数を騎士団だけで倒せるのか?」
ヤマタニの問いに、ゴドールは言葉を失った。
「……一体ずつ誘き出し、各個撃破するしかありませんな。」
「そうか……なら俺も出る。」
ヤマタニは、魔物討伐の経験など一度もない。
「ヤマタニ様が……?」
「恐ろしいが……やるしかないだろう。」
逃げたい気持ちはあった。
だが、ここで引けば被害は広がる一方だ。
「俺は装甲車で出る。」
「おお、あれなら岩の装甲も砕けましょう。」
◆
翌日――
ヤマタニ装甲車改と騎士団は、討伐へと向かった。
「ロケットランチャーは静止目標には有効だが、動く相手には当てづらい。」
ヤマタニは冷静に指示を出す。
「俺は後方で待機する。騎士団は誘導して射程内に入れてくれ。」
「了解!」
ゴドールは三部隊に分けた。
ミランド隊、カミル隊、そして本隊。
やがてミランドが一体目を引き連れてくる。
関節には矢が突き刺さり、動きが鈍っていた。
「照準……発射!」
――バシュン!
――ドォォン!!
直撃。ロックゴーレムは粉砕された。
二体、三体と順調に撃破していく――が。
「二体同時です!」
「一体ずつって言っただろ!」
叫びながらも、ヤマタニは引き金を引く。
一体目は撃破。
だがもう一体が装甲車へ突進する。
――外した。
「くそっ!」
再度発射。
――ドカァン!!
至近距離での直撃。破片が装甲車を叩きつける。
「……近すぎるな。」
やがて弾は尽き、再装填を指示する。
だがその隙を突くように――
「三体来ます!」
騎士団は必死に足止めを行い、矢や槍を突き立てる。
「そんなに一度にはやれない!」
機関砲を連射。
――バババババッ!
削り続け、ついに撃破。
だがさらに二体が突進。
――バババババッ!
蜂の巣のように穿たれ、倒れる。
その時――
遠方に立ち上る土煙。
「……来るぞ。」
現れたのは、ロックゴーレムの群れ。
「その数は無理だって!」
ロケットランチャー、連続発射。
――バシュン、バシュン、バシュン!
――ドカドカドカーン!!
爆炎が荒野を覆う。
「やったか……?」
だが煙の中から五体が現れる。
「撃ち漏らしだ!」
機関砲で応戦するも、弾切れ。
「まずい……!」
「トミー、ハンドルを頼む!」
「任せろ!」
ヤマタニはハッチを開け、バズーカを構える。
揺れる車体。定まらない照準。
――撃つしかない。
――バシュン!!
爆発が二体の脚を砕いた。
「止まった!」
再装填――そして確実に撃破。
戦いは終わった。
街道を封鎖していたロックゴーレムは、すべて討伐された。
荒野には、夕日と土煙だけが残る――
「ガォォォン……!」
遠くで、何かの咆哮が響いた。
まだ、何かがいるのか――。
誰にも、それは分からなかった。