作品タイトル不明
大盗賊団の襲来④
第43話 大盗賊団の来襲④
「なんだか……盗賊、現れませんね?」
どこか残念そうにレイナが呟いた。
「来ないに越したことはないさ」
ヤマタニは平然と答える。
だが、その内心は不安で押し潰されそうだった。
数日にわたる厳戒態勢。
疲労を考慮し、ヤマタニは騎士団を一度詰め所へ戻らせた。
――その判断が、裏目に出る。
その夜。
機を窺っていた大盗賊団が、一斉に動いた。
「斥候など待っていられるか」
ボス・シグマは苛立ちを隠さず、本隊数十名を率いてサンブレロへ向かった。
実のところ――
彼らには時間がなかった。
資金が尽きかけており、一刻も早く大金が必要だったのだ。
だが狙いは工場ではない。
ヤマタニの屋敷――。
「突っ込めぇ!」
門は破壊され、騎士団が応戦するも間に合わない。
数名の盗賊が屋敷内へ侵入する!
「くっ……!」
ヤマタニは用意していた隠し部屋へと駆け込む。
だが――
「きゃあっ!」
ヒラリーは逃げ遅れ、盗賊団に捕らえられてしまった。
現れたのは、大盗賊団のボス、シグマ。
「この女の命が惜しければ――」
低く、冷たい声が響く。
「大金をすべて用意しろ」
「明日の晩、サンブレロ高原で待っている」
そう言い残し、ヒラリーを連れ去った。
ボスの撤退と同時に、盗賊たちも潮が引くように消えていく。
静寂が戻った屋敷で――
ヤマタニは愕然としていた。
(あれほどの大人数……想定外だ……)
すぐに騎士団長たちと協議が始まる。
「救出するなら、一刻も早い方がよいでしょう」
その言葉に、ヤマタニは拳を握りしめた。
「……俺は、必ずヒラリーを助ける」
普段は臆病な男。
だが今は違う。
大切な人を奪われ、じっとしていられるはずがなかった。
しかし――
「お待ちください」
騎士団長が静かに制する。
「冷静に対処しなければなりません」
「さもなくば、奥方様の命が危険に晒されます」
その一言が、ヤマタニの頭を冷やした。
――怒りだけでは、救えない。
ヤマタニは深く息を吐いた。