軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大盗賊団の襲来①

第40話 大盗賊団の襲来①

大盗賊団の一部が、サンブレロの街に入り込んでいた。

目的は――偵察。

金になる獲物があるかどうか、その匂いを嗅ぎつけるための斥候である。

「最近ここに、“蒸気トラック”とかいう妙なもんを作ってる工場があるらしいな……。」

噂では、その工場はかなり儲かっているという。

となれば当然――金も集まっている。

斥候は何気ない足取りで街を歩きながら、周囲を観察していた。

事務所らしき建物。

警備の配置。

人の流れ。

「この辺りのどこかに……金庫の一つや二つ、あるだろうな。」

だが、長居は禁物だ。

警備に目を付けられれば、それだけで価値は下がる。

「……このくらいでいいか。」

斥候は自然に踵を返し、その場を離れた。

さらに街を一周する。

だが目立つのは――巨大な工場だけ。

それ以外は、どこにでもあるような田舎町だった。

「……まずは宿だな。」

斥候は宿を取り、夜を待つ。

そして向かう先は――決まっていた。

酒場だ。

酒が入れば、人は口が軽くなる。

情報を拾うには、これ以上ない場所だった。

夜の酒場は、熱気に満ちていた。

仕事終わりの労働者たちが、エールを片手に笑い声を上げている。

斥候は店内をゆっくりと見渡した。

(身なりのいい奴……役職持ちがいれば当たりだが)

その時、奥の席に目が止まる。

四人組。

他の客よりわずかに整った服装。

そして――余裕のある座り方。

(あいつらだな。)

斥候は近くの席に腰を下ろし、さりげなく耳を傾けた。

「しかしヤマタニ社長はすげぇよな。寂れた村を一気に再生しちまうなんてよ。」

「ほんとだよ。おかげで俺なんか班長だぜ。」

「お前はまだいいだろ。主任様じゃねえか。」

「あはは、肩書きだけさ。雑用係みたいなもんだよ。」

その会話を聞き、斥候の口元が歪む。

(ほう……内部の人間か。)

わざと軽い調子で声をかけた。

「へぇ、あんたら。けっこう給料もらってんだろ?」

男たちは顔を見合わせ、苦笑した。

「そんなわけあるかよ。」

どうやら間違いない。

こいつらは工場の人間だ。

――その時。

「ちょいとお客さん。ご注文は?」

店員の声に、斥候は一瞬だけ現実に引き戻された。

「……エールと、適当なツマミを。」

「はいよ。」

店員が去る。

再び耳を澄ませるが、会話はただの世間話へと戻っていた。

(……使えねぇな。)

斥候は席を移り、別のテーブルへ。

さらに別のテーブルへ。

そうして断片的な情報を拾い集めていく。

――蒸気トラックは王命による国家事業。

――年間、およそ百台を生産。

――炭鉱から街へ石炭を運搬している。

「国家事業、ねぇ……」

斥候はエールを飲み干した。

国家が絡む事業。

それはつまり――

莫大な金が動いている、ということだ。

(……やっぱり当たりだな。)

斥候は静かに笑う。

だがその目は、すでに“次”を見据えていた。

どこを襲うか。

いつ襲うか。

何を奪うか。

情報収集は――まだ終わらない。

そしてそれは、やがて血の匂いを呼び込むことになる。