軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

隠れた才能 大工のショーン

第36話 隠れた才能 大工のショーン

ヤマタニを陰で支えている人物がいる。

元大工のショーンだ。

診療所、孤児院、寮――。

建物に関する仕事は、ほとんど彼に任せている。

ショーンに頼めば、いつも低予算で何とかしてくれる。

どこからか廃材を集めてきたり、昔の伝手を頼って建材を安く仕入れたりするのだ。

まさに職人。

ヤマタニにとって、実に重宝な人材だった。

ある日のこと。

ヤマタニは一つの問題に頭を悩ませていた。

騎士団の詰め所がないのだ。

今は空き家を仮の待機所として使っているが、兵士たちが落ち着いて任務にあたれる環境とは言い難い。

いずれは、きちんとした建物を用意する必要がある。

「うーむ……。」

腕を組んで考えていると、不意に声がかかった。

「そんなことなら、お任せください。」

振り向くと、ショーンが立っていた。

彼は紙と鉛筆を取り出すと、さらさらと手を動かし始める。

迷いのない線で、あっという間に簡単な図面が出来上がった。

「ここに柱を二本立てて、梁を一本通します。屋根はこの形にすれば、木材が少なくても強度は出ます。」

ショーンは図面を指でなぞりながら説明する。

「ほう……。」

ヤマタニは思わず唸った。

「これなら風も通りますし、兵士が十人ほどは寝泊まりできます。」

「なるほど。いいじゃないか。」

ヤマタニは図面を見ながら頷いた。

「で、いくらかかる?」

ショーンは少し考えた後、答えた。

「金貨二十枚ほどあれば、なんとかしてみせます」

「二十枚だと?」

ヤマタニは目を丸くした。

普通なら建物一つで金貨五十枚はかかる。

それを半分以下で済ませるというのだから驚きだ。

「廃材が使えますし、昔の仲間から安く木材も仕入れられます。」

ショーンは当然のように言った。

「それは助かる。では、この金で頼む。」

ヤマタニは金貨をショーンに渡した。

ショーンはすぐに正式な図面を描き上げ、工事に取りかかった。

孤児たちも手伝い、作業は着々と進む。

そして――

わずか二ヶ月後。

騎士団の詰め所が完成した。

質素ながら頑丈な柱。

雨をよく弾く屋根。

風通しの良い窓。

兵士たちが使うには、十分すぎる出来だった。

「これは……立派だ。」

ヤマタニは感心して建物を見上げた。

ショーンは頭をかきながら言う。

「まあ、こんなもんです。」

その言葉とは裏腹に、建物は実に見事だった。

ヤマタニは笑いながら、彼の肩を叩いた。

「ショーン、お前は大した男だ。」

騎士団も、これで落ち着いて任務に励めるだろう。

そして――

この男の腕が、やがてヤマタニの街づくりを大きく支えることになる。

この時のヤマタニは、まだそれを知らなかった。