軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

見せるだけで、なぜか金が増え始めた

第28話 見せるだけで、なぜか金が増え始めた。

ヤマタニの元には、手紙が山のように届いていた。

「工場を見学させてほしい。」

同じ内容ばかりだ。

机の上に積み上がる手紙を見て、ヤマタニはため息をついた。

「……全部対応していたら、仕事にならんな。」

だが――ふと、記憶がよみがえる。

(工場見学……か)

子供の頃。

案内係に連れられ、機械の動く様子を見て回った。

(あれは……金になる。)

ヤマタニの目が変わった。

「ならば――やるか。」

すぐに孤児院へ向かう。

集めたのは、明るく、話すのが得意そうな少女たち。

「君たちに仕事を頼みたい。」

少女たちは緊張した面持ちで並ぶ。

「工場見学ツアーのガイドだ。」

一瞬の沈黙。

そして――

「お仕事……ですか?」

「ああ。人に説明して、案内する。それだけでいい」

少女たちの顔が、ぱっと明るくなった。

数日後――

街の広場に、人だかりができていた。

「これが……例の工場か。」

「蒸気トラックを作っているって……。」

期待に満ちた視線。か…おとと

蒸気バスが到着する。

「それでは出発します!」

ガイドの少女が元気に声を上げた。

ツアーが始まる。

鋳造工場。

赤く溶けた鉄が流れる。

「おお……!」

見学客が息を呑む。

機械工房。

巨大な部品が削り出される。

「こんな大きな機械が……。」

組み立て工場。

蒸気トラックが形になっていく。

「動いてる……!」

驚きが、歓声に変わる。

ただの見学ではない。

“発展そのもの”を見ているのだ。

ツアーの最後。

「こちらでお食事ができます!」

食堂には、温かい料理。

見学客は席につき、興奮したまま語り合う。

「すごかったな……。」

「まるで別の世界だ。」

そして、帰り道。

出口に、小さな店。

「蒸気トラック模型はいかがですか!」

「記念メダルもあります!」

笑顔の少女たち。

見学客は、迷わず財布を開いた。

「一つくれ」

「こっちも頼む」

次々と売れていく。

「こちらで記念写真も撮影出来ます。」

「よし、記念写真頼む。」

「そちらでお並び下さい。準備が出来たら撮影いたします。」

ヤマタニは、その光景を遠くから見ていた。

(……流れているな。)

人が来る。

ほん

、見る。

驚く。

食べる。

買う。

金が、自然に落ちていく。

「いい仕組みだ。」

ヤマタニは小さく笑った。

「見せるだけで、儲かる。」

工場はそのまま。

だが――価値は二重になる。

「悪くないどころじゃないな。」

視線の先には、賑わう人々。

働く少女たち。

そして――広がっていく街。

ヤマタニは、静かに目を細めた。

「これも、産業か。」

――だが。

彼はすでに、その先を見ていた。

「次は……もっと大きな“流れ”を作る