軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:駆け付けたヒーロー

こちらビーコン担当、キーナです。

敵のアジトの中で、しっかりと息を潜めて何事もなく隠れていたら……思いがけない事が起こりました。

──【隠密】スキル取得

なんということでしょう!?

エフォ(EFO) を始めて1年ちょっと!

今更【隠密】スキルを覚えました!?

(相棒ー! 相棒ー! 隠れてたら【隠密】スキル覚えたー!)

(今更!?)

思わず念話で報告したら、秒で返事が返ってきた。

そうだよ! 本当今更だよね!

(……ちなみに【感知】は?)

(……生えてきませんねぇ)

(周りの音を注意して聞いたり……してない?)

(あー……ずーっと『敵が部屋に来て石像をどうこうしようとしたらどう対処しよっかなー』って考えてて、音は気にしてなかった)

(そっかー)

はい、僕が【感知】を覚えられない理由が分かりましたね。

(って事は、外で戦闘してるのも気付いてないな?)

(今?)

(今)

ん〜? ……あ、本当だ。なんか遠くで花火大会でもやってるのかなーみたいな音が聞こえる。

(なんかちょっと聞こえた!)

(うん、今そっちに向かってるから。もうすぐ着く)

(オッケー)

って事は、ギリギリになって敵がここに滑り込んでくるかもしれないね?

じゃあちょっと立てこもろうか。

「【ツリークリエイト】」

分厚くて堅い普通の木の幹で、僕と石像をグルリと囲む。

真っ暗なのはちょっと怖いから、ぼんやり光るキノコを【草魔法】で生やしてっと……これでよし。

ついでに合流した時に備えて、霊体化から元の肉体に戻って、ネモの透明化も切っておく。見えないと敵かと思ってビックリさせちゃうかもしれないしね。

音は聞こえるように小さな穴だけ開けて……とかやっていたら、ドタバタと駆け込む音と、バタンと扉が乱暴に開けられる音がした。

「ちょっ、はぁあ!? 何なのよ!? 何なのよこれ!?」

「この部屋どうなってんだよ! 意味わかんねーよ!!」

だろうね!

ちょっと目を離したら檻からヒトが消えるわ、謎の木が生えるわ、怪現象しか起きてないもんね!

笑い声が出そうなのを我慢我慢……とりあえずヒトが来た事を相棒に伝えないと。僕を檻に入れた二人組とたぶん同じ声だと思う。

(相棒ー、敵の錬金術士っぽいのが来たー。木の壁で立てこもってるー)

(はいよ、ちょうど今ついたよ)

──ドゴーン!

「っ!」

「ぐぁっ!?」

なんかすごい破壊音がしたのとほぼ同時に、鈍い打撃音と何かが倒れるような音。

え、何? 怖……

そーっと小さな穴を開けて様子をうかがうと……でっかい肉叩きみたいな鈍器を担いだ全身赤い人影が、ぐるりとこっちを振り向いた。

「ピャッ!?」

(ついたよ。大丈夫だから、これ開けて)

僕は慌てて【木魔法】の壁を消して、外にいた相棒に飛び付いた。

「……何だ、どうした?」

「ちょっとビックリした!」

怪談に出てくる怪人かと思った! よく見たら戦隊のレッドさんだったけど!!

……うん? 戦隊?

そーっと振り返ると……相棒の他に戦隊さんがいた。ブラックさん、ピンクさん、レッドさん、ホワイトさん、イエローさんの5人。

僕が戦隊さん達を認識すると、ブラックさんがスッと前に出てきた。

「奥さん、よくぞ1人で持ちこたえてくれた。我々が来たからにはもう安心だ!」

そしてシュババッと手足を動かし、ビシィッとポーズを決めると、他のメンバーも揃ってビシィッと綺麗に並んだポーズを決めた。

「「「「「カラフル戦隊フエルンジャー、見参!」」」」」

おおー

なんとなく拍手をすると、「どうもどうも」と言いながらポーズは終了した。

「では早速、石像を担いで逃げるとしましょうか」

「イエローが魔法で作ったトンネルをそのまま戻ります。真っ直ぐ外に出ますよ」

「持てるかしら……よいしょっ! いけるわね」

「レッドは今ぶちのめしたその二人担いできて」

「ん」

うん? あ、本当だ、言われて気付いた。床に、僕を檻に入れた二人組が気絶して転がってる。

レッドさんは事もなげに、二人組をヒョイと肩に担いだ。

おおー

感心していると、何故か僕もヒョイと相棒に担がれた。

「ん? なんで?」

「走って撤退するから」

あ、はい。

俊敏が死んでいる僕は、確かに一緒には走れないね。霊体化も身バレしそうだからやりたくないし。だからって全部戦隊さんに任せてアイテムで帰るのはちょっと違うし。

でも、駆けつけてくれた上に僕を抱えて脱出とか、王道のヒーローみたいでカッコいい。

「ふふ……来てくれてありがと」

「……いいってことよ」

周りからものすごく生暖かい視線が向けられた気がするけど、戦隊のヒト達はみんな覆面だからわかんないなぁー!