軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:お客と食事と頼み事

「なるほどドラゴンね……序列ってどうしたらいいかしら?」

「しんざんものゆえ、下からでかまわんのだ!」

「あらそう?」

………………

「注意事項はこんなところかしら……分かったら返事!」

「はいなのだ! ベロニカセンパイ!」

「強い……」

「ベロニカちゃん、後輩躾けるの得意だよね」

* * *

メララックス・ドラゴンベビー Lv10

無事に生まれたネームドドラゴンの生まれ直しは、キーナの強い希望により俺がテイムする事になった。

「絶対にその方がカッコいい」

「……そう?」

「うん。カッコいい相棒がカッコいいドラゴンの主なの最高。あと、どうせ僕はオバケモードでも箒でも飛べるから、もしメララちゃんが飛べるようになったら相棒が自由に呼び出し出来る方がいいでしょ」

「まぁ確かに」

そんな感じで所属を決めて、拠点の全員と自己紹介を交わす。

大人組やジャック三兄弟は『おお~』って感心したような反応なのに対し、小粒達は生まれたてのドラゴンベビーに大はしゃぎして一緒にコロコロと転がって楽しそうだ。

誰も怖がらなかったから、これなら問題は特に無いだろうと判断して料理に入ろう。

……と思った所で、カステラさんがこっちに連絡を入れた上で、大量の食材を持ってやって来た。

「……って感じで、これがドラゴンの卵のお返しの肉と野菜な」

「「わぁー……」」

グリードジャンキーと戦隊へのドラゴンの卵のお返しらしい。

配達を頼んだ麗嬢騎士団からカステラさんを経由して届いたのは、肉と野菜が山程の量。

「手紙もついてるよ。……『戦争になったら呼べ』だって」

「……物騒だなー」

「そっちはグリードジャンキーのだな」

「じゃあこっちは戦隊さんかな……『ヒーローが必要になったらいつでも呼んでください!』」

「……同じ意味合いのはずなのにニュアンスがこうも違うか」

「傭兵とニチアサだからな……」

俺は改めて積み上がった食材を見上げる。

……流石に多すぎるだろ。拠点で食事にしたって消費しきるのにどんだけかかるんだ。

「……近々同盟呼んでバーベキューでもするか」

「あー、いいね」

「お、やったー」

とりあえず今日使う分以外は俺のインベントリに収納しておく。

まずは現在進行系で腹を空かせているドラゴンベビーに肉料理を作ってやらないと。

……ザッと肉多めの炒め物でも作るか。あとはスープ。

せっかくだからカステラさんにも食べていってもらおう。

出来上がった料理を、メララックスは大喜びでガツガツと平らげた。

「うまい! うまいのだ! リョーリとはこんなにもうまいものであったか! ……おかわり!」

「はい、おかわり」

「ウオー!」

「……完全にパパじゃん」

「あのイケメン、僕の旦那様なんですよ。最高でしょ?」

「はいはい、ごちそうさん」

食事を済ませてひと休み。

食べ終わってウトウトし始めたメララックスを膝で寝かしつけながら、のんびりと食後のお茶を飲む。

「そうだカステラさん。結局、封印で助けてもらったお礼は何にしよっか? 何か欲しい物とかある?」

キーナの問いに、カステラさんは持参した小さなマグカップを傾けながらピッと指を立てた。

「そーそー、ちょうどその話もしようと思ってたんだ。……2つ、頼みたい事があってさ」

そう言うと、テーブルの上に、ゴロゴロと大量のマナの果実を並べていく。

「今回の事で心底思い知った。……MPは、高ければ高い方がいい」

「……はい」

「それはそう」

キーナのMP使いの荒さが浮き彫りになった戦いでもあったな。

「だから、マナの果実を結晶にした物が欲しい!」

「あー、なるほど」

つまり、うちの結晶の猫幻獣のクロにマナの果実を結晶にしてもらいたいっていう依頼か。

……かと思ったら、カステラさんはさらにゴロゴロと追加でマナの果実を取り出した。

「出来れば同盟全員はひとり1個持っててもらいたい!」

「え、いいの?」

「……結晶ひとつに素材が最低10個いるから……マナの果実80個必要ですけど大丈夫ですか?」

「毎日コツコツ採取して100はあるから大丈夫」

デイリークエストか?

まぁ素材の数があるなら問題は無い。

ただ……

「……それだと、俺達も貰うから、お礼には足りない気がしますけど?」

俺がそう訊くと、カステラさんはピッともう一本指を立てた。

「うん、まぁこれは先行投資みたいなもんだ。こっちの2つ目の頼みがメインだな」

そう言うと、カステラさんは城から送られてくる書簡筒をインベントリから出して見せた。

「サフィーラから俺の所に通達が来たんだよ。『夏頃に、本国から偉いエルフがこっちの世界の世界樹を見に来るから、相手を頼む』って」

へぇ、イベントの予告か?

城は俺達プレイヤー……つまり冒険者が何処に入植しているか把握しているから、当然カステラさんが世界樹のあるフィールドに住んでいるのも知っている。その上で、手紙を送ってきたわけだ。

「まぁ特に何か準備しろとは書いてなかったし……そもそも俺の所は俺の部屋があるだけで街は作ってないから、準備のしようもないんだけどな」

「世界樹の洞に住んでるもんね、カステラさん」

「……転移オーブが離れた所に転がってましたね」

「そう、だから何かあっても俺が失う物は無いけど……ただ、もしも使徒絡みのヤバいことがあった場合、世界樹に何かありそうなんだよな」

「「ああー」」

確かに世界樹が滅びると普通にヤバいだろうな。世界樹ってくらいだし。

「だから……当日、リアル都合が合いそうだったら、同席して欲しいんだよ」

「何も起きないかもしれないけど」とカステラさんは言うが……そんなこと言ったら俺達の封印作戦だって使徒が来て戦闘になったからな。

わざわざ事前通知されているイベントなら何か起きると思っておいた方がいい。

それに、普段から色々まとめてもらってるのを考えれば、このくらいは別にお礼扱いじゃなくても行く。

「もちろんオッケー」

「……いざとなれば、俺は昼間でもいけるんで」

快諾すると、カステラさんはホッと安堵したように笑った。

「助かる。じゃあ日付決まったら伝えるわ」

夏の予定だな。忘れないようにしておこう。