軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:ドラゴン卵の孵し方

ログインしました。

【封印魔法】の本気集中で残った僕の疲労も、次の日のゲームを控えて外部ツールで録画していた相棒の活躍動画を堪能すればこの通り完全回復!

雄夜の腕の中でのんびりとかっこいいムービーを堪能する時間は最高でした。

と、言うわけで1日空けてのログイン。

今日の僕らは、何はともあれドラゴンの卵の孵化準備がしたい。

「魔法少女ちゃんへのお礼は急がなくていいって言ってくれたから。先にちょっとだけでも卵進めたい」

「うん」

デデンと相棒がインベントリから取り出したドラゴンの卵。

色は灰色がベースの荒いまだら模様で、大きさも重さも10キロの米袋くらい。

なお、僕の貧弱初期値な筋力ステータスでは持ち上げられない。

とりあえず僕らの家の床に卵を安定して置ける台を【石魔法】で作って布を敷き、そこに設置した。

「えーっと、ドラゴンの卵の孵し方は、他の従魔の卵の孵し方とは違ったよね?」

「違ったね」

前に裏図書館から救出した本には色んな卵の孵し方や育て方が書かれた本があった。

大体『犬系』とか『カエル系』みたいな感じで方法が載っていた本だったんだけど、『ドラゴン系』は『研究中』としか書いてなかったんだよね。だから今回聞けた話は検証勢がものすごく喜んでた。

その本によれば、ほとんどの卵は温度とか環境を調整すると孵るんだけど。今回聞いたドラゴンの卵は全然違った。

「まず、ドラゴンの卵を抱っこします」

「持てないから抱っこというよりしがみついてるな……」

「で、このまま……HPとMPを注ぎ込みます!」

「魔道具作る要領でいけそう?」

「……いけそう!」

「OK」

これがドラゴンの卵の孵し方!

めっちゃつよつよなドラゴンは、卵の中でつよつよドラゴンボディを育むために、育ての親から命と魔力を補助してもらわないとダメなんだって。

でも逆に、補助が無ければ卵は休眠状態のままでいるらしくて、殻が壊れない限り何百年でもドラゴンの卵はそのまま孵化する事が出来る卵として存在し続けるらしい。なんかどこかに忘れられた卵が埋まってそうな話だねぇ。

「……これどのくらい注ぎ込めば孵るんだろ? MPはともかく、僕の貧弱HPはもう限界ですが」

「……【解析】使ってみよう。ついでに俺と交代してポーション飲みな」

「はーい」

注入を相棒と交代して、【解析】。

「あ、分かりやすい! ゲージが2本見える!」

「どっちがどっち?」

「え? わかんない」

「……俺は今、MPを注入するつもりでやってる」

「両方増えてる!」

「……次はHPを注入するつもりでやってる」

「両方増えてる!」

「……んん??」

もう1回交代。

僕は【解析】を使ったまま、MPを注入した。

「あー……なんかみよみよ模様のゲージが増えてるから、こっちがMPかな」

次にHPを注入すると、今度は違う方のゲージが増えた。

「うん、ムキムキした模様のゲージが増えてるから、こっちがHPだね」

「……そうか、俺は種族的にHPとMPに互換性があるから両方に割り振られるのか」

「あ、なるほどね」

エレメント・フュージョンはそういう特性のある種族だったもんね。

納得した相棒は、僕の横にしゃがんで卵をのぞき込んだ。

「……で、どのくらいでゲージ溜まりそう?」

「ん〜、まだ全然。少なくとも10回以上はポーション飲まないとダメかも」

「それなりにかかるな」

大人のドラゴンならあっさり溜まるんだろうなぁ。

あと、クランメンバーで協力できたら簡単に達成できるんだと思う。こうやって注入すると、注入したヒトは刷り込みみたいに孵った直後から好感度が高めになるらしいから、皆でやるメリットはちゃんとあるしね。

とはいえ、ポーションガブ飲みすれば、人数が少ない僕らでもそう難しい量じゃない。

僕らは拠点の皆にも協力してもらいつつ、ポーションパワーでなんとかHPとMPを溜めきった。

「オッケーイ!」

「少し動いてるな」

「あ、本当だー」

集まった皆でワクワクしながら見守っていると……ドラゴンの卵はゴトゴトと震えるように動きが大きくなり……バキャッ!と底の方の一部が割れて、鱗と爪のある脚が出てくる。

「……ふんぬっ!」

中から聞こえるくぐもった掛け声と同時に、もう片方の脚も殻を貫通して……驚く僕らの目の前で、卵はスクッと二本足で立ち上がった!

「いや足からかよ! 頭は!?」

「あわてるでない」

相棒のツッコミに卵の中から幼い声が返り、何度かゴッ!ゴッ!と鈍い音がして……またバキャッ!と固い音を立てながら卵の上部が割れてトカゲみたいなドラゴンの子供の頭が……

「……殻被ったままだよ?」

「これでいいのだ!」

それでいいのかぁ〜

胴体は卵のまま、脚と首が卵からニョキッと生えていて、頭はヘルメットみたいに残った卵の殻で目元が見えなくなっている。そして最後の仕上げとばかりに、短い尻尾をパキッと卵から出した。

半分卵みたいなドラゴンの雛は、それでもしっかりと立ってキリッとふんぞり返るような姿勢になった。

「いまもどったのだヒトのコよ。わがなはメララックス! ほこりたかきドラゴンなのだ!」

「キャラ変わった?」

「喋り方ちょっと違うな」

「生まれなおした幼いからだはワクワクがとまらんのだ! いつものことなのだ!」

あー、転生物でよくある『感情が子供の体に引っ張られる』ってやつかな? まぁかわいいからいいか。

メララックスはフンスフンスと楽しそうにテケテケと僕らの周りを駆け回った。

「ヒトのコは肉リョーリがどうのといっていたのだ! それを食べるのだ! ワガハイたのしみにしていたのだぞぅ! 肉をしょもうするのだ!」

うん、これは間違いなくあのドラゴンだね。

思わず二人で顔を見合わせて苦笑い。

「お帰り、メララックス」

「お帰り」

「うむ、よろしくたのむのだ!」