軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:デカい骨ドラゴンを見た参加者の反応

マルドゥークのひと言により、打ち合わせから即実行の流れになった封印作戦。

幸いにも『輝石坑道ダンジョン』が金策で有名なダンジョンだった事もあって、参加者は全員最寄りをオーブ登録済。

どうせダンジョンではパーティ別になるし、各々アイテムなんかの準備もあるし……という事で、一度解散して現地集合する事になった。

俺達も一度拠点に帰って消耗品のチェック、そして留守番組にそこそこ遠出する事になった事を伝えておく。

そして、会議の時にお嬢様が言っていた『友好的なドラゴンがいて戦闘がゼロというのは希望的観測』という言葉に深く納得したので、ジャック達三兄弟とキーナは籠にオバケを最初から連れて行く事にした。俺もネビュラは当然連れて行くし、三兄弟の移動の足にダディも忘れずに。

「じゃあ行ってくるね」

「ベロニカ、小粒達よろしくな」

「任せときなさい」

オーブから最寄りの開拓地『ブランシュオーシャン』へ転移。

ネビュラとダディに乗って、『輝石坑道ダンジョン』へ向かい、そのまま突入。

「ワァー、キラキラしててすごいネ!」

「正しく宝の山デスナ」

「綺麗です……ビーズとかにしたいです……」

三兄弟はこのダンジョンがそこそこ気に入ったらしい。今度金策に来るときは連れてきてもいいかもしれない。

今回は特に宝石を掘る事も無いから敵を無視してサクサク走った。

大地のダンゴムシ精霊に声をかけて、結晶幻獣の住処へと飛ばしてもらえば、もう現地だ。

どうやら一番乗りは俺達だったらしい。

他の面子はまだ来ていない。

ハリネズミ幻獣の作業場に入ると、あまりの輝石の多さにジャックが「ウワー」と口を半開きにして呆れたような声を出した。

「多すぎて食べ物みたいに見えてキタ……」

「あー、ちょっとわかるかも。飴玉の山みたいな」

「……食べたらダメだぞ」

「ハーイ」

そんな会話を交わしていると、スケルトンドラゴンが俺達に気付いたらしい。

輝石の山の向こうから、ぬうっとその巨体を持ち上げてこっちを向いた。

「おお、来たか。思ったより早かったな」

そしてそれを見たジャックとデューが歓喜の声を上げた。

「ウワァアアアア! カッコイイー!!」

「オオオ! これが噂に聞くドラゴン! 骨となってもなんと勇ましきお姿!!」

うん、この二人の精神年齢ならこの反応になるよな。

ワーッと子供のようにドラゴンに駆け寄っていく二人を、ダディの背に乗ったマリーがスン…とした顔のまま見送っている。

ドラゴンも俺達の連れという事で警戒もしないし、満更でもなさそうに二人を迎えているからしばらくお任せしてもいいだろう。

「ところでハリネズミ幻獣ちゃんは……?」

「……トゲェ」

「あ、いた」

家主のハリネズミ幻獣は、諦観の滲んだ雰囲気で俺達の傍らに現れた。

「……どうしたの?」

「覚悟を決めていたトゲ……」

「……覚悟?」

「何かあったらここが戦場になるトゲ? となれば……シッチャカメッチャカになるのは目に見えてるトゲ。だからその心の準備をしていたトゲェ……」

「わぁ……」

覚悟を決めたといいつつ、その顔はシワシワで決まりきっているとは言い難い。

……なんだか気の毒になって、俺達は提案をひとつしてみた。

「……えっと、全部は無理だけど、取っておきの作品だけでもいくつか預かろうか?」

「……後で無傷で返せると思う」

「ほ、本当トゲ!?」

パァァァ……と明るい顔になったハリネズミ幻獣は、パタパタと駆け出して大事な物だけ選別をし始めた。

……ちゃんと1部地面が見えるまで結晶を避けてあるから、本当にちゃんと片付けはしたらしい。それほど時間をかけずに、いくつかの高そうな輝石を持って戻ってくる。

「これをお願いするトゲ」

「……了解」

大事にインベントリに収納しておく。

後で忘れずに返そう。

そんなやり取りをしていると、入り口の方がガヤガヤと騒がしくなった。

「よし、到着じゃ」

「面白い所ですニャ!」

「うーわすげぇ輝石の山……って」

「「「「「「「ウオオオオオオオ!! 骨のドラゴンダァアアアアアア!!!」」」」」」」

……うん、モロキュウ冒険団もかなり無邪気な集まりだったらしい。

オッサンアバターが多いクランだが、そのオッサン達が目をキラキラさせてジャック達みたいにドラゴンに駆け寄っていく姿は、なんとも微笑ましい物があった。

* * *

しばらくして、参加者が続々と集まって来ると、現場はにわかに骨ドラゴンのスクショ撮影会場となった。

麗嬢騎士団も黄色い声を上げて骨ドラゴンを褒め称え、番犬は骨の体に登らせて欲しいと拝み倒し。

マルドゥークは大興奮でスクショと、魔道具のカメラを購入していたらしく、それを使っての記念撮影をして。

検証勢はドラゴンは何度か見たことはあったらしいが、スケルトンのドラゴン(しかも結晶化している)は初見だったらしく。

奇声を上げて駆け寄り、本竜に許可を取ってから骨を触って何か色々と確認をしていた。

カステラさんや魔法少女やケチャップみたいなフェアリーも、物珍しそうに骨ドラゴンを眺めている。

「……こうやって見てると、こっちのヒトの子達は冷静だったトゲね?」

「そうかな? ……そうかも?」

「……最初は動かない骨だと思ってたしな」

「そうそう、第一印象が綺麗な骨だった」

つまり大体ハリネズミ幻獣のせいだ。

そして最後にやってきたのは、アイテムの補充に少し手間取ったらしいパピルスさん。

まぁ倉庫役を期待されていて、即日出発となれば準備に時間はかかる。

そんなパピルスさんは、「お待たせしました」と駆け込んできて骨ドラゴンを目にして……驚愕の表情で目を見開いた。

「……あの骨は……ブラックダイヤモンド!?」

「おっ、良い目をしてるトゲねぇ」

結晶幻獣がいる事は話していたから、パピルスさんはあらかじめトマト結晶を装備してきていたらしい。ハリネズミ幻獣の声に反応して、いそいそと幻獣の側にしゃがみ込んだ。

「結晶のハリネズミ幻獣様とお見受けします。あれは貴方の作品ですか!?」

「そうトゲ! ここ数百年でも最高の出来トゲよ! まだ完成してないトゲけど……」

「いえいえ、途中経過とはいえあの輝きは素晴らしい! しかもドラゴンの骨をベースにするという選択がまた! 職業柄宝石は色々と目にしてきましたが、あれ程の物は早々お目にかかることは出来ませんよ!」

「おおー、話のわかるヒトの子トゲねぇ!」

(めっちゃ話が合ってる)

(……パピルスさんだしなぁ)

意気投合したパピルスさんとハリネズミ幻獣を微笑ましく眺めながら、俺達は作戦の間必要になるかもしれないなと、トマト結晶を持っていないヒト用のトマトをインベントリから取り出した。