軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:誘導したなら、あとは狩るだけ

植物モンスターがワッサワッサと追いかけてくるのを誘導しながら、僕は誘導用の炎の壁とヘイトが外れないように攻撃魔法をちょいちょい撃ち続ける。

遠距離攻撃はしてこないからまだ楽な方だね。間合いを間違えなければダメージは受けないし、その間合いも乗ってるネビュラが調整してくれる。

勢いよく飛びかかってくるのは相棒が撃ち落として、僕はひたすら誘導に専念。

そうしてボス戦現場から離れた方角……ピリオノートの南の方面へと走って走って、打ち合わせ通りの場所へ出た。

森の切れ間。

木の密度が薄い地点をさらにあらかじめ伐採して。

そこで待っていた二人の人物。

──ゴーレムに乗ったド根性さんと

──大きな宙に浮かぶ水晶玉に座ったアルネブさん

牧羊犬しながら同盟チャットでやり取りをして、いい感じに合流出来た高火力の同盟仲間。

僕らと同じ、森一味なんて呼ばれる変装姿の二人の姿が見えて、僕は声を張り上げた。

「お待たせしましたぁああー!!」

木々を抜けた僕らの後ろから、森から爆発したように飛び出してくる植物の群れ。

その緑の雪崩に向かって、アルネブさんが軽やかに手を横薙ぎに払う。

「──【天来インパクト】」

アルネブさん的には小手調べらしい初手メテオ。

やっぱりメテオは強いね!

後から後から突撃してくる植物達のほとんどが衝撃で粉々に散っていく。

「二手に分かれたわね、こっちを囲もうとしてるわ」

「ふむ、ボスの類はいるか!?」

「……走るニヤニヤのデカいのがひとり」

「では自分はそちらへ行こう! その他は任せた!」

「いってらっしゃい。──【天象・その背に護りしガーディアン】」

マイペースなド根性さんを見送るアルネブさんが魔法を唱えると、重鎧の騎士の星座が一瞬ゴーレムに重なった。防御アップのバフとかなのかな。

ワッと飛びつく植物達を文字通りに蹴散らしながら、ド根性さんのゴーレムは森からヌッと頭が見えた大きなニヤニヤランナーに正面から突っ込んで行った。

「的が分かりやすくていいわね」

そうだね、あそこ狙えば絶対大量に巻き込むもんね。

と、なると。

タゲがド根性さんとアルネブさんに移ったからには、僕らの次の仕事はアルネブさんの防衛です。

「【サモンネクロマンス:霊蝶の群長】!」

「【ダークネスクリエイト】」

広場に大量出現する色とりどりのガラスのような蝶が、植物モンスター達に精神デバフをかける。

そして地面には相棒の【闇魔法】でダメージフィールドを展開。地を進む植物は絶対に踏んでくれる。

デバフのかかった植物達は、あわあわしている間にメテオに撃たれ、地面の闇にHPを吸われて沈んでいく。

……予想外だったのは、ニヤニヤランナーには精神デバフが効かなかったこと!

「ギャー! ニヤニヤだけ真っ直ぐ押し寄せてくるー!?」

「……精神ステ高いのかニヤニヤ」

「明るいホラゲーみたいね」

冷静にニヤニヤを撃ち抜く相棒。

ケラケラ笑いながらポーション片手にメテオを撃ちまくるアルネブさん。

そして特撮みたいにヒュージニヤニヤランナーと取っ組み合いの殴り合いをしているド根性さん。

そんな感じでドタバタと敵を片付けていると……ヒュンと、僕らと同じ変装をしたフェアリー……つまりカステラさんがやって来た。

「ひと段落したから来てみたけど……なんだこれ、悪夢か?」

「陽キャの集団と思えば面白いわよ」

「余計に怖いわ!」

ツッコミを入れながら、カステラさんはアルネブさんに最大MPが倍になる『マナの果実』を投げて渡した。

「ナイスタイミング」

優雅に齧ったアルネブさんが、クスクスと楽しそうに魔法の言葉を紡ぐ。

「【収束グラビティ】」

指差した先、少し離れた所に黒い点が浮かぶ。

バチバチと線香花火のように黒い稲光を発する黒い点は、周りの植物モンスター達を徐々に吸引し始めた。

「おぉ? おぉ? なんだそれ??」

「小さなブラックホールよ。MP消費が激しいのよね……敵を引っ張って集めるだけだから、誰か適当に攻撃してちょうだい」

「はいよ」

そういう事なら。

ズルズルと1箇所に固まる植物達に、僕らは皆でせっせと攻撃を浴びせかけた。

背後からはゴーレムとヒュージニヤニヤの殴り合いの音。

なんとか大量の植物達を片付けたあたりで、使徒の結晶やカタツムリボスの方も目処が立ったと、掲示板に報告が上がった。

他の地点も突発で色々湧いたりしていたみたいで、東なんかは少しピリオノートの門まで来たりもしていたらしいけど、なんとか突破はされずに終了。

NPCも怪我人は少し出たけど、死者は無し。

春イベントの大規模襲撃は、防衛成功で幕を閉じたのだった。