軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:ひと仕事終えて、再会と再開

ひと仕事終えた僕と相棒は、アイテムで帰還した自拠点で合流した。

「おつかれー」

「おつかれ。一緒に結晶破壊しなかったんだ?」

「だってチームワークが完成してるクランの戦闘なんて、横から何したらいいのか分かんないよ」

「まぁそれはそう」

追加戦力が必要なら、コマドリさんは自力で呼べるしね。

「和風の方はこの方法取らなくても耐えきれそうだから、あっちは行かなくていいんだって」

「そっか」

だから、外で見てた検証勢に帰るって伝えてから、アイテムで飛んで帰ってきた。

報酬についてはまた後日。適当に検証勢の溜まり場に顔を出して相談する事になったよ。

「相棒の方はどうだったー?」

「……爆発した」

「むえ?」

詳しく話を聞いたら……燕尾服野郎は擬態してた人形で、しかも自爆したんですってよ! なんてこった!

「え、大丈夫だった?」

「大丈夫ではなかったかな。まぁポーションはもう飲んだから」

ペタペタと体を触って確認する僕、苦笑いする相棒。

ゲームだから平気って分かっててもね、確認はして安心しておきたいじゃん。……よし、オッケー。

確認して、不完全燃焼気味に不機嫌なベロニカちゃんを抱っこして撫でながら、とりあえずひと仕事終えたって感じになっているのを確かめた。

「じゃあお互いミッションは完了した感じかな?」

「いや、一応こういう感じだったってさっきの現場に報告だけしておかないと。ベロニカが叫んで俺ともう1人が走り出したの見てたわけだから」

「あ、そっか」

そうだね。そんな気になるシーンだけ見せて情報はおあずけ!なんてしたら、検証勢のヒト達発狂しそう。

「あと、死に戻ったヒトも気になるし」

「新聞社のヒトなんだっけ?」

「そう。ラリーストライク大会の予選直後に声かけてきたヒト」

「……いたような気がしなくもない」

よく覚えてるねぇ。

でもその出会いは変装してない時の事だし、別に顔見知りってほど知ってるわけでもないから、基本は初対面でーすって対応にしよう。

なんて相談をしてから、僕らは再びピリオノートへ。

……すると、転移広場に降り立った途端、1人の獣人さんが駆け寄ってきた。

「森男さん、大丈夫でしたか!?」

急ぎながらも控えめな声量で声をかけてくれたのは、少年っぽい感じのヤギの獣人さん。

このヒトが一緒に追いかけて写真撮ってたヒトなのかな。

相棒が応対するみたいだから、僕は静かに横で見守る事にする。

「……死に戻りはしなかったです」

「さすがですね。爆発の後は、何かありましたか?」

「……いえ、木端微塵になってて……手がかりになりそうな物は特に」

「そっかー……それを狙って自爆したかもですね」

小声で共有する情報。

ヤギさんはうんうんと頷いてから、数枚の写真を取り出して相棒に手渡した。

「これ、撮影した写真です。白黒ですし、後ろ姿だけですけど……よければどうぞ」

「……ありがとうございます」

相棒が僕にも渡してくれたから、そのまま軽く見てみる。

うーん、風になびく燕尾服の裾に臨場感を感じる1枚ですねぇ。でもそれだけかなぁ。これを手がかりにするのはちょっと厳しそう。

スクショも撮ってたらしいけど、そっちはアバター名を教えないと送ってもらえないから断念。

とりあえずそんな感じで戦利品?の分け前を貰い……そして、ここからが本番とばかりに声を低くした。

「それでですね……たぶん今回の情報って、うかつに公開するとNPCがパニックになりかねないと思うんですよ。特に貴族が」

「……あぁ、まぁ確かに?」

「燕尾服総リストラとかにはなりそう」

カッコいい燕尾服に罪は無いのにね。

「なので、ちょっと情報の扱いは慎重にしたいと考えてます。具体的には……城のNPCとか検証勢とかと相談してみようかなと。……で、情報のきっかけになった森男さんには図々しいお願いになっちゃうんですけど……出来れば情報の公開は控えていただけないでしょうか」

まぁ僕らは別に、他のヒトに話さない方がいいなら否はない。

むしろ報告に行く方が面倒くさいし。

「……そういう事なら、構わないです」

「内緒にしておきますね」

「ありがとうございます。……あ、でも。もしも掲示板とかで普通に話題にされてたら気にせず喋って構わないですから」

言い出したヤギさんが報告とあれこれ対策をやってくれるって言うから、僕らはそれに甘えてお任せする事にした。

横取りみたいになっちゃいますけど……って恐縮してたけど、僕らはその辺気にしないから大丈夫だよ。先に相談してもらえてむしろ助かる。

とりあえず、怪しい燕尾服についてはパピルスさんとゲコリン村に行った時に見つけたNPCだから、パピルスさんも気にしている事をヤギさんに共有しておく。怪しい全裸人形も、確かパピルスさんがどこかでチラ見してたはずだしね。

そしてヤギさんは僕らに名刺をくれた。

『ウサボール通信社』の『白黒ヤギさん』っていうプレイヤーさんだった。

「『白黒ヤギさん』……お手紙は食べますか?」

「うちの創刊号は食べてみました」

「……えっ」

「ヤギの獣人は紙を食べても食事判定になるんですよ」

「美味しかったです?」

「ライスペーパーみたいな味がしました!」

(……ライスペーパーってどんな味だっけ?)

(……お釜の縁に貼り付いたペラペラの味)

(あれかぁ〜)

ヤギ獣人の舌にはそう感じるように設定されてるんだね……

新たな知見を得て、僕らは白黒ヤギさんとバイバイした。

(……さて、どうしようか)

(また戦況模型見に行って、戦力薄そうな所に加勢でいいんじゃない?)

(だな)

現状、ピリオノートはそんなに切羽詰まってる感じはしない。

だったらヒトが足りて無さそうな所に行った方が、被害を抑えられて良いと思う。

それこそまたどこかで、僕らにしか出来ない事を頼まれるかもしれないしね。