軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:お城の偉い人に手紙を出してみる

ベロニカの助言に従って、俺とキーナは掲示板で軽く書簡筒の事を調べてから、2人でピリオノートへと繰り出した。

今日は俺も一緒だ。

キーナと別行動の時に必要になる事があるかもしれないから確認しておきたい。

森夫婦の変装状態でやって来たのは、『王国郵送事務所』という郵便局のような施設だった。

プレイヤーのメイン動線からは外れた位置にあるNPC向けのこの事務所は、城と似たような雰囲気の小さな事務所だ。

実際、城に所属している事務官が交代で詰めている所らしい。つまりは城の管轄。

主な役目は、NPCが本国を含む各地へ送る手紙の受け付け。

そりゃあプレイヤーはあまり縁のない場所だよな。自分で直接話をしに行くか自分の従魔に届けて貰うかした方が早いし確実なんだから。

少し嬉しそうな顔で手紙を持ち込むNPC達に混ざって建物に入り、空いている窓口へ向かってキーナが職員に声をかけた。

「すいません、お城の騎士団長さんへ手紙を出すための書簡筒が欲しいんですけど……」

「はい。ああ、『鎮魂の魔女』様と『死の導き手』様。お二人は、初めての購入ですね」

「「あ、はい」」

そうか、城の職員だから俺達の事は知ってるのか。

職員さんは初めての人向けの丁寧な説明をしてくれた。

お城宛の書簡筒は、城に住み込みの職員宛の物と、騎士団長宛と魔術師団長宛の3種類があって、職員宛はそれほどでもないが、騎士団長宛と魔術師団長宛はそれなりにお高い。

(イタズラ防止なのかな)

(かもしれない)

そして特に要人の二人向けの書簡筒は……冒険者として登録している名前と容姿を提出しないと購入が出来ないらしい。

「「マジですか」」

「危険物を送られないため、そして送られた場合に誰が購入した書簡筒なのかを把握するための措置となっております」

書簡筒には見えない所に魔法の通し番号が振ってあるらしい。

その通し番号付きの筒じゃないと、そもそも二人へは届かない。

さらに職員は、カウンターの下から見覚えのある魔道具を取り出した。

「こちら、冒険者の方が開発した『カメラ』といいまして。基本は、これで顔写真を撮らせていただくことになります」

「「マジですか?」」

「はい、基本は」

ただ、 基(・) 本(・) は(・) 、と強調するように、苦笑いする職員は別の方法を提示してくれた。

「ですが、騎士団長本人から信頼に足る証をいただいていれば、そちらを提示していただく事で購入が可能です」

ああ、なるほど。

キーナはインベントリから『ラッセル騎士団長の小勲章』を取り出して見せた。

「これでいいですか?」

「【鑑定】させていただきます」

職員がルーペのような物で小勲章を確認する。

「……はい、本物と確認でしました。ではこちらの用紙に、騎士団長に通じるお名前を記載して下さい」

なるほど、小勲章持ちならアバター名でなくてもいいわけだ。

キーナは『鎮魂の魔女』と記載し、リリーを支払って書簡筒を購入した。

職員に見送られながら事務所を後にする。

(もらってよかった小勲章)

(だな)

まさかこんな使い道があるとは思わなかったな。

* * *

書簡筒に入れた手紙をベロニカに届けて貰って、返事はなんとその日の内に来た。

「なんて書いてある?」

「えーっとね……『5分くらいなら、スタンピード戦の待機中に少しだけ話が出来ます』って」

「隙間時間すぎる……」

「で、『もう少し長く時間が欲しい話なら、春の祭が終わってからになります』だって」

「ああ、春イベント後になるのか」

なるほど、せっかちはそれまで待てなさそうだもんな……

「スタンピード戦の前に天幕まで来たら軽くお話してくれるし、来なかったら春イベント終了後にまた日時をお手紙してくれるってさ」

「なるほど」

春イベントの『???』、ムービーで詳細が出たスタンピード戦はリアルの明日だ。タイミングが悪かったか……

「どうしよっか、スタンピード戦は行くつもりだったけど」

「……当日、天幕の様子見て決めようか。忙しそうだったら流石に気が引ける」

「だねぇ〜」

世間話みたいな内容で、直接アポ無しで押しかけるほどじゃないって思って手紙を出したわけだしな。忙しい所に割り込んだら本末転倒だ。

「……じゃあ、今日は残りの時間でスタンピード戦の準備しようか」

「オッケー」

これでピリオが壊滅したら目も当てられない。ポーション系をメインに、準備はしっかりしておこう。