軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:起きて2人で検証タイム

「……って事があった」

「なんだとぅ〜?」

なんという事でしょう!

僕がちょっと知らんヒトの夢を見ていた間に、相棒が正体不明のニヤニヤ暫定使徒に押し売りされかけたって言うじゃありませんか!!

寝起きの僕がベッドに座って相棒に膝枕状態っていう幸せタイムにとんでもない話が出てきたもんだよ!

「塩撒こう、塩! あと盛り塩しよう!」

「……それやって効果あったら、うちのオバケ達が不便にならない?」

「ぬぁーっ!」

時々相棒の前に現れる怪しい奴。

今回はなんと、僕をわざわざ誰かの夢に隔離して、その上で相棒に接触して来たんだから腹立たしい!

見てくるだけならともかく……いや見てくるだけでもちょっとヤダな。たぶん敵っぽいんだもんね。

「ただ、なんか……相棒への提案は、あんまり滅びの使徒っぽくないよね?」

「まぁうん。よくない道への誘いって感じだったな」

「世界を滅ぼそうとしてる奴が、その世界に住んでる人に『力が欲しいか……』ってやって何の意味があるんだろ?」

僕が膝の上の相棒の頭を撫でながら首を傾げると、相棒は少し気の抜けた声で「そうだなぁ……」と呟いた。

「……単純に考えるなら、その力を使う事で世界が滅びる?」

「うわー」

「ただ、 エフォ(EFO) はPvPは基本無いから、そんな強制で敵側になるような話を持ちかけられるとは思えないな」

「ああ、それは確かに」

って事は、使徒の勧誘とかではないはず。

「……え、じゃあ本当にハイリスクハイリターンなスキルを提案しに来ただけってこと?? アイツ何してんの??」

「さぁ……? ただ俺は受けなかったから、本当に【混沌】とかのスキルが貰えたのかは、分からない」

「あー」

そうだね、ノリノリで『やるやるー!』って言った所で、フランゴ君みたいに天使が邪魔しに来て結局やれないとか。そういう展開の可能性はあるかも?

「まぁ俺は試さないけど」

「試したら元に戻れなさそうだもんね。まぁそのうちやりたいヒトがやるでしょ」

検証勢とかね。

とはいえ、たぶん条件は相棒みたいに色んな要素が混ざってる事だと思うから……話が広がるのはもうちょっと先かもしれない。まだ魔眼関係とか告死獣になる云々とかも有志wikiに載ってないし。

相棒は今回の事をわざわざ検証勢に伝えるつもりが無い。この話をしたらどうしたって相棒の混ざってる内容も知りたいって言われて面倒そうだから。

「……まぁとりあえず、僕がその怪しい奴に会ったら、ひと言苦情を申し上げないと」

「なんて?」

「『うちの旦那につきまとって変な勧誘するのやめてください』って」

「そっちかぁー」

いや、不法侵入も申し立てたいけどね?

まず最優先は相棒のメンタルよ。

その相棒は、精神的な疲労が抜けて来たのか、さっきよりも少し復活した感じの声で僕を見上げた。

「……じゃあ、次はそっちの見た夢の内容についてだな」

「え? だって話聞く感じ、メインは相棒の勧誘で僕のは時間稼ぎだったじゃん。特に深い意味とか無かったのかなーって思ってたけど?」

「それにしては騎士団長が出てきたりして意味深すぎるからさ」

まぁ確かに?

適当なNPCの適当な夢なんだったら……適当に犬とか猫とかの夢でもよかっただろうし。

「でも、なんも分かんなかったんだよねぇ……一応そのNPCの見た目と、銀髪女性の『レイラ』って名前くらい?」

「あと騎士団長が出てきてるから……騎士団長にレイラってヒトが知り合いにいないか訊いてみたら?」

「あー、なるほどね」

確かに、それが1番手っ取り早そう。

「……ただ、騎士団長さんも魔術師団長さんと同じで偉い人だから、急がしそうだよね」

「……まぁ急がしいだろうな」

「今のところ急ぎでも危なくも無さそうな夢の事で時間とらせるのもなぁ〜……」

ゲームのNPCだから気にしなくてもいいのかもしれないけど、なんとなく気が引けてしまう。

「……じゃあ、何か理由を作るしかないな」

「理由?」

「そう」

理由……理由かぁ……

「林檎でもお裾分けする? 『いつもお世話になってます〜』って」

「……ワンチャン賄賂にならないか?」

なるかな? なるかも?

「じゃあ……理の女神様の本を渡して、技術神との関係を布教する?」

「……突然惚気話を布教されるのかぁ」

あまりにも脈絡が無いし、結局忙しいヒトにすることじゃないね? やめよう。

「……ダメです、何も思いつかない。あれだ、普通に手紙書くよ」

「手紙?」

「アポ取りの手紙。『全然急いでないんで、時間のある時にお話したいですー』って」

「……まぁそれが無難か」

そうと決まれば、僕はアポ取り希望の手紙をしたためて、ベロニカちゃんに騎士団長さんへ届けて貰うようにお願いしてみた。

……そうしたらベロニカちゃんは

「それなら書簡筒買いなさいよ。城宛の郵便物は専用の書簡筒じゃないと上のヒトには読んでもらえないわよ」

と、凄く詳しいひと言を添えてくれたのだった。