軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:クロカンブッシュ大神殿

ログインしました。

昨日は流石に1日に3回ログインはシステムからストップかかりそうな感じに疲れていたので、自主的にお休み。

次の日はいつも通り、色々済ませて午後からのログイン。

ログアウト中にテントを破壊されるような事は無いけど、テントから出ると外にはモンスターがいるかもしれないから、声変わりシロップを飲んだらそ〜っと隙間から様子を窺う。

(あー、いるねぇ。やる気のあるハト)

(豆が復活するのにリアル1日もかからないだろうしな)

では、両手をメガホンの形にして隙間へ向けてー……

「【トリック・オア・トリート】!!」

さよならハトのやる気。

こんにちは豆の残弾。

そして僕は、寝起きからMPポーションをキメるのでした。

* * *

ハトに注意しながら森を駆け抜けた僕らは、ようやく目的の『クロカンブッシュ大神殿』に辿り着いた。

鬱蒼と生い茂る森の切れ目。

開けた視界は石畳の敷かれた広い土地。

その土地の中、森の木々より背が高く、返しのついた分厚い防壁。頑丈かつ重そうな門。

そして防壁の上にさらに伸び上がる、大きな大きな大神殿。

白い石造りの神殿は、尖塔のたくさんある教会のような姿をしていた。

柱や彫刻で綺麗に整えられた外観は、派手すぎずに威厳と荘厳さを兼ね備えた完璧な左右対称。

窓は縦に細長く、所々に銃眼のような溝があった。

屋根は黒。青い空を貫く尖塔の周りをハトが飛んでいる。攻撃されてる感じは無いから、神殿のハトなのかな?

「うわぁ〜……すごーい!」

「おお……これはすごいな」

これはゲーム内建築に慣れているヒトの作品ですよ。

いわゆる『豆腐建築』しか出来ないヒトが見たら口がパカーンと開いて戻らなくなるやつ。

「絶対作るの楽しかったと思う」

「うん、楽しんでないとゲームでこれは出来ない」

大きな門の隣の詰め所に小さな扉があったから、そこをノック。

見張りのヒトが出てきて、中に入れてくれた。

おおおお……中もすごい!

通路は石畳。それ以外は整った芝生。花壇にはハーブっぽい植物が植えられている。

装飾付きの柱がたくさん並ぶ神殿は、制服なのかお揃いのローブを着た神官っぽいヒト達がたくさんいて、穏やかに微笑んで会釈をしてくれた。

立派ではあるんだけど、貴族街みたいな派手さは無い。

質実剛健。節制しながら手入れをしている雰囲気。

(ほあー、こういう雰囲気好き。装飾の彫刻も、花の蕾? かな? 慎ましい感じだねぇ)

(……これキャベツじゃないか?)

(キャベツ!? ……あ、確かに、この丸々しさはキャベツかも!)

シュークリームを重ねたクロカンブッシュだから、シューの語源のキャベツで飾ってるって事!?

(面白いねぇ)

(……ああ、ちゃんと案内板があるんだな)

観光にオススメなだけあって親切な神殿だね。

案内板によると、この大神殿はかなりたくさんの種類の神様の石像を置いて祀っているみたい。

広い敷地には大きな回廊があって、そこにズラーッと神像が並んでますよーって書いてあった。

(神様コレクションじゃん)

(神コレかぁ)

そこは後で観光するとして……今の僕らに必要なのは、案内板の横に新しく追加されたっぽい看板に貼られた情報。

(『神官ガレンシアドナの本日の予定』)

(分かりやすい)

これ、無詠唱クエストやってるプレイヤーに散々場所聞かれるから立てられたんだろうね。全力ダッシュするプレイヤーはとっくにここに来てるだろうから。NPCも大変だぁ。

(えーと……本日の予定によると、今のガレンシアドナさんは……ハトの世話だって)

(……またハトかぁ)

まぁいいじゃんすか、ハトかわいいし。

ハトは尖塔の上の方に寝床があるみたいなので、神殿の上階を目指そう。

(まずは外階段……あ、ちゃんと階段の壁にも案内がある)

(観光地だなぁ)

NPCに案内をお願いしても良さそうだけど、自分で案内を見て行けるのもありがたいね。

外階段を上がったら扉を潜って中に入り、そこから通路を進むと尖塔を登る階段に着くのでそれを登る。

(ん〜、やっぱり背の高い建物は階段が長いね!)

(リアルだったらキツい……)

(それなー、何回か休憩したい階段の量)

グルグルと螺旋階段を登って、ようやく目的のハト部屋へ。

一応ノックをしてから開けると……僕らはワッと賑やかなハトの声に包まれた。

「ポポー」

「クルッポクルッポ」

「ポッポポーウ」

「ほら落ち着きなさい。豆はまだありますから、順番に」

合間に聞こえる落ち着いた男性の声。

思っていたよりも若い声の主は……三十路くらいかな? 眼鏡をかけたグレーの髪の男神官さんだった。

「すみませーん、ガレンシアドナさんですかー?」

「はい、私がガレンシアドナですよ」

ハトに頭に乗られながら、眼鏡の男性神官が振り返って返事をしてくれた。

ガレンシアドナさんは、僕らの姿を目にすると、「ああ」と頷いて頭上のハトを鷲掴みにした。

「冒険者の方ですね。理の女神についてのお話をご希望ですか?」

「あ、はいそうです」

「では、ハトの世話を手伝っていただけますか? そうしたら空いた時間でお話をしましょう」

「わかりました」

そりゃあお仕事の手を止めさせちゃうわけだからね。

喜んでお手伝いさせていただきますとも!