軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:思いがけないセキュリティ対策

夢の中での情報集め第二回。

俺達は前回と同じく、ゲーム内自寝室のベッドで眠って二人一緒に夢の中へ。

ペタとミミーと合流して、ネビュラを呼び出す。

「じゃあ、まずは中継地点の確保かな?」

「だな」

飴玉を食べたプレイヤーやNPCが捕まっているのはともかく、それを観察する謎の何かがいるって話だ。

夢の中に拠点を持つ相手がどれくらいの事が出来るのか分からない以上、こっちの拠点との通り道を開けて繋げるのはリスクが高い。

「よし、ミミーちゃん」

「ホー」

「んーとね……この前探して貰った錬金術、アレの事が知らなかったりどうでもいい感じで……僕らと好意的に話してくれそうな夢主の夢を探してくれる? もしも夢主が協力的ならもっと嬉しい」

「ホホーウ……」

ミミーが何かを探すようにくるくると首を回す。

「夢の幻獣ってWEBの検索エンジンみたいだね」

「……あー、確かに?」

キーワード検索を終えたミミーが俺達の方を振り向いて……コテンと小首を傾げて思いがけない事を言った。

「ホーウ……主よ、『是非に我を』と呼びかけてくる夢がある。応えて良いか?」

「え?」

この内容で立候補?

「え……なんか古のワンクリック詐欺みたいな夢とかじゃないよね? 入ったが最後、広告まみれで身動き取れなくなったりしないよね??」

「ホー……?」

「うん、ちょっとWEBから離れようか」

色々質問してはみたが……結局、繋いでみないと夢主の事は分からないし、それが悪夢かどうかも分からない。

「ホー……しかし、想いに反応せし存在ではあるはず。無意識の深淵、夢の混沌にて、死の井戸へ落ち溶けることも無し……我らに近い存在ではあるまいか」

幻獣に近い? でも幻獣ではないのか。

「んー……それなら、ちょっと怖いけど、試しに行ってみる?」

「……まぁいいよ」

明確に敵だって決まってるわけじゃないし、本当に協力的なら助かるし。

「うん、じゃあ行ってみよう。ミミーちゃん、繋いで。ペタちゃんは向こうが危害を加えてきたら即反撃してね」

「ホーウ」

「受諾」

警戒しながら、夢路を繋ぐ。

……と、ここで奇妙な事が起こった。

いつもなら、空間が丸く口を開けて、向こう側の景色が浮かんで見える……が、空間が収縮して現れたのは、俺達の背よりも大きな1冊の本だった。

「えっ?」

「……なんだ?」

表紙に夜の街並みが描かれた絵本は、部屋の天井に少しつっかえて窮屈そうに傾いている。

タイトルは『えほんのなかのピリオノート1』。

そして表紙が勝手に開かれると……そこには『ノックしてね!』と書かれたプレートが貼られた扉の絵が描かれている

「……『扉絵』って事?」

少し嬉しそうなキーナがワクワクした顔で扉をノックする。

すると……『待ってました』と言わんばかりに扉が開いて、中から見覚えのあるモノ達がワッと顔を出した。

「いらっしゃいませー!」

「ヒトの子様2名、その他いっぱい! 大歓迎ー!」

「安全地帯をご希望ですって?」

「最近の我らはヒトの子お助けキャンペーンの真っ最中!」

「全面的にバックアップさせていただきますよー!」

「なので是非とも! 是非とも我々の事をお友達にもお話してくださいませー!」

「あ、『桃騎士』に『赤リボンちゃん』に『バトルブーツを履いたニャンコ』だ」

「……だよな、見たことあると思った」

そうか、完成して売れてるのか……裏ピリオ的な絵本。

* * *

「いやはや、これほどの有名人に来ていただけるとはー!」

「素晴らしい噂の渦……さぞや名の有るお方とお見受けします」

「ステキ!」

「なんかあったことある気配のような気もするけどー、わざわざ布オバケみたいな格好してるなら深くは聞きませんともー」

ピリオノートのアヤカシ達なら特に不安も無い、俺達は招きに応じて絵本の中に描かれたピリオノート……の、図書館の中にお邪魔した。

「すいませんねぇ、まだまだ出来たばかりで図書館しか使えなくって」

「遠くに見える所はまだ絵のまんま」

「知名度不足なのよね」

「パパにはもっと頑張ってもらわないと!」

他の夢と違って、ここは絵本の絵がそのまま立体になっているような奇妙な見た目をしている。

知名度不足とは、そのままアヤカシとしての力不足なんだろう。動けるのは図書館のカウンターがある部屋だけだ。そこから先へ行こうにも、扉がまだ描かれた絵のままで立体になっておらず開けない。

「面白いねぇ」

「……突き指にだけ気をつけて」

有名になるほど、ピリオノートの街の中に出られるようになっていくんだろう。

そんな場所へとやってきて、ペタは平然としているが、ネビュラとミミーは不思議そうにキョロキョロとしている。

特にミミーは、アヤカシが気になるのか近くにいる鳥のようなアヤカシをガン見していた。

「とはいえ、夢の中でお手伝いをするのに不便はありません!」

「アヤカシは夢との親和性が高いのでね、夢の中で動くの得意ですよ」

「絵本が皆様をお呼びしたようですが、どのようなお手伝いをご希望で?」

「えっとね……今、夢の中に拠点を持って悪いことしようとしてる錬金術士の集団がいて」

キーナが経緯を説明すると、アヤカシ達の目の色が変わった。

「あー! 眠ると変な夢に連れて行かれてる子の話だ!!」

「知ってるわ、お腹の中に悪い夢が溶けちゃってるから外から止められなくて」

「現実の街で追いかけられてるくらいなら助けられたんだけどねー、こっちはどうしようかと思っていたの」

話が早い。

俺達がその連れて行かれた先を探そうとしている事を伝えると、アヤカシ達は俄然やる気を出した。

「そういうことなら!」

「皆様が何処から来たのか分からなくしていればいいのね?」

「相手が花なら根に気をつけよう。夢を抜けて枕の周りから地面へ根付かれると厄介だから」

「それさえここで止めてしまえば大丈夫だよ」

理解が早い。

……これはもしかして、運営的には夢対策はアヤカシの方をご用意していたのかもしれないな。ちょうど和風の街が実装されて、アヤカシが有名になってきた所だったし。

夢魔はユメツツミ豆が無いと孵すにも時間がかかるから、得られれば有利になるレアポジションかもしれない、卵の数にも限りがある。

「じゃあ、ここからその夢を探してもいいかな?」

「もちろん!」

「護りはお任せを」

「やってやりましょう!」

話は決まった。

いい砦が得られて助かったな。これならセキュリティ対策も問題はなさそうだ。