軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:宿題

夢のミミズク幻獣をスカウトするターンが終了した後で、俺がジャック達三兄弟に手伝って貰って採って来たユメツツミ豆をお裾分けした。

ジャック達はそのままアーチのある島で遊んでから帰るらしいから置いてきた。小粒三兄弟には精神年齢が年配の面々がいるから大丈夫だろう。

検証勢と石板NPCに豆を渡すと、しばらく部屋の中はアイテムの確認と意見交換をする賑やかな座談会のようになった。

俺とキーナは若干手持ち無沙汰になって、テーブルの上の料理や菓子を食べている。

情報もアイテムも出したし帰ってもいいかと思ったが、その空気を察したのか『まぁまぁまぁまぁ!』『しょっぱい物もありますんで!』とテーブルの上におかわりが並べられた。

俺達はなんとなく流されて再び席についた。

(アイスめっちゃ美味しい。どこで売ってるのか訊いたら教えてくれるかな? 拠点の皆にも買えたら買いたい)

(だな……ピリオ限定みたいな事は言ってたし、ピリオノートのグルメまとめみたいな所にも店の場所あるかもしれない)

(あー、そんなのもあったね……ピリオの美味しいお店のお土産メニューとか今度まとめて買って来よっか)

(だな……このフライドチキン美味い。外側がサクサクで中がジューシーだ。小さい骨も無くて食べやすい)

(どれー?)

そうしてダラダラと過ごしていると……検証勢の内、夢の幻獣と契約した面々がシステムウィンドウを開きながら固まって話し合いを始めた。

(……パヤヤちゃんとミミズクちゃんの愛好家の集まりでも企画するのかな?)

(まさか)

そんな相談は今ここではやらないだろ。

少し見守っていると、チラッとその面々が俺達の方を見た。

そして仮面を被ってはいるが俺達がそっちを見ている事に気付いたんだろう、頷きあってから俺達の方へとやって来た。

「森夫婦さんって、この錬金術士達相手の調査は割と本腰入れてやるスタンスです?」

パヤヤと契約済みの抜け毛千本ノックさんが代表して訊いてくる。

「まぁそうですね。あんまりNPCに聞き込みとか得意じゃないんで……夢の中から情報集めの方が良さそうって思って動いてました」

キーナの返答を聞くと、抜け毛さんはニンマリと笑った。

「じゃあ森夫婦さんに宿題です」

そう言うと、テーブルの料理を少し除けて出来たスペースにノートのページくらいの羊皮紙を広げた。

「今ですね、例の『夢見の薬飴』を食べたヒトが見る夢の場所を探そうかって話になってんですよ」

「あー……なんか、宇宙人に攫われた人の体験記みたいな夢見るって新聞に書いてたやつです?」

「そうそう!」

宇宙人の例えのくだりでパピルスさんが吹いたのが視界の隅に見えた。

「目隠しされて硬い台に寝かされて拘束されてるのが共通なんですけど……つまり! すぐに拘束出来る台がある部屋とかがあらかじめ準備されているのかもしれないわけですよ」

「ああ、確かに」

「目隠しをされるって事は周りのヒトの顔を知られたくないからだとは思うんですが、目隠しを強制出来るからこそ、どうせ見えないと思って周りに重要な情報とかが落ちてる可能性がある」

と、検証勢は考えているらしい。

「今、夢の幻獣持ちでそこを探してみようかって話になったんですけど、お二人の話を聞く限り、夢の中って夢魔がいないと色々不利そうじゃないですか」

「……まぁそうですね」

「あ、クソデカウツボカズラに飲まれた時も、夢の中で夢守で反撃して復帰しましたよー」

流れでしれっと情報を増やしたキーナのひと言で、検証勢が何人か頭を抱えて仰け反った。「あー! そういうことかよー!」「やっぱり鍵は森夫婦だったー!」とかうめき声が聞こえてくる。

抜け毛さんも苦笑いして右手を額に当てながら話を続けた。

「なんで俺達も夢魔をゲットしてある程度育ってから探索に乗り出そうって話をしてたんです……が! お二人なら、すぐに探索行けますよね? それもある程度の抵抗も多分出来ますよね?」

まぁ出来るだろうな。

二人揃って頷くと、抜け毛さんは満足そうに微笑んだ。……そのヒャッハーな見た目で明るく微笑むと逆に怖いな。

「じゃあ宿題です! 今言った場所を、先行して探していて下さい! もし何かしらの情報を得られたら、ここでもパピルスの店でもいいんで、伝えていただけると助かりまーす!」

なるほど?

まぁそういう協力の依頼なら否は無い。

こっちも当てもなく夢を彷徨うよりは探す対象があった方がやりやすいからな。

抜け毛さんは今の内容をサラサラと羊皮紙に書いて、俺達はそれを受け取った。

そして話がまとまった所で、検証勢の方針もまとまったようだ。

頭脳労働が得意なチームは引き続き書類の精査と素材アイテムの調査。

そして夢魔の育成待ちの面々は……育成をしながら並行して別の事を進める事にしたらしい。

「白夢草なんですけど……掲示板で検索したら予想外の情報が出てきまして」

「予想外?」

「なんか……開拓地所属の幼女NPCがですね、家の周りに生えてる花で花冠を作って開拓主のプレイヤーにくれたらしいんですけど……それが『白夢草の花冠』ってアイテムになったらしくて」

「「えっ」」

「しかもですね、該当する開拓主で面識のあるプレイヤーに連絡とってみたら……観光がてらイベントの開会式に来て、いつの間にか持ってた飴玉食べちゃった一家と一致してるんですよ」

「「うわ」」

「なので、ちょっとその辺の調査をこっちは進めておきますので、夢の中の調査は是非とも森夫婦お二人にお願いしたいです!」

「はーい」

「……わかりました」

確かに、そっちの調査は俺達には不向きだ。

この変装姿で白詰草の事を訊いて周るのは、不審者以外の何者でもない。

集まりは解散。

豆だけじゃなく、ちゃっかり夢のミミズク幻獣と契約までした石板NPCの爺さんに見送られて、俺達は屋敷を後にしたのだった。