軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:情報とアイテムの提供中

「まずこれが、急いで片っ端から確保した書類関係でー……」

「古紙回収業者みたいな量出てきたぞー!」

「これは草」

「お、『錬金術レシピ集』あるじゃんよ論丼!」

「よっ! ベストセラー執筆学者!」

「……敵対NPCの持ち物なんだが?」

「次が、山積みの素材達でー……あ、こっちがお砂糖と一緒にあった、怪しい『白夢草の蜜』ですね」

「おお……おお!……おおおー!?」

「よっしゃ! 飴玉のヒントかー!?」

「出番だぞ錬金術士ー!」

「まかせろ」

「で、まだいけそうって思ってまるっと盗ってきた部屋の機材です」

「ちょ」

「引っ越しかよ!」

「この量が無くなるとか悪夢だろ」

「なんという懐への攻撃」

俺達の共有インベントリから順番に取り出される大量のアイテムを目にする度に、検証勢が驚き、喜び、笑い、そしてドン引きしていた。

「ここまで根こそぎ持ってくる発想は無かった!」

「空き巣の概念が壊れる」

それな。

そこそこに広い石板NPCの部屋の床がドンドンアイテムで埋まっていく様子に、当の石板NPCの爺さんは呆れたような顔でひと言。

「後できちんと片付けるんじゃぞ」

「ウーッス」

「分かってまーす」

「すんませーん!」

今すぐ出ていけって言わないあたり懐の広い爺さんだ。

アイテムが出された後は、集まった検証勢達はそれぞれの担当へいそいそと散って行った。書類を読むのが得意なプレイヤー、錬金術の研究が得意なプレイヤー、道具や家具のメーカーに詳しいパピルスさん。

そして……青っぽい色味の戦隊が俺達のテーブルの前にやって来た。

「じゃ、夢魔の情報を貰えるって事で、よろしくお願いします」

「はーい」

「……はい」

戦隊シアンを名乗ったプレイヤーは、紙とペンと画板を取り出して俺達の前にスタンバイ。

キーナは、テーブルの食べ物をちょっとよけて、念のため持ってきていたペタの卵と鉢植えのクラウンを置いた。

「えーっと……まず夢魔とか悪魔がどういうモノかご存知ですか?」

「ご存知ないのでそこからお願いします!」

アイテムの周りで作業していた検証勢も一斉に頷いた、そっちはそっちで作業しててくれ。何故か石板NPCの爺さんも一緒に頷いていた、なんでだよ。

キーナはまず、出来るだけ分かりやすいように悪魔についての説明をした。

欲望と、その欲望に噛み合う要素とが合わさって必要な量になると生まれる種族だという事。

「だから夢魔は夢溜まりから生まれるし、魔武器は武器に卵が出来るわけです。こっちの……開拓地の世界は生誕の神様パワーで特に生まれやすいらしいですよ」

「なるほど」

戦隊シアンさんは「だからガルガンチュアに【悪魔使役】が生えたのか……」と呟きながらガリガリとペンを走らせた。

「で、これが夢魔の『夢守』と『白夢草』です」

「え、ちょっと待って? えっ? 昨日の今日でもう白夢草と契約したの??? 前から生息地とか知ってた??」

「ムモリは結構前から契約してましたけど、白夢草は昨日が初見でしたねぇ。あと、夢魔の生息地は知らないです」

慌ててペンを走らせる戦隊シアン。

夢魔の生息地なぁ……無さそうな気がするんだよな。

っていうのも、ヒトの欲を食べて成長するって設定の生き物だから、ヒトがいないと生きていけないはずだ。これもある意味ヒト有りきの存在。って事は、今までヒトがいなかったこの世界に野生個体がいる気がしない。

まぁ、人知れず生まれて気付かれていない悪魔の卵とかが転がっている可能性はあるが。

「まずこれが夢守です。ドリームキャッチャーに籠められた『夢から守って欲しい』っていう欲と、ドリームキャッチャーに引っかかった夢から卵が出来てるんだと思います」

「あっ、インテリアなんだか従魔の卵なんだか分からなかったやつ!? え、卵にイモリっぽい影がある……孵ったの!?」

「孵しました」

「どうやって!?」

キーナは少し考えるような沈黙の後に、ふと俺の方を向いた。

(豆の事も教えていいよね? てか少しお裾分けしていいよね?)

(いいよ)

ここまで情報公開しておいて、豆だけ秘匿は生殺しがすぎるだろ。

キーナは、夫婦共有インベントリからユメツツミ豆をいくつか取り出してテーブルに乗せる……と、他で作業をしていた検証勢もわらわらと集まってきた。

「僕らが入植してる拠点の近くにこんなの生えてまして。夢守の卵が夢から生まれてるなら、夢が足りなくて孵らないんじゃないかと思って、この豆盛った上に置いたら、ピカッと」

「「「「おおー!」」」」

触ってもいいか?と訊かれたので許可を出すと、各々ひと粒ずつ手に取って観察をし始めた。何故か石板NPCも手に取って観察していた、なんでだよ。

「あー……ちょっとお裾分けには量が足りないかな?」

「……いいよ、俺が採ってくる」

「あ、いいの?」

「いいよ……錬金術士達とやり合うのに、あった方がいいですよね?」

「「「「「是非!!」」」」」

いい返事だ。そして何故か石板NPCも「儂も欲しい」と挙手をした、なんでだよ。

多分、検証勢だけだと戦力的に心配だから戦闘勢の分もある程度必要になるだろう……となるとそれなりの数がいるな?

(相棒、ジャック達豆の収穫に連れて行くわ)

(はーい)

キーナにこの場を任せて、俺は一度館を出て拠点へと戻ったのだった。