作品タイトル不明
キ:帰ってきて話を聞いて
「……って感じで、相棒はポメベロスちゃんと一緒に出かけたよ」
「ふむ、そうか」
相棒がめっちゃかわいい黒ポメちゃんとお出かけしてから、僕はネビュラと一緒にのんびりと相棒の帰りを待っていた。
危ない事があったらネビュラが呼ばれるだろうし、そうしたら僕も指輪で駆けつけられるからね。
ネビュラに背中を預けつつ、のんびり膝の上のクロちゃんのブラッシングを楽しんでいると……相棒が出かけた時と同じ紫色の穴が開いて、そこから黒いポメベロスちゃんと相棒が出てきた。
「おかえりー」
「戻ったか」
声をかけるとポメベロスちゃんと相棒が僕らの方へ振り向いて……
「「「キャウウウウウンッ!?」」」
ポメベロスちゃんは悲鳴のような声を上げて仰向けにひっくり返った。
* * *
「つ、つまり……告死獣とはですね……」
「死の神様のメッセンジャーであり、世界を見回って死した魂を導くのが平時の仕事」
「そしてそして、有事の際には他の神の眷属と共に尖兵となるのが役割なのですぅ」
「ほほう」
ネビュラにお腹を見せた服従のポーズのままで、ポメベロスちゃんは出かけた先がどこで何があったのかと、告死獣とは何かの説明をしていた。
告死獣は死の神様の眷属。
つまり神様の部下。
そしてネビュラは死の狼精霊。
つまり神様の部下。
一見同じ立場に見えるけど、所属する世界が違うから、その辺の序列もちょっと違ったようで……
本国の世界では。
主神>他の神>眷属>精霊
こういう並びになる。
そして開拓地のあるこっちの世界では。開拓神とかの立場はややこしくなるから、ちょっと脇に置いておくと……
生誕神(主神)>精霊
と、なるんだって。
つまりこっちの世界の精霊は、流石に本国の世界の神と同列にこそならないけれど、神と眷属の間くらいの序列の判定になるらしい。
(……でも、相棒はそんなネビュラの主なんだよね)
(うん、でもついさっき告死獣見習いとして登録されてきた)
(じゃあポメちゃんの後輩なんだね)
(そう)
なんという事でしょう! 序列がウロボロスしてる!
そんな面白い事になった相棒は、右目まで魔眼になって帰ってきた。
「色とかどう?」
「特に変わってないよー」
「……使ってる時は? ちょっと、あの 的(まと) にやってみる……」
「……あー……よく見たら、ちょっと紫色にぼんやり光ってる」
「Oh……」
ほんのりとだけどね。
昼間だと分かりにくい、夜なら目立つかも。
そして相棒がちょっと気になったらしい『異世界の神様の眷属の能力である【告死】をほいほい使って良いのか問題』について。
これは当然ネビュラに確認してみて、ネビュラは当然のように『ヒトの子よくわからん』みたいな顔で答えてくれた。
「……? ……神に授けられた狩るための能力であろう? 何を躊躇う必要があるのだ、好きに使えばよかろう」
「だよな、知ってた」
こっちの世界は、弱肉強食で生きてるからか、そういうのあんまり気にしないよね。
それこそ使い所を気にしたのは死の海の水くらい? 弱肉強食に組み込まれてなかった特殊危険物だからこそ精霊が管理してる感じだし。
でも逆に言えば、それ以外は別に、って感じ。
「【告死】は告死獣の能力って事で貰ったんだよね? さっき帰ってきたみたいなワープする穴の能力は貰えないんだ?」
「それは駄目なのだ!」
「自然と習得出来んほどに未熟な告死獣は!」
「見習いを終えねば授けられぬルール!」
「へぇ~」
つまり300年後かぁ、プレイヤーは使用不可って事だね。
まぁレアな素材っぽいとはいえ、装備がトリガーで起こるイベントでワープ能力まで貰えたら強すぎるか。
素材と言えば、相棒の装備になった告死獣の毛皮は別にケルベロスのじゃないらしいよ。たぶん黒ヒョウか何かじゃないかって。
告死獣の素材は有用だから、告死獣が何かでお亡くなりになったら、死の神様がどんなに忙しくても自ら解体して信者とかに渡してるらしい。
死の神様は、お骨を大切に自分の所に保管しておくんだって。
それが死の神なりの供養の仕方で、告死獣の名誉でもあるんだとか。
……でも。
「相棒が死んでも勝手に連れて行って解体しないでね? 相棒は僕のだからね? 僕も相棒のだからね? 離れ離れにしないでね?」
「こ、このヒトの子、怖いぞ!」
「なんなのだこの迫力は!?」
「わかったわかった! 主君に伝えるのだー!」
わかればよろしい。
ゲームとはいえ、釘は刺しておかないとね。
さて、そんな感じで相棒とポメベロスちゃんから、本国の死の神様の話を聞いて思った事。
「……なんか、悪魔と相性良さそうな神様だね」
「ああ、なるほど?」
ルール通りにかっちり仕事処理したい神様でしょ? 融通利かせなくていいなら悪魔は適任な気がする。
「悪魔にお手伝いしてもらえないのかな?」
「……それ大丈夫か?」
「んー? だって エフォ(EFO) の悪魔って別に悪人じゃないじゃん? ……ねぇ、悪魔って神様の所で働いちゃ駄目なの?」
「別に駄目ではないぞ?」
「だが悪魔なぞそうそう生まれんだろう!」
「クゥン、我らの勇ましき肉球で書類仕事が出来れば……っ!」
とりあえずその勇ましき肉球をぷにぷにさせてもらいながら、僕は首を傾げた。
……そうそう生まれない?
ドリームキャッチャーから夢守の卵はちょいちょい出回るくらいには生まれてるっぽいのに?
そして気が付く。
「……もしかして、この世界って生誕の神様効果で悪魔も生まれやすい?」
「うむ、無論だ」
あっさり肯定するネビュラ。
そうだよね、魔武器の卵だってポコポコあちこちのプレイヤーの装備で生まれてるっぽいもんね。
って事は……
「ドリームキャッチャーは……確か『夢から守りたい』って欲望と夢が合わさって卵が生まれてたから……『死の神様を手伝いたい』って欲望と何かが合わされば、神様のお手伝いをする悪魔が生まれるかな?」
「……なるほど?」
「ふむ……欲望と合わさる何かが適切ならば生まれるのではないか?」
僕らがそんな話をすると、ポメベロスちゃん達の目が輝いた。
「それならば『信仰』なのだ!」
「神の力となるのは『信仰』!」
「古来よりそう決まっている!」
なるほど、信仰かぁ……信仰かぁ〜!
僕は信仰心とか自信無いけど……まぁゲームだから、イメージすれば大丈夫かな?
「ちょうど死の神の祭壇は作ろうと思ってた。食べ物供えて差し入れしようと思って」
「あ、ちょうどいいじゃん」
じゃあ拠点のどっかに作りますか、死の神様の祭壇。
場所も死の海の近くでちょうどいいしね。