作品タイトル不明
キ:イタコのお仕事
夾竹桃さんの希望で始まりました、グミちゃんの突発降霊会。
始めてみたら……まぁ思った通り。順番に降りてくるのは、毒にも薬にもならなさそうな感じのオバケ達。
『こんにちは、コロンコロンナッツです』
『カナシミクラゲなんかに何かごようですか?』
『地上は眩しいねえ……え、ボク? ヘイミングソクムシだけど?』
『はぁ~い、みんな大好きデリシャスタンポポちゃんでぇ〜す!』
「普通に面白いじゃーん。検証勢が食い付きそうな仕様してんねー」
「……確かに」
「そう言われればそうかも」
知恵の林檎が好きならイタコスライムも好きかもしれないねぇ。今度林檎露店する時に連れて行ってみようかな?
グミちゃんは降霊を連続しているけど、特に疲れたような様子はない。
「続けても大丈夫そう?」
「プニッ」
これは大丈夫の頷き。
疲れたら止めるように言い聞かせて、そのまま降霊を継続する。限界があるなら、それを確認も出来るし。
『我こそは高貴なる存在……スノウスライムなり』
『ピラピラ……どーも、ワカメフィッシュですピラピラ』
『チーッス、ツクシンボーイ君ですよー』
いやぁ、それにしても……色々いるもんだねぇ。
今までピリオノート周辺のウサボールが最弱だと思ってたけど……これを見てると違うような気がする。むしろウサボールがモグモグしそうな種類がたくさんいた。
それこそ、グミちゃんのレベル上げに出来そうな相手がどこかにいそう。
そんな事を考えながらオバケの紹介ショーを見ていると……七夕で使いそうな笹のオバケがグミちゃんの頭上に現れた。
『……カサカサ…… 噂笹(ウワササ) と申します…………カササ……』
うーん、グミちゃんの頭に笹が生えたみたいになってる。
その見た目に僕がちょっと笑いそうになっていると、夾竹桃さんは背もたれに預けていた体をヒョイと起こして前のめりになった。
「噂? 噂が好きなのー?」
『噂を聞いて噂をササやく笹です。マダムパンダによく食べられます』
どこでそんな食物連鎖が起きてるんだろう。
僕はそっちが気になったけど……夾竹桃さんは違ったらしい。
パチンと指を鳴らして、嬉しそうに声を上げた。
「キミだぁー! キミが欲しい!」
『はて……噂を集めて噂を流すくらいが関の山ですが……?』
「それ、最高! アヤカシは語られて強くなるからねー、うちのアヤカシ達の活躍を一緒に見て噂として流してくれるだけで強化に繋がるかもしれないしー!」
あー、なるほどね。
力の弱いアヤカシ達と契約したって言ってたから、その子達の強化に直結するかもしれないんだ。
「この子ならアヤカシ達にも大人気間違いなーし」
「植物系の子なら……拠点での居場所は籠じゃなくて植木鉢にするー?」
「あ、それでもいいんだー?」
植木鉢に刻印入りの板と土を入れて1個渡すと、夾竹桃さんは噂笹と交渉して契約し、噂笹はグミちゃんの頭上から植木鉢に移った。
「よーっし目的達成、お手数おかけしましたー!」
「おおー、よかったよかった」
無事に噂笹は夾竹桃さんと契約した。これで【死霊魔法】も習得できるね。
「いやぁ、面白いねその子。イタコスライム? もっと強いオバケとかは降ろせないのー?」
「強くなったら降ろせるかもなんだけど……現状、あまりにも弱すぎて、レベル上げどうしようかなーって考えてる所」
「あー、そういうタイプねー」
夾竹桃さんは「わかるわかる」と頷いた。
「それなら、海中開拓地で弱い従魔の育成スポット提供してる所があったから、まだやってたら行ってみたらー?」
「え、そんな所あるんだ?」
「うん、前にレベル上げで迷走してた時に行ったことあるんだー」
そういう所なら、グミちゃんのレベル上げも良い感じに出来るかもしれない。
気に入ってるけど育成難易度が高い従魔とかはいくらでもいるだろうからね。まだその開拓地で提供していればいいなぁ。
「じゃあこれ……イタコ頑張ってくれたお 礼(れい) ー」
そう言うと、夾竹桃さんは長方形の紙を1枚取り出して、「【カースクリエイト】」と唱えた。
すると、紙にシュルシュルと線が走って、それが模様として焼き付いた。
「ジャジャーン、レベル一桁の間だけ取得経験値がちょびっと増えるお 札(ふだ) ー!」
「おおー!」
「……なんでレベル一桁の間だけなんですか?」
「それ以上のレベル帯を対象にするには、まだ【呪術】スキルのレベルもMPも足りてないからでーす」
「……あ、はい」
でもあると助かる! なんたってグミちゃん、驚きの弱さだったから!
「ありがとう!」
「こちらこそー」
夾竹桃さんはさっそくアヤカシ達に紹介するからと、植木鉢を抱えて帰っていった。
お互い良い感じの助け合いが出来たね。
めでたしめでたし。