軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:怪しい呪術士さんです。

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ふふ、昨日はおチビちゃん達が来て相棒がいそいそとしてたね。

相棒は人嫌いなんだけど世話焼きでもあるからね、その二つは矛盾せず同居するのだ。

そこへ獣人の子供のNPCなんて保護する事になったら、そりゃこうなるよ。相棒、ゲームの亜人系好きだもん。

あと、リアル人間よりもNPCの方が気楽みたいだから、その分の補正もあるんだと思う。

相棒が楽しそうで何よりです。

僕もおチビちゃん達は可愛いし、まだ危険に晒される可能性があるってんなら全力で保護する気満々よ。健やかに育っておくれ。

というわけで、健やかキッズへの第一歩。

蛇の呪いをなんとかしようの回。

本日のゲストは、森一味の変装状態でやって来た夾竹桃さんです!

「はぁーい、こんにちは子供達ー。怪しい呪術士さんだよぉー」

自分で怪しいって言っちゃったよこの人。

ほら! 姉妹が『わ、わぁー……』みたいな顔になっちゃってるじゃんすか!

なお、サナ君は目をキラキラさせて『じゅじゅちゅしー!』と叫んでいた。オバケの時といい、キミは感性がホラー寄りかな?

事情を話したらすぐに来てくれた夾竹桃さん。

ジャック達にサナ君とナナちゃんをお願いして、キャトナちゃんと一緒に室内へと移動し、蛇の呪いを見てもらう。

背中といっても首に近いから、キャミソールみたいなのを着て貰えば確認が出来た。

皮膚に埋め込むみたいに存在している蛇の鱗。

そこそこ大きめだから、そこそこのサイズの蛇の物かな?

ほんのりと赤黒いオーラを放っているけど……夢の中で見た時よりは落ち着いて見えた。

「あー……やっぱこのタイプかー」

「うん? 見たことある感じ?」

「蛇じゃないけどねー。最近この手のクエストが頻発しててさー」

あ、そっか。

お城でも『攫われて使われた被害者が他にもいる』みたいな事言ってたもんね。

呪い関係だから、呪術士の夾竹桃さんは引っ張りだこらしい。

「んー……とりあえず落ち着いてるから、今すぐどうにかしないと〜みたいな事は無いよ。そこは安心してー」

そして夾竹桃さんは、キャトナちゃんの頭を撫でると「ちょっと先に怖い人達についてのお話するからー、皆の所で待っててー」と言ってキャトナちゃんを外に出した。

「……何か呪い関係でマズい事でもありましたか?」

「んー……お二人さん、公式ムービーは見てるー?」

思いがけない言葉に、僕らは顔を見合わせてコクリと頷く。

「最近本国からヤベー奴らがやって来たよムービーがあったじゃん? あれで新しい使徒の後ろにいた怪しい黒マント覚えてるー? あ、フランゴイベントの時もチラ見せあったやつー」

「覚えてるというか……」

「……俺は何回か会ってますね」

「え、マジで!?」

驚く夾竹桃さんに相棒の黒マント遭遇歴を説明すると、夾竹桃さんはひとしきり呆れてから乾いた笑い声を上げた。

「うわそれ絶対目ぇつけられてるじゃんすかー、ウケるー」

「あの黒マント、夾竹桃さんも会ったの?」

「会ったっていうかねー……さっきみたいな埋め込まれた呪いを剥がそうとすると、たまに妨害してくるんだよね」

えっ!?

あ、でも、相棒がキャトナちゃんと最初に戦った時にも出てきたんだもんね。

「……アイツは、混ざってるのが気に入ってるらしいから……混ざらなくなるのを嫌がる?」

「んー、あってるけど、ちょっと違うかな……たぶんだけどねー……『混ざる事を受け入れてるヒト』がいいんだと思う」

夾竹桃さんが今まで対処してきた中で、呪いに相当苦しめられて、泣いて嫌がっているようなヒトの呪いを剥がす時には出てこないらしい。

「アイツが邪魔してくるのは、こう……覚悟決まっちゃったヒト? の時なんだよねー」

「覚悟……?」

「そー、『自分がこれを受け入れる事で事態が好転するかもしれない』って考えたヒト、かな? ……さっきの子も、たぶんそんな感じじゃない?」

そうだね……キャトナちゃんは弟と妹を守るために、自分が受けた仕打ちを受け入れちゃってた。

僕らが納得した顔になったのを見て、夾竹桃さんは「やっぱりねー」と頷く。

「ムービーでさ、『混沌』って言ってたでしょー? だから、自ら望んで混ざって混沌に近付いていくヒトがお気に入りなんじゃないかなー……だから、コレ」

『コレ』と言いながら、夾竹桃さんが左腕の袖を捲る。

その腕には……赤黒いオーラがドロリと滴り落ちるような何かの爪が2本、食い込んでいた。

「えうっ!?」

「……」

「ちょっと試してみたんだよね、負傷の肩代わりしたのと同じ感じで、呪いを肩代わりしてさー。これだったら妨害されなかったしー、あと黒マントとの遭遇率も上がったからー、たぶん考察は外してないと思う」

「えっ、それ痛くないの……?」

「ゲームだもん痛くも痒くもないよー。でもそこそこのデバフかかるから、よほどの緊急時じゃないとお勧めはできないかなー」

アヒャヒャと笑いながら、夾竹桃さんは袖を元に戻した。

「……デバフは消えないんですか?」

「呪いを受けてる間は消えないねー。今はなんやかんやして解こうとしてる所」

「……手伝いますか?」

「お気持ちだけありがとー。でも、これはちょっと自分で片をつけたいから大丈夫ー」

肩をすくめた夾竹桃さんは、「なのでつまりー」と親指で外を指した。

「あの子の呪いも、剥がすんじゃなくて解く方向にしようってことー」

「……1回僕に移してから解く、とかじゃダメなの? プレイヤーなら死なないから安心なんだけども」

「んー……落ち着いてる呪いって、ようは宿主と相性が良いから落ち着いてるって事なんだよねー。それを無理矢理移すとほぼ悪化するんだわ。こんなふうに」

「実体験!」

「そーだよー、だからお勧めしないー。悪化した呪いのデバフってそこそこキツいから、それによって解くのが大変になるし。あの子だって恩人に呪い移して悪化したらトラウマになっちゃうかもよー?」

うーん……そう言われると、今の内にさっさと呪いを解いたほうがいいのかなーってなるかぁ……でもなぁー、ちょっと心配だなぁー

うんうん唸っていると、夾竹桃さんが苦笑いした。

「大丈夫ー、安定してるって事はそんな難しい呪いじゃないから。まずは呪いの声を聞いてみよー」

まぁそうだね。

呪いの内容でもっと心配になったら、引き受ければいいか。