軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:ソロでステキな洋館へ

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はー……やれやれ、昨日は酷い目にあったね!

柘榴はマズイし、食べたら気絶するし、ピンポイントでメンタル抉られるし。

きっと昨日は運勢が最下位だったに違いない。おのれ星占い。

一晩じっくり愛しの相棒を堪能して、とりあえずそう思えるくらいには復活した。そんな日もあるよね。

さて本日休日昼の部は、そんな酷い目にあいながら手に入れた情報を持って、お嬢様を訪ねに行きます。

ゲーム内朝食を取って、森女スタイルに変装して、ダディスタンバイ。

「はい、お弁当。あとベロニカも連れていきな」

「いいの?」

「いいよ。俺は迷うような所行かないし」

「こういう時にアタシを使わないでどうするのよ」

じゃあ、ありがたく連れていきまーす。

* * *

ピリオノートの冒険者ギルドで地図を手に入れて、北にある登録済みの『湖畔のミストタウン』へ転移したら、そこからは地図とベロニカを頼りにしつつダディに乗って西へ。

冬の丘陵地帯を、大きなニワトリが雪を蹴りながらテッテケテッテケ走っていく愉快な旅路。

ん~、涼しい。

ゲームだからね、防寒対策装備を着ていれば、冬でも指先がかじかむような寒さに震えることはない。

ガチ勢御用達のリアルサバイバルゲームなら、めっちゃリアルな冬の寒さが味わえるけどね。 エフォ(EFO) はそのあたりはマイルドなゲームだから、対策装備をきちんとすれば快適な冬が楽しめる。

相棒がいないのがちょっと残念。二人乗りならねー、この涼しさの中で温もりをめいっぱい楽しめるんだけど。

……うん、とりあえず近くにいなくても怖くない。大丈夫。頭はそれなりに冷えたかな。

怖かったけど、実際何かあったわけじゃないから、そんなに長く引きずったりはしない。……思い出したらちょっと凹むかもしれないけどね。

そんな感じでのんびり走って、自然がいっぱいの雪景色を堪能しながら、休憩を適度に挟んで皆で相棒お手製のお弁当を食べたりして。

僕らは特に何事もなく目的地に到着した。

「おお~」

「へぇ、そこそこ立派じゃない」

「コケッ」

辿り着いたのは、立派な防壁に囲まれている華やかな洋館。

白い壁に青い屋根。繊細な装飾は高級感と品の良さが感じられる職人技で、防壁の上に少し見えるだけでも立派なのがわかる。

いいねぇ~、まさにお嬢様が住んでそう!

……さて、それじゃあ……どうしようかな?

平日の昼間な事もあってか、防壁の外にヒトは見当たらない。声も特に聞こえないから、門をノックしても返事は無さそう。

もしポストみたいなのがあれば、お手紙書いて入れておこうかなーと思ってたけど……そういうのも無い。

まぁ、そりゃそうだよね……誰に何入れられるかわかんないもん。

いくらAIが迷惑行為を見張ってるって言っても、永久BAN上等で迷惑行為するような人はゼロにはならないわけで。麗嬢騎士団は女の子多いから、余計に用心してるはず。

ゲーム的には迷惑行為防止の為に、立ち入り制限がされてる拠点には、防壁の上が空いていようともプレイヤーが何かを投げ入れる事は出来ない。

だから手紙を紙飛行機にして投げ入れたりも出来ない。

NPCは……なんか色々出来ることと出来ない事があったけど……プレイヤーが迷惑行為を指示しても、その拠点入植者の許可を得ない限り絶対にやらないはず。例え従魔であってもね。

だからベロニカに手紙を中に持って行って貰うって方法もダメ。

まぁ……最初からこの時間帯で人に会えるとは思って無かったから、大人しくログアウトして夜にインした時に門をノックしてみようかな?

そんな感じに方針を考えていると……

「あぁ?」

なんとなくガラの悪い声が聞こえて、僕はそっちを向いた。

そこにいたのは、見覚えのあるケモ度高めな犬の獣人。

僕は慌てて声変わりシロップを一気飲みした。

「おいおい、誰かと思えば森女じゃねーか」

「えーっと……『ドMのジョン』さん、だっけ?」

「おう」

あってた。……あってたっけ? まぁ本人が肯定したからいいや。

「うちのクランになんか用かぁ?」

「お嬢様にお話したい事が出来たから、よければアポとれないかなーって」

「ふーん……どんな話だ?」

「図書館の件」

僕がそう言うと、ジョンさんは「ああ、アレか」って何度か頷いた。

「ちょっと待ってな。リアルの夜に会えるか聞いてみっから」

「はーい」

助かる〜、運が良かったね。

ジョンさんがシステムウィンドウを開いてなんやかんやしているのを大人しく待つ。

クランチャットはゲーム外からでも確認出来るから、それで返事を貰ったのかな? そうかからずにジョンさんは顔を上げた。

「いいってよ。リアル9時くらいに来てくれや。門叩けば誰か出る」

おおー、やったぜアポ取り成功!

「はーい、ありがとう」

「…………」

お礼を言うと、ジョンさんは何か考えるみたいに腕を組んで上を向いた。

「……あんたには言わない方がよさそうだな」

「? 何を?」

「下ネタ系の冗談」

「あ、僕はそういうのノーセンキュー」

真剣な顔で何を言うのかと思ったら。

そういうのは身内ノリならともかく、大して関わりの無い相手に言われても僕は困るよ。

僕のNOの返事を聞くと、ジョンさんは不満そうに眉を寄せた。

「チッ……この感じだと森男はコッチ側じゃなさそうだな」

「なんのコッチか知らないけど、たぶん違うと思う」

……そしてこの人、一応そういうこと言う相手選んでたんだね。

見境ないのかと思ってた。