軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:豆ヒヨコ育成プロジェクト

ログインしました。

「……俺はもう駄目だ」

「ありゃ、システム警告でた?」

「うん……仮眠とってくるわ」

「はい、おやすみー」

休日昼間のログインと同時にVRの機械からドクターストップがかかった相棒は、スゴスゴとベッドへUターン。

昨日の夜中に不眠モードになって眠れてなかったみたいだからね。仕方ないね。

でもこういう時にフルダイブVRの機械パワーできちんと睡眠取れるのはいいね。文明の利器。身体はバッキバキになるけど。

……さて、じゃあ何をしようかな。

少し考えて、すぐにひとつ思いついた。

足を確保しよう!

僕の長距離移動はもっぱらネビュラに相棒と二人乗り。

これは大好きなのでこれからも続けたいんだけど……それはそれとして、僕も僕用の乗り物担当の子が欲しい。

っていうのもね……大霊廟の時に気付いたのですよ。NPCの要救助対象がいた時に乗せられる子がいた方が便利だなって。

それに、僕は箒で飛ぶ事も出来るし、デミ・レイスになったから霊体化して飛ぶって手段もあるけど……どっちも戦いながらの長距離移動には不安が残るんだよね。MP使ったり日光に弱かったりするからさ。

そして、僕が乗り物役の子を確保すれば、僕がいない時にジャック達がその子に乗って遠出が出来るのだ。

ジャックは足が速いから、デューとマリーを乗せて走る子がいれば山を越える先の島へのお出かけも、もう少し気楽に行けるかなって。

……というわけで、僕は拠点の豆ヒヨコ達がピヨピヨしている広場へやってきた。

かーわいいー。

ふわふわのヒヨコってなんでこんなに可愛いんだろうね。

僕はシマエナガ大好きだけど、ニワトリもかなり好きだから、どうせならニワトリを乗り回したいのだ。

腰に手を当ててヒヨコを品定めする僕が気になったのか、ベロニカちゃんがパタパタと飛んでやってくる。

「どうしたの?」

「ヒヨコちゃんをスカウトしにきたの」

「???」

キョトンとするベロニカちゃんをひと撫でして、僕は豆ヒヨコ達に向けて声をかけた。

「豆ヒヨコ諸君! 僕はいま、乗り物になってくれるニワトリを募集しています!」

餌をつついていた子、走り回っていた子、ウトウトと舟を漕いでいた子、ぽやんとしていた子、いろんなヒヨコ達が声につられて僕を見た。

「足腰に自信があって、いっぱい走りたい子はいませんか!? 自分はこんな所で終わる器じゃねぇ! でっかい世界を駆け回り、ニワトリレースでトップを取ってやるんだって思っている子がいたら自己主張してください!」

「そんなこと考えてるヒヨコいるの……?」

豆ヒヨコちゃん達はピヨピヨとお互い顔を見合わせて……さっきまで走り回っていた1匹が『ピヨッ!』と跳びはねた。

「いたわぁ!」

「嘘でしょ!?」

嘘じゃないよ、ここにいるじゃんすか。

従魔は主人の希望を汲んでくれるって僕も攻略サイトとかで見たから、それならこうやって本人(本鳥?)に呼びかけて希望を聞けば応じてくれるんじゃないかなと思っただけだよ。家畜は従魔じゃないけど。対話って大事だね!

はい、おいでおいでー。

元気ハツラツな豆ヒヨコちゃんは、他のヒヨコちゃんにピヨピヨ見送られながらピヨッと僕の手に乗った。

「オッケィ、ヒヨコちゃん。では君を進化させて乗らせてもらおうと思います!」

「ピヨッ」

「じゃあこの拠点で……僕らが乗れるくらい大きく、そして足が速くなれそうな食べ物はありますか!?」

ヒヨコちゃんはしばしキョロキョロと周囲を見渡して……フルフルと首を左右に振った。

「ピヨ〜」

「無さげ? よろしい、じゃあ探しにいこっか。ベロニカちゃん、僕らピリオに行ってくるね」

「あ、うん」

「えぇ……嘘でしょ?」って呟きながら呆然としているベロニカちゃんを後に残して、僕はヒヨコちゃんを手に乗せたまま転移オーブへと向かった。

なお、広場の側で全てを見ていたフッシーは、ゲラゲラと笑い転げていた。

* * *

やって来ましたピリオノート。

クリスマスマーケットな露店広場をヒヨコ片手に見て回る。

ヒヨコちゃんがちょっと寒そうだから、両手で包み込みながら、頭だけ出して品物を見て貰った。

いつぞやの覚醒コケッコは、貰われて行った先でヒトが乗れるサイズに進化してたのは覚えてるけど……同じ道を辿ったとして、さらに同じ進化するとは限らないしね。僕が欲しいのは騎乗可能な能力であって、覚醒スキルじゃないし。

というわけで完全手探り、豆ヒヨコちゃん本人にイケそうなご飯を探してもらう作戦なのだ。

……とはいえ、フリーマーケットでもない普段の露店だからなぁ〜、そんな面白そうな進化する変わった物は売ってないかぁ〜。

「端から端まで見ちゃったねぇ……」

「ピヨー」

めぼしい物はイマイチ無し。

そうだなぁ……他に変わったモノが手に入りそうな場所ってなると……

「……猫の取り替えっこ屋さん、かな」

「ピヨ?」

うん、あそこなら何かあるかもしれない。

幸い僕には、知恵の林檎とかヤバい作物とかの進化に一役買える食べ物の持ち合わせがある。

進化可能食品を進化可能食品と取り替えっこしてもらう方向で品物を見せてもらおう、そうしよう!

「……よし、ヒヨコちゃん。ちょっと僕のケープのフードに入っててくれる? これから野良猫ちゃんと鬼ごっこを開始するからね」

「ピヨッ」

【跳躍】のレベルは低いけど……いざとなったらネモを使おう。今はもうネモが珍しくなくなったらしいから、変装してなくても大丈夫。

豆ヒヨコちゃんが落ちないように注意しながら、僕はピリオの住宅街へと足を向けた。