軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:衣装合わせ

やって来ましたピリオノート。

僕と相棒は普段使いの装備を全部外して、完成した民族系衣装だけを装備して街へ転移してきた。

ネビュラもお留守番。

ふっふっふ、RPは好きなんだよ。TRPGとかね。

ただRPをするのとメインで目立つのとは話が別なのさ。

TRPGも自分の声で演技なんてできないからテキストセッション勢だし。表情ジロジロ見られるのも苦手。

『あれがRPで有名なキーナかー』みたいな目線を何も無い時にまで向けられるのは御免被るってことだね。

パレードみたいに舞台に上がるわけじゃなくてその他大勢の二人になるだけだから、僕らがメインみたいにはならないでしょ。

……まぁ、注目浴びたら緊張はしちゃうだろうけど。

それでも縛りプレイみたいになってもどかしい想いをするくらいなら、NPCごっこの方が楽しそう。

広場に降り立つと、何人かがこっちをチラ見して……でもすぐに目線は外れた。

だよね。

リアルだったらギョッとされるだろうけど、オンラインゲームならこういう格好は別に珍しくない。

特にこのゲームは自分で装備を作れるわけだから、『その装備どこで手に入るんですか?』みたいな事を訊かれる可能性も低いと思う。顔が見えない相手に訊くのはハードルが高いだろうし、欲しかったら似たようなのを作ればいいのだ。

僕らは打ち合わせ通り一言も話さないまま、露天広場に向かった。

襲撃スケジュールが出たからか、いつもより装備が凄そうな人が多い気がする。ポーションを売ってる店が盛況な感じ。

……そういえば、露店にテーブルを置いているお店が増えたなぁ。

露店広場も進化してきてるってことなのかもね。

幸い、いつも行くお店は特に位置も変わってなくてすぐに見つかった。

まずはシイタケさんのお店。

僕らが店の前で足を止めると、シイタケさんは珍しいモノを見る顔をした。

「えっと……いらっしゃいませー」

バレてない、と、思う。

相棒は無言で並べられている矢筒を眺めて、適当な白い矢筒をひとつ手に取りシイタケさんに渡す。

「はい、白革の矢筒っすね。50リリーになります!」

【白革の矢筒】…俊敏+2

白い革を縫い合わせて作った矢筒。

製作者:シイタケ

何事もなくお支払いして店を後にする。

……いいのでは?

バレてないバレてない。

そもそも仕草にピンとくるほど親密なやりとりしてるかって言えばしてないからね。

次は弓を売っているお店。

ここも前に買ったのと同じ人の店かな?

店員さんは楽しそうにニヤッと笑って、民族系に似合う角の弓を勧めてくれた。

【ヤギ角の短弓】…威力+12

しなやかな木の弓にヤギ角で強度を増した短弓。

製作者︰上弦弧月

普段使いの弓より強くなっちゃったね。品揃えが前より良くなってるから、今度良いやつ買いに来ないと。

さて、いよいよラストのグレッグさんチャレンジ。

不自然にならないように、周辺の店からじっくり眺めていく。

こうやって眺めてると、大体の店の人は『へぇ~』って感じの表情で僕らを見る。面白いファッションだなーくらいの視線。

そしてグレッグさんの店の前へ。

グレッグさんは『ほほう』って感じの面白そうな顔をした。

でも特に何も言ってこない。

……あ、うたた寝ウサギの毛皮の装備品売ってる。ダンジョン攻略に必要な分より毛皮多かったんだね。襲撃のドロップいっぱいあったもんなぁ。

僕がそんな事を考えながらウサギ装備を見ていると、グレッグさんが口を開いた。

「そいつは精神異常デバフに耐性がある。『蝶の山』ってダンジョンに入るなら、あると便利だぞ」

説明入りました!

バレてない! これはバレてないの確定だよ!

僕はなるほどって頷いておく。そして、まぁ今はいらないかなーくらいの雰囲気に見えてくれって思いながら視線を外した。

そして、MPポーションと、小さな角笛があったからそれをお買い上げ。

音が鳴るだけの雰囲気アイテムみたい。紐がついてるから腰に吊るしておこう。

「まいどあり」

見送られて帰路へ。

途中、フェアリーっぽい人が思いっきり仮面を覗き込んで来たけど、その他は特に何もなく。

特に寄り道もせず、僕らはオーブから拠点に帰還した。

「大成功では!?」

「うん、バレてなかったと思うよ」

現状、僕らが一番親しくしてるのってシイタケさんとグレッグさんだから。この二人に気付かれなければ問題ないでしょ!

その他大勢のプレイヤーから見て『誰だこいつら』って認識の二人組と民族系RPしてる二人組を繋げて考える人なんていないいない。

「よし、では日曜日のピリオ襲撃は、僕らはこの格好で見学に行きます!」

「うん。見学はβと変わってなければ、たぶん外壁の上から出来るってさ」

「え、兵士さんとかの邪魔にならないの?」

「邪魔にならないように広がってれば大丈夫だって。ただし、劣勢で攻め込まれたら遠距離攻撃を撃って援護しないと駄目」

「おお、むしろ僕らの希望にピッタリじゃん」

低レベル帯もそうやって参加しやすくなってるのかな。

「僕らは前線が劣勢になったらなんやかんや手助けするって事でいい?」

「いいよ。相棒はフッシーの【フルリカバリー】撃つんだよね?」

「そーだね。召喚仕様で撃とうかな。相棒はどうする?」

「んー? 俺は状況に合わせて臨機応変に動くよ。ネビュラはデカいまま連れて行く。相棒は杖にどっち入れていく?」

「えっとね……首から下げる小さい籠をもうひとつ作ろうかなって。そうしたらジャックもコダマ爺ちゃんも連れていけるから」

「ああ、いいね」

ちょっとした打ち合わせをして、僕らの準備は完了。

その後はそれぞれ好きに作業をして、今日はログアウトした。

* * *

「はー、どんなだろうねピリオ襲撃」

ベッドに横になってそう言うと、雄夜はスマホ片手に応える。

「開拓地の襲撃の大規模版って感じらしいけど……ただ、ちょっと気になるのが」

「うん?」

「β勢が、やたらスレで盛り上がってるんだよね」

「へぇ~、そんなに面白いの?」

「いや……『 エフォ(EFO) のちょっとはちょっとじゃない!』って」

「えっ?」

エフォ(EFO) のちょっとはちょっとじゃない?

「……どーいうこと?」

「さあ?」

もしかして、難易度めっちゃ高かったりする?