作品タイトル不明
キ:次の試合までの観戦タイム
「おつかれー! 勝ったねやったね! カッコよかったー!」
「うん、ありがとう」
控室に戻ってきた相棒をお出迎え。
いやもう今回も相棒のカッコいいシーンがたっぷり見られて僕は大満足ですとも!
「あ、そういえば。試合開始前に番犬さんが土下座してたのなんだったの?」
「……なんなんだろう?」
「んえ?」
相棒もわからないの?
それはもう迷宮入り確定なのでは??
「実況妖精ちゃんは『試合開始前に上下関係が決まった!?』ってビックリしてたよ」
「ブフッ」
まぁ笑ってるって事は……とてつもなくイヤな事があったわけじゃない、かな?
* * *
さてさて、開幕早々に試合を済ませたから、次の試合まではのんびり観戦モード。
ソファに並んで腰掛けて、ペッタリくっついて飲み物片手にスクリーンを眺める構え。
「トーナメントだから……次の試合に勝った人が相棒の次の相手って事だよね」
「そうなるね」
第二試合はCブロックの『ナムサン』対、Fブロックの『戦隊レッド』
「……どっちも有名な強プレイヤーだなぁ」
「あ、そうなんだ?」
遠い目をする相棒。
そんなにすごいの?
どっちも見覚えはあるけどね。
『ナムサン』はグレッグさんの所でよく見るゴツい手甲持ったにこやかな人で、『戦隊レッド』はフリマで鈍器片手に僕らの露店の近くで周囲を威嚇してた人。
2人の試合を眺めてみたら……うん、すごかった。
なんだろう、2人共あんまり動かない。
でもすごい数の球が飛び交ってワンドビュンビュン振りまくってる。当たりそうなもんなのに、当たらない。
「こっちの『ナムサン』があんまり動かずに弾幕で勝負するタイプ」
「ほほう」
「で、『戦隊レッド』は臨機応変に色んな戦い方が出来るタイプ」
「へぇ~」
「2人共、飛んでる球数が多いから打ち返すのに集中してる感じ」
「ほあ〜」
結果は『戦隊レッド』の勝利だった。
「……厄介な方が残った」
「あ、戦隊の方が厄介なんだ?」
「隙が無いから」
「あ~」
「スレ民の選手評価だと『レッドはとにかく上手い』としか書かれない」
なるほど、臨機応変に動けるからウィークポイントが無いのか。
それは確かに大変そうだねぇ。
さらに試合は続く。
Lブロック『ガンスリンガー』とHブロック『雷切伝道師』の試合は、どっちも俊敏がめっちゃ高いステータスらしくて、僕には横でスロー再生してくれるスクリーンが無いと何が起きてるのかわからなかった。
相棒は自分もめっちゃ早いモードになればわかるんだろうけどね。
ここは『雷切伝道師』が勝ち抜き。
「この忍者さんの評価はどんな?」
「えーっと確か……『忍べない代わりに高俊敏を生かした忍者っぽい動きで、相手に狙わせないプレイをする』」
「ほほー」
なるほど、忍者だ。
Bブロックの『角刈り雀』は今回の本戦唯一の鳥系獣人。
狭いコート内だと飛べないから、翼はむしろハンデになってて大変そうだねぇ。
でもPブロックの『ミネラルクラッシャー』に勝ってた。強いスズメだ。髪型が角刈りだからスズメなのに見た目もめっちゃ厳つい。
「スズメさんは?」
「『的がデカイからと侮るな。反射神経の鬼で片っ端から全部打ち返してくる』みたいなこと書いてあった」
「つよい」
見てて面白かったのはEブロック『スペードの道化師』
球の扱いがものすごく上手くて、円柱状のコート内で延々と縦に反射し続ける球を数カ所に設置して通りにくい所を作ってた。
球を適当に打ってるように見えるのに、数個の球が綺麗に並ぶように飛んだり。
最後なんて四方八方に飛ぶ球が全部相手選手に集中してたよ。どうなってるのあれ?
Gブロックの『エッグ・エッジ』を下して、『スペードの道化師』が勝利。
「このピエロも強い」
「ほほう?」
「『魅せプがまだ崩れていない。実力は未知数』とか書かれてる人」
「あっ、それは強キャラに書かれる文章ですねぇ」
本気出したらヤバいやつだ。
「てか、もう本戦だったけど、もしかしてまだ崩れていないのでは?」
「崩れてないな」
ヒェ~。
「ちなみに相棒はどんな評価書かれてるの?」
「あー……『基本をしっかり固めた堅実な動き。高俊敏でゲーム慣れした対応をする』とかだったかな」
「おおー、それなんだかんだ強いやつじゃん」
「そうかな……?」
「そうだよ」
堅実な相手って、よほどトリッキーかよほど上手いかじゃないと倒せないんだから。
「……あと、『嫁がいるリア充』とも書かれてた」
「それ評価にいる??」
ラリーストライクなんも関係ない!
「にしても、同じ競技やってるのに皆個性が出るねぇ。ワンド持ってショットとラリーとストライクしか出来ないはずなのに」
「技とか戦略次第って事だな」
制限のある競技でコレなんだから、自由度の高い エフォ(EFO) 本来の戦場になったらどうなるんだろうねぇ?