軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:秘密のお客様専用オーダーメイド

俺達を置いて小人のウェーニンさんがダッシュで消えると、ヒゲのオッサンな上弦弧月さんが店を『Closed』にして扉に鍵をかけた。

……いやなんでだよ。

何が出てくるんです??

そしてダッシュで駆け戻ってくるウェーニンさん。

「オラァッ! 刮目しろぉ!! これが俺の最新作、『光学迷彩マント〜オン・オフ機能付き〜』だぁあああああ!」

そう言ってウェーニンさんは何かを取り出し……たのか?

バサァッて音がしたのと同時に、ウェーニンさんの姿は完全に消えた。

「……」

「……??」

「…………兄貴、見えない。見えてないから」

「そりゃそうだろ光学迷彩なんだからよ!」

「わぁ、何もいない所から声がする」

オン・オフ機能があるならオフにしてから出せよ!

なんかボウガンの時にもやったぞこの流れ。

機能をオフにして見えるようになったマントは、パッと見は黒革製の、普通に普段使いできるようなマントだった。

【黒革の魔導光学迷彩マント】…物理防御+4

黒革を使って作られた丈夫なマント。

付属の魔道具で着用者の完全な透明化が可能。

製作者:ウェーニン

留め具にチェーンと白い石が着いている。この石が魔道具なのか。

マントは本当に羽織るだけのマントで、フードも無いし手足は普通にマントからはみ出るが、それでも光学迷彩は全身に適応されるようだ。

……【闇魔法】で影に隠れるような事はできるが、いつでも透明化できるマントがあれば隠密の幅は広がりそうだな。

透明になるマントなんて色んな所でお馴染みのアイテムだ、ありがたくお買い上げしよう。

……と、思っていたら、ウェーニンさんが何でもない雰囲気で、もうひとつ、インベントリから取り出した。

「で、こっちが変身中に使う用な」

【隠草布の魔導光学迷彩ロングマフラー】…物理防御+3

隠草を織った布を白く染めたロングマフラー。

付属の魔道具で着用者の完全な透明化が可能。

製作者:ウェーニン

差し出されたのは、白い布を使った長いマフラーだった。

毛糸のような厚みは無い。たぶん風にヒラヒラなびく系の見た目重視マフラーだ。

ただ、俺にはそれよりも聞き捨てならない事があった。

「……変身中ってなんです?」

「え、変身中は変身中だよ。いるだろ?」

イイ笑顔で当然のように言うな。

俺はウェーニンさんに変装状態の話をした記憶は無いが?

……すると、ペッカペカの笑顔のウェーニンさんの代わりに、上弦弧月さんが申し訳なさそうな顔で口を開く。

「あー、すまんなユーレイさん。実は大街道イベントの時に……俺達、見ちまったんだ」

「え」

「木の上から岩石のヤドカリを兄貴のボウガンで遠距離狙撃したアレだよ、アレ」

あ、あー……

アレ見られてたのか……そうか、作り主ならわかるのかー……

「まったく、お得意様がそんな面白い事してるならよー! こっちもそれなりに仕様を考えるってんだよ! ってわけでアンタ向けの買い替えボウガンはコレな」

【長距離用変色機能付ボウガン-WN037】…威力+20

仕掛けと魔法が組み込まれた長距離用の魔導弓。

付属の光魔法で魔導弓の色変えが可能。

製作者︰ウェーニン

【近距離用変色機能付ハンドボウガン-WN046-A】…威力+16

仕掛けと魔法が組み込まれた近距離片手用の魔導弓。

付属の光魔法で魔導弓の色変えが可能。

製作者︰ウェーニン

「光学迷彩はマントとマフラーに任せて、ボウガンには色を変えられる機能を付けた! これならどっちの格好しても、色を変えれば別物だって言い張れるだろ? わざわざ別の武器を用意しなくてもいい! 財布に優しい仕様だ!」

……客の財布を気遣ってくれてありがとうございます?

そして、そんなウェーニンさんを半分呆れた顔で見ていた上弦弧月さんも、一度俺に目を向けてから、スッ……と静かに弓を差し出してくる。

【風吹きの変色短弓】…威力+20

風吹きの木を使って作られた短弓。

放つ矢の速度がわずかに上がる。

付属の光魔法魔道具で弓の色変えが可能。

製作者︰上弦弧月

「……まぁ、うん。わざわざ別の弓を買うよりは、使いやすいかと」

そっちもかー!

俺は片手で顔を覆って、乾いた笑いと一緒に出てくる苦笑いを押さえつけた。

「……で、俺達にどうしろと?」

「まぁまぁまぁまぁ、俺ら兄弟は末永くうちの商品を使ってもらいたいだけだって! こんな面白い上客! 秘密バラしたりしねーから、なぁ?」

「そうだな……ユーレイさん、兄貴はこの通りテンションはクソだが、口は堅いから、安心してくれ」

「おい愚弟! テンションはクソってなんだ!?」

ギャーギャーと言い合いを始めた兄弟を横目に、ポカーンとして静かだった相棒が正気に戻ったのか、そっと俺の袖を引いた。

(……つまり、森夫婦だってバレてたって事でいいんだよね? で、特にバラしたりしないよーって事で、いいんだよね?)

(たぶんそう)

俺達は明言してないけど、まぁもう言い逃れは出来ないだろう。

(……まぁ良かったんじゃない? これで僕らの拠点周りで取れる素材とか持ち込みも出来るし)

(まぁ、ね……)

確かにオーダーメイドな感じで装備を用意してもらえるのは普通に助かる。……その暴走列車気味なテンションに目をつぶればな。