軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:砂漠の街へ旅に出よう

さて、周りが盛り上がりまくったおかげで、あっという間に儀式の決行日が決定したわけだが……俺達には問題がひとつある。

「……儀式ってどこでやるんだっけ?」

「『砂の都・サラサオアシス』っていう砂漠にある街」

そう、俺達は儀式場に決まった街に……まだ、行った事が、無い。

……幸いにも、儀式の決行日は金曜日の夜。

俺達は木曜と金曜が休みだから、本番まで充分な時間はある。

「じゃあ目指してみよっか!」

「だな」

結構遠い街らしく俺達以外にも未到達者がいるから、儀式当日に開拓主のアラジンさんが拠点招待をやってくれる事になってはいる。

……ただ、キーナが出来るだけ新しい街は自分で行きたい派だからな。時間があるなら向かってみよう。風切羽があるから、何かあったり間に合わない場合は戻れるしな。

なお、俺は新しい街への行き方は時と場合による派だ。どっちでも可。

まずは準備の前に、冒険者ギルドへ行って、現在の世界地図を確認する。どのくらいの距離になるのか確かめておきたい。

「また広がってるね」

「海が一気に地図に載ったな」

魔術師団長の兄の遭難騒ぎの時と比べると、海の地図の穴だらけだった部分は綺麗に埋まっていた。

大街道の繋がる四方の街の先も、かなり広がっている。

今回目指す砂漠は、ピリオノートからずっと東だ。

「ピリオから東……ブリックブレッドの街があって……そこからもっと東……」

前に『絆の梟幻獣』に会いに行った森があって、砂漠はそこからさらに東だ。

距離的には途中に他の開拓地があってもおかしくないんだが、たまたま空いてるのか、配置されたプレイヤーが街を作るつもりが無かったのか、あるいは放棄かキャラデリしてるか……中継地点になる街は無い。

その砂漠の、地図に載ってる範囲ではまさにど真ん中に『砂の都・サラサオアシス』はあった。

「わぁー、最初にピリオ側から辿り着いた人、よく見つけたねぇ」

「それな」

結構広いぞこの砂漠……

ネビュラに乗っていかないと儀式までに間に合わないな。

とりあえず地図を書き写して……と思ったが、冒険者ギルドでいくつかの箇所をピックアップした地図が販売されるようになっていた。

踏破地域が広くなって開放された機能らしい。

ブリックブレッド東と、砂漠の地図を購入しておく。

そして一旦拠点に戻って、長旅の準備をした。

「水は【水魔法】あれば大丈夫……だよね……?」

「まぁ大丈夫だと思うけど?」

「……怖いから樽ひとつ分はインベントリに入れておこう」

「……相棒の個人インベントリって今どうなってる?」

「え? ………………普通だよ?」

「本当に?」

「……普通だよ? 普通に8割埋まってるよ?」

何をそんなに持ち歩いてるんだか……

とりあえず多めの食料とポーションを補給する。途中に街が無いから、困るとしたらその2種類だろう。

「あとはテントと……あ! 最近アイス売ってる露店出てきたから買っておこうよ」

「ああ、いいかも」

「暑い砂漠の休憩でアイス食べたらきっと美味しいよ」

このゲームは無限に広がる平面世界。赤道とか北極南極なんてものは無い。

だからなのか、『どこにあっても砂漠は暑いし、雪原は寒い』という、地形……バイオーム毎に気候が違うような状態になっているらしかった。

つまり。夏が終わりつつあって涼しくなってきて、ピリオノートから進む方角が真東であろうとも。砂漠はクソ暑い。

しかもそれだけでなく、昼夜それぞれの一番暑い時間と一番寒い時間には、気温対策をしていないと環境デバフがかかるらしい。

【氷魔法】はバンのおかげで相棒が使えるから涼はとれる。

寒さは火を焚けば……というか、夜時間の俺達はほとんどログアウト休憩してるから問題無いだろう。

あとは、以前、ブリックブレッドで見つけて買った『涼しい魔道具』も忘れずに持っておく。

「こんなところかな?」

「……うん、いいと思う」

魔法があるから最悪MPさえなんとかなればなんとか出来るだろう。

きっちり変装して、声替わりシロップもインベントリにあるのを確認する。

俺はネビュラとベロニカ。

相棒は装備の籠に氷と水の強化のためのバンと、ネモ、それからコダマ爺さんだ。コダマ爺さんは、砂漠では草と木の魔法も環境デバフでマイナスが発生するらしいから、その対策。

まぁこの面子なら早々旅路で詰む事は無いだろう。

「じゃあ行ってくるね」

「うむ、気をつけるのだぞ」

フッシー達に見送られながら、まずはブリックブレッドへ転移。相変わらず身なりの良い観光客が多い街からとりあえず出て、ネビュラに乗る。

ベロニカと一緒に地図を見て、現在位置と目的地、それと方角を確認した。

「砂漠の入り口までは獣道みたいなのがあるっぽいから、そこまではたぶん大丈夫だ。砂漠からが本番だから、体力は温存して」

「分かってるわよ。アタシを誰だと思ってるの!」

優秀な斥候クロウですとも。

「では行くぞ」

ネビュラが駆け出し、俺達は砂漠目指して出発した。