軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:必要なあれそれを人任せにするために

本に書かれていた召喚の儀式の必要事項はこんな感じ。

必要な物:

熟練の召喚士7人。

この書を1つ。

魔法陣を描くための物。

綺麗に磨いた鏡を1つ。

世界、あるいは最も強い神を象徴する何かを1つ。

とても切れ味の鋭い剣を3振り。

噛み合う錠の無い、大きな鍵をひとつ。

儀式の場:

深く広い谷、あるいは砂漠。どちらも無ければ、最悪深い海でも構わない。

ファンタジーな不思議儀式感がマシマシでワクワクしますねぇ!

……とはいえ、心ウキウキワクワクしているだけじゃ何も始まらない。

見ての通り、人材だけじゃなく、物理的に必要な物がそこそこあるのだ。

「うーん……もうこれ関係者集めて打ち合わせした方が早そうだな?」

「「確かに」」

作った方がいい物と買った方が楽な物とがあるだろうけど、あいにく僕ら夫婦とカステラさんはそこまで生産界隈の事情に詳しくない。

特に『魔法陣を描くための物』なんかね、何を御用意したらいいのかサッパリわからないよ。

カステラさんはそんな僕らの内心がわかるのか、深々と頷いて言った。

「ちょっと待ってろ、さっき上げた面子に声かける。……今の時間なら、まぁよっぽど運が悪くなければだいたいインしてるだろ」

「はーい」

「……なんかすいません」

詳しい人がいると助かるねぇ。

* * *

カステラさんがあっちこっちにチャットしたり個人メッセージ飛ばしたり本当に飛んで行ったりして……そうして1時間も経たない内に、『今すぐピリオで打ち合わせだから変装して来い』っていう指示が僕らの所に飛んできた。

「はやーい」

「圧が強いな……」

さすがに今すぐだとは思わなかったから慌てて準備をする。

言われた通り変装して……例の本を持って……儀式内容書き写して何枚も増やしておいた紙を持って……相棒はネビュラを連れて行く。

急げ急げ。

大慌てで転移オーブへ。

指示された場所は、ピリオノートの闘技場。

(……なんで闘技場なんだろ?)

(……さぁ?)

ついでに殴り合いして遊んだりしてるのかな?

到着して、受付のNPC女性に該当の部屋のキーを貰う。

部屋に飛ぶと……んんん? 闘技場なのに部屋の真ん中に円卓が置かれていた。

グルリと円卓を囲んで等間隔に置かれている椅子に座っている人達。その後ろにお付きのように立っている人達。その全員が一斉にこっちを向く。

「っ!?」

「……どうも」

思わず緊張が体を走って身構える僕。

落ち着いて会釈する相棒。

「よし、来たな」

座ってる人の内……椅子の上に小さい椅子が置かれてそこに座ってた僕ら似の変装をしているフェアリーさん……要するにカステラソムリエさんがそう言いながら手招きしてくれた。

お言葉に甘えて、会釈しながらそーっと席の後ろを通って、僕ら用に用意してあったっぽい席に座る。

……僕ら用っぽいっていうのは、椅子が2つくっつけて置いてあったから。お気遣いありがとうございます。とても安心します。

僕らが座る事で、とりあえず予定人数は揃ったっぽい。

椅子に座ってる面子は……まずカステラソムリエさん。

それから、こっちににこやかに会釈してくれたお嬢様と。

真っ黒な鎧のガルガンチュアさんと。

あとは、グレッグさんの所で見た……なんだっけ、名前忘れた……なんかお爺ちゃんキャラだったはず。

あと2人くらい椅子に座ってるんだけど……たぶん知らない人かな? 見覚えはあるような無いような……でも後ろに立ってる人の中に、前にニヤニヤフラワーを欲しがった人がいた。あのアメリカの大学の卒業生みたいな服は覚えてる。

僕ら以外の座ってる人達は、皆お付きみたいな人が何人か椅子の後ろに立ってる。グレッグさんもお爺ちゃんプレイヤーの後ろに立ってる。カステラさんの後ろにも知らない人が1人立ってた。

(なんか組織のトップの会合みたいだねぇ)

(……まぁ、実際クランマスターが最低でも3人いるわけだし)

そういえばそうだった。

まぁ、うちにはネビュラがいますし!

迫力ならきっと負けてないよ、頑張ってネビュラ!

……さて、話し合いの口火を切ったのは、変装して声替わりシロップも使ってるカステラさんだった。

「さて、麗嬢騎士団とモロキュウ冒険団のクランマスターにはチャットでも軽く伝えたが……今日集まってもらったのは、この森夫婦がまた謎に重要そうなモノ見つけて、ちょっと人手が必要そうだから手伝ってもらいたいって話のためだ」

カステラさんがこっちを見て何かを促す。

……大丈夫、空気はある程度は読めます。見つけたモノの説明の要求だね?

僕はインベントリから、儀式の内容を書いた紙を取り出す。

枚数は……うん、全員に足りそうで良かった。

「1枚取って回してください」

そう言って、紙束を隣に回す。

ひょいひょいと紙が行き渡っていく間に、大元の本と、『失われた言語』を取り出した。

「えーっと……ざっくり説明しますと。ファンタジー極めてるNPCのお店で、フリマで買った物を物々交換したら、『失われた言語』っていうアイテムを手に入れて、これのおかげで知らない言語で書かれてた本が1冊読めるようになって、中に書かれてたのが今まわしてもらったその儀式です」

僕がそこそこ端折って流れだけ言うと、この場の皆が色んな反応をした。

「……絶妙に過不足だらけなのはわざとですか? 聞かない方がいい?」

「いえ、細かく説明した方がいいのか分からなかったんで、だいぶ端折りました」

「「「「端折らないでお願いしまぁす!!」」」」

知らない人達から悲鳴みたいな返事が返ってくる。

……あ、よく見たらこの人達、いっつもリンゴ引き取っていくアカデミック集団の一部だ。

仕方ないので、僕はフリーマーケットでクラゲの頭蓋骨を買う所から、猫の店でのやりとりまで、この本に至るまでの事をそれなりに詳しく説明したのだった。