軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:『豊穣花壇』と言う名を冠した神の野生麦平原

コダマ爺ちゃんを連れてきてて良かった!

ラウラさんの家を【木魔法】で作りながら、僕はしみじみとちょっと前の自分の判断を内心で褒めていた。

思えば、最初に巨木ハウスを作ったのは、コダマ爺ちゃんが来てくれてすぐの事だったね。

あの頃と比べれば、僕のMPは倍以上に増えている。

第一段階としてドカンと太い巨木を生やすのだって一発よ、一発。

そこからMPポーションを飲んで、中に家になる空洞を作って……そして根っこから今まで暮らしていた地下を地下室として使えるように階段作って繋げておいた。

2階の部屋割りはラウラさんの希望を聞いて、2部屋御用意。

後は、ドアとか窓とかを作って……嵌め込んで固定して……

キッチンは備え付けって事で、サクッとスキルのテンプレートで製作からの設置。

「はい、出来上がり!」

「あ、ありがとうございますぅうう!」

ラウラさんのお家は、うちみたいなグルグルしてる木じゃなくて、普通の太くて真っ直ぐな広葉樹をイメージしました。

葉っぱの色も綺麗な緑色だからここの景色によく映えるね。

「あらステキ」

「うん、いいんじゃない」

アルネブさんと相棒からも良い評価いただきましたー

「ちゃんとした家が出来ると、インテリアもこだわりたくなりそうね……」

「う、うん。フリーマーケットでステキな家具買えたらいいなぁ」

「いいじゃない。私も内装もう少しどうにかしようかしら……」

うんうん、ゲームの拠点って好み追求すると止まらなくなるからね。沼だよ、沼。頑張って。

とりあえず今夜から新しい部屋で休めるようにって事で、ラウラさんは今まで使っていた寝床をルンルンと嬉しそうに地下から引っ張り出して来ていた。

……初期の藁ベッドそのまんま。

見た目めっちゃ高貴な雰囲気の天使が、地下の穴で藁ベッドで寝てたのかぁ……

想像すると、妙に哀愁を誘ったのだった。

* * *

家がひと段落したから、僕も皆と一緒に自生している作物の収穫の仲間入り。

とはいっても、あんまり種類は多くない。

一番広大な小麦を筆頭に、豆と葡萄が点在する小さめの石の柱に絡みついて生えている。

麦畑が途切れた所にはリーフレタスみたいな葉っぱが生えていて、これは引っこ抜いたらカブがついていた。

「ここの作物は全部【祝福の〜】なんだね」

「『神域の前庭』ってだけはあるな」

相棒に聞いた話だと、料理は【料理】スキルが上がると、いずれはバフ付きの料理を作れるようになるらしい。

これは公式から明言されてるから間違いないんだけど……βプレイヤーは誰もそこまで到達出来なかったらしいから、料理人として専属で頑張っても、その領域まで行くのは相当かかるんだろうって言われてるんだって。

そしてここに生えている祝福のなんちゃらシリーズは、その料理バフが発現しやすい食材らしい。鑑定結果の説明文は全部そうだった。

「わ、私はそこまで【料理】スキルは高くないんですけど……そ、それでも祝福の作物を使えば、微量のバフが付く料理は作れるんです……」

すごいじゃん!

それこそガチ勢は大量に欲しがりそう。

「ご、ご覧の通り量はあるので……今回は頑張ってたくさん売ってみようかな、と……」

「じゃあもうどんどん刈り取った方がいいんだね! ……ちなみに神様は怒らないんだよね?」

「あっ、それは大丈夫です! ちゃ、ちゃんとNPCの天使様にお伺いは立てて、許可を頂いていますので」

よかったー、それならいいや。

その後、僕らはせっせと小麦の収穫に精を出した。

……見渡す限り一面の小麦畑だから、刈っても刈っても終わらないのがすごい。

ゲームだから『脱穀棒』とかいう謎アイテムでペシッと一発叩けばザラザラッと粒が採れて楽なのが救い……昔の人は大変だね。

それをアルネブさんが用意してあった麦マーク付きの麻袋にドンドコ詰めていく。

フリーマーケットでは、この状態で売るんだって。

まぁ、水車も風車も無いのにこの量を製粉なんてしてらんないもんね。そこはお買い上げしてくれたプレイヤーにお任せ。

「あっ……そ、そろそろ他の作物の復活時間です」

せっかくだから、僕は相棒と一緒にネビュラに乗って、葡萄ポイントと豆ポイントを回らせてもらった。

広い小麦畑を走るのはすごく気持ちいい。

「田園地帯を通る電車に乗ってる気分」

「あー、わかる」

葡萄も豆も、粒が大きくて綺麗なのがたくさん実っていた。

「葡萄めっちゃ美味しそう」

「豆は……形は空豆だな」

神殿みたいな白い石の柱に巻き付く蔓から実を収穫するのはファンタジー感が強くてステキだ。

どこまでも広がる青空。

遠く遠くにうっすらと白んで見える、途方もなく巨大な石柱。

そして延々と続く黄金色の小麦畑。

他所の畑のお手伝いも、これだけ不思議な場所ならロマンたっぷりで観光気分。

そんなファンタジーシチュエーションを愛する夫と満喫出来るんだから、最高ってもんよ。

ルンルン気分で葡萄と豆の収穫を終えて、二人の所へ帰還する。

「ただいまー」

「……戻りました」

「お、おかえりなさい」

「おかえりなさい」

さて小麦の続きを……なんて思った時だった。

「ラウラー! ラウラはどこだー!」

何やら遠くの空から、ラウラさんを呼ぶ声が聞こえてきた。