軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:同盟だってフリマに行きたい。

ログインしました。

数日の間、フリーマーケットで売る物をせっせと生産し続けて、今日は木曜日。俺達にとっては休みの日だ。

いつも通り、昼間にログインした俺達は、珍しく同盟チャットで声をかけられた。

ラウラ・アステロイド:こ、こんにちは

アルネブ:こんにちは

アルネブ:そちらご夫婦は、今度のフリーマーケットは参加予定かしら?

訊こうと思っていた話題を向こうから振ってもらえたのはありがたい。

参加予定であることを伝えると、今回は二人とも……というか、今回は同盟メンバー全員普通に参加したいらしく、出来れば同盟皆で固まって出店したいとの申し出が返ってきた。

前回のフリマで商品についてしつこく訊いていた輩がペナルティを受けて連行されていったのを見たので、あれなら大丈夫そうだと思ったそうだ。

……まぁ、巨人のド根性さんとか天使のラウラさんとかは、ショッ◯ー着てても特定余裕だもんな。

なお、ド根性さんは前回開催時はまだ巨人になっていなかったから普通に出店経験があり、夾竹桃さんは自分では出店せず他メンバーのフォローと買い物のみの参加予定らしい。

同盟で固まっての出店には特に問題無いので、オッケーの返事を返す。

キーナ:2人は何売るの?

アルネブ:私は星屑のランタンをメインに売るつもりよ。

アルネブ:他の素材も少しは出そうと思っているけれど。

ラウラ・アステロイド:わ、私は、開拓地の作物と、それを使った料理を少し出そうかなと思います。

そして2人は現在、ラウラさんの拠点でせっせと作物の収穫作業中なんだとか。

色々話した結果、それなりに商品の目処がついていた俺達は収穫の手伝いに行くことになった。

「集合ー!!」

拠点の庭、オバケ達の籠と金魚鉢が置かれた広場で、キーナが声を張り上げる。

なんだなんだとオバケ三兄弟がやって来た所で、相棒が経緯を説明した。手はあればあるほどいいだろうって事で、オバケ達を連れて行く事は了承済だ。

「そんなわけで、収穫のお手伝いに一緒に行く子を募集します!」

「ハイ!」

「では自分モ」

「神域見てみたいです」

三兄弟は元気よく立候補。実に助かる。

あとはキーナは、植物同士でシナジーがあるかもしれないという理由でコダマ爺さんを杖の籠に入れた。

他のオバケは留守番だ。

……新入りの猫幻獣? 来るわけない。今も木陰でヘソ天で寝てるぞ。

俺はいつも通りネビュラとベロニカを連れて行く事にする。

……前に行った『神域の前庭』、滅茶苦茶広かったからな……あの広大な場所をあちこち走り回るならネビュラが欲しい。

「では出発!」

転移オーブで、登録済の『神域の前庭』の『豊穣花壇』にある『麦野原』へ飛ぶ。

……うん、いつ見ても広大すぎる麦畑だ。

どこまで続いてるんだ、この小麦。

夏は終わりに近付いて、気温は多少落ち着いてきてはいるが、それでもまだまだピリオは夏の気温だ。

だが、ここは転移してきても特に暑さは感じられない。

って事は、俺達の開拓地と同じく、季節らしい季節は無い所なんだろう。

「あ、来たわね」

「ほ、本日は、あ、ありがとうございます!」

2人ともお揃いの麦藁帽子を被っている。

俺達にもわざわざ1人1つずつくれた。

【祝福の麦藁帽子】…品質★★★

祝福の麦の麦藁を使って作られた大きな日除けの帽子。

装備すると【農業】スキルに大きなボーナスが入る。

また随分と性能が良い帽子だ。

農業メインで遊んでるプレイヤーは滅茶苦茶欲しがるんじゃないか?

「……これも、フリマで売ったら喜ばれると思いますよ?」

「あらそう?」

「じゃ、じゃあこれも作って売りますね!」

そして相棒は全く違う所で驚いていた。

「えっ、【農業】スキルなんてあったの!?」

「あるよ」

俺もうっかり忘れてたけど。

「えっ、なんで僕らとれてないの?? 結構作物の水やりとか収穫とかしてるよね?」

「それはな……俺達がクワで畑を耕していないから……」

まだそれを知らなかった頃の俺が、一番最初に【土魔法】で耕しちゃったからな。

「……アッ」

「うん、ごめん」

そこそこの広さを耕さないといけないのもあって、そのうちやろうと思ってすっかり後回しにしていた。

……その内、ほとんどジャック達に任せるようになったから、余計に必要なかったしな。

そんな俺達のやり取りを聞いていたアルネブさんが、クスクス笑いながら言う。

「なんだったら、そこらへん適当に耕してスキル取ってもいいわよ?」

「ねぇ?」と問いかけた相手のラウラさんは、コクリと何でもないように首肯した。

「はい。む、麦は適当に鋤き込んだところで、あっという間に元に戻りますから」

二人が言うには……『神域の前庭』の『豊穣花壇』に生えている作物は、ラウラさんが植えたわけではなく、勝手に自生しているモノらしい。

その生命力はあまりにも強く、刈り取って建築をしても、床板や敷石の隙間から麦がズルズル生えてくる程なんだとか。

「こ、ここならしばらく食べ物に困らないと思って……慌てて転移オーブを置いたんですけど……そ、そういうわけで建築には不向きで……私……穴を掘って、ち、地下で暮らしてます……」

穴暮らしの天使。

中々のパワーワードだな?

……それを横で聞いていたアルネブさんも、一緒に遠い目をした。

「まぁ……私も似たようなものよね。私のオーブ登録の時、洞窟に転移したでしょ? あれ私の住処だから」

「マジで??」

洞窟暮らしの魔女。

「……アルネブさんの所は植物育たないから厳しいかもだけど。ここは麦がフサフサしてるし、うちみたいな木の家生やそうか?」

驚いた相棒が首を傾げながら提案すると、ラウラさんは感極まったように両手を合わせて地面に両膝をついた。

「ぜ、ぜひっ……よろしくお願いしますっ!」

拝まれている相棒に後光が見えた気がした。

……開拓地によって悩みは違うもんだな。