軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:巣穴発見

地図の写しで現在位置をベロニカと一緒に確認しながら進む事しばらく。

久しぶりのゴロロックを張り倒しながら岩山の道なき道をすすみ、俺達はようやく目的地にたどり着いた。

「ここであってる?」

「あってる」

霊蝶の案内でたどり着いたのは、岩山の麓に口を開けた洞窟だった。

入り口は、岩の裂け目に紛れて滅茶苦茶分かりにくい所にある上に、足場もあんまりよろしくない。いちいち隙間を覗き込むタイプでもないと見逃しそうだ。

「誰か来た時に見つけやすいように、外に目印着けておこうか」

相棒はそう言うと、入り口の前の日当たりが良い所に、猫っぽい形になっているサボテンを生やした。

「これでよし! じゃあ入ろっか」

「……うん」

他の生き物に食われないといいけどな。

まぁその時はその時か。

* * *

星屑のランタンと相棒の【光魔法】で照らしながら、俺達は洞窟の探索を開始した。

ベロニカは相棒の肩の上で待機だ。さすがに洞窟内の斥候は門外漢すぎるからな。

先頭はネビュラ。

真ん中が相棒で、俺が一番後ろ。

俺の位置からは、不安気にキョロキョロと視線を飛ばす相棒の落ち着かない様子がよく見えた。

「怖い」

「相棒、洞窟苦手だよね」

「シンプルに暗いし何がいるのかわかんないしで怖い」

一応二人とも【夜目】はあるから光の届かない所も完全な真っ暗とはならないが、明るい所と差がある暗がりってだけで何か隠れていそうで怖いらしい。

今の所、洞窟に入ってからはモンスターとかち合っていないが……

「ん、何か来る」

「ヒエッ」

「……何か弾力を感じる足音がする」

通路の先の曲がり角からやって来たのは……やけにガッシリした2本の足で、ポインポインとスキップするように歩くデカいキノコだった。

プッシュマッシュ Lv25

「なぁ〜んだ、キノコかぁ〜」

怖い見た目じゃなかった事に安堵する相棒。

プッシュマッシュは、俺達を認識すると、頭の傘をボンッと通路を塞ぐ程に大きく広げ、お辞儀のような姿勢でそれを盾のように俺達に向ける。

「……ん?」

そして……そのまま結構な勢いで突進を始めた!

「何ぃ!?」

「ちょちょちょちょちょ!?」

「何よこのキノコ!?」

「はぁあ!?」

驚いて下がろうとする俺達は、あっさりとキノコに追いつかれて傘に押され、そのまま勢いを殺す事も出来ずにドドドドドドッと押され続ける。

そして……洞窟の入り口まで押し戻されて、ペッと外へ弾き出された。

「……はぁ?」

「えっ、何? えっ? えぇ〜……?」

「……あのキノコ、帰りおったぞ」

「何よそれー!?」

ポインポインとやり切った雰囲気を背中に漂わせて、洞窟の奥へ戻っていくプッシュマッシュ。

「……えっ、押された?」

「……プッシュマッシュだからかな?」

「……えっ、押し出されただけ?」

「まぁ、プッシュマッシュだもんな?」

「…………【ツリークリエイト】!!」

「あっ」

イイ笑顔の相棒が唱えた【木魔法】で、プッシュマッシュが後ろから串刺しになる。

傘以外は柔らかいのか、プッシュマッシュは一撃でポリゴンとなって消えていった。

「……ドロップ残ったな」

後にはマンホールの蓋みたいな大きさのキノコの傘。

【シールドマッシュ】…品質★★

食べてよし!装備によし!味も強度も優秀なキノコの大傘。

食用にする際は、じっくり柔らかくなるまで煮込んでください。

ドロップ品を確認した相棒は、ニッコリと笑ってサムズアップした。

「相棒! 僕はこいつをフリーマーケットで売っ払いたいと思います!」

「好きにしなー」

それで溜飲が下がるなら俺に否は無い。

その後、相棒は奇声を上げながら先頭を切り、キノコを先手必勝の串刺しにしてまわったのだった。

なお一部始終の間、籠の中のオバケ達はゲラゲラ笑っていた。

* * *

問答無用でUターンを強制してくるキノコを撤去しながら進んでしばらく経った頃。

細長い通路は唐突に終わり、かなり広い地下空洞へと俺達はたどり着いた。

「わぁー」

明かりが端まで届き切らない広さの空間に、ゴウゴウと水の流れる音がする。

どうやら鍾乳洞になっているのか、所々に石筍が見えた。

(声響くから、あんまり大声出さないように)

(ウィッス)

感嘆して目を輝かせる相棒にそっと釘を刺すと、ハッと気付いたようにそっと口を閉じた。

【感知】範囲外にモンスターがいたら、全部こっちに向かって来るかもしれないからな。

通って来た通路は少し高い所に位置していて、壁沿いに下り坂が続いているからそこを下っていく。

(すごいねぇ〜、冒険って感じ)

(そうだね)

降りて行くと、チラホラとモンスターの気配が範囲に入ってくる。

……ただ動く様子は無い。

ノンアクティブなら、放っておいてもいいか。

つつくことで一斉にアクティブになっても困る。

広場に降りて、壁沿いに慎重に奥へと進む。

……やがて、光源の範囲内に入ったのか、一段高くなった台のような地形が見えてきた。

照らされた、その上に……大きな半透明のモフモフした姿。

(この子かな?)

(とりあえずトマト食べておこう)

(そうだった!)

満ち夢ちトマトをムシャッていると……半透明の体がピクリと動いた。

「…… 香(かぐわ) しい、これは……地上の実の香り?」

半透明のモフモフがゆっくりと身を起こす。

コロリと丸まっていた身体をゆっくりと伸ばして……見えていなかった毛の無い尻尾がスルリと……んん?

(アレッ!?)

(……猫じゃない、な?)

……そうだ、すっかり忘れてた。

『結晶幻獣は、主に大地の精霊の近くにいる』んだったな。

とはいえ、まさか精霊郷に移動もしていないのにお目にかかるとは思わなかったが。

こっちを振り返ってキョトリとしたのは……大きさがヒグマくらいある……灰色のネズミだった。