軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:トマトのために、猫を探そう

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本日は平日なり。

思考加速付きのフルダイブVRは仕事の後もいっぱい遊べて嬉しいね。

でも脳には負荷がかかるから、睡眠はしっかり取らないと明日に響く。

そこはきちんと自己管理。

さてさて、今日の僕らは第2回フリーマーケットに向けての商品作成。

……なんだけど、気になる事のある僕は、拠点の畑の片隅で、マーブル模様の『 満(み) ち 夢(む) ちトマト』を片手に唸っていた。

「うう~ん……」

「……どした?」

「トマトさんさぁ……食べ物だから使い切りじゃん? 装備品とかに出来ないかなーって」

「ほう?」

ポーションとかと同じ、消耗品の扱いなんだよね。

でも翻訳って、どうせならずーっと欲しいものじゃん?

だからどうせ供給するなら、継続効果のあるアクセサリーとかにした方が、使い勝手はいいよなーって思ったわけよ。

……じゃないと、もしも出かける先で『トマト下さい!!!』って言われたら面倒だし。

「オカリナは好感度アップだったから……塗料だとあんまり翻訳性能が出ないのかな? ……って事は、トマトそのものを……こう……耳からぶら下げるイヤリングにするとか」

「いやデカいわ!」

耳からトマトがぶら下がるのを想像した相棒が笑う。それにつられて僕も笑いの発作がやってくる。

「ま、丸ごとこのまんまじゃないよ! ちょ、耳元にトマト持ってこないで! あー、おっかしい……」

「ミニトマトならワンチャンあったかもだけどなぁ」

そうだね。

植物も装備として仕上げちゃえばその状態を維持してくれるっていうのは昨日僕の腕輪で確認済み。

ただ、普通サイズの立派なトマトがそのまま使うのに向いてないってだけ。

「なんかこう……トマトをギュッと宝石に出来たりしないかな?」

「……【石魔法】は宝石系は操れないからなぁ」

トマトを眺めてそんな話をしていると、それが聞こえたネビュラがてくてくとやって来た。

「モノを結晶化するのは『結晶の幻獣』の領分ぞ」

「あ、出来るんだ?」

精霊であるネビュラさん曰く。

『結晶の幻獣』は体の一部に結晶がついている生き物の姿をした幻獣で、主に『大地の精霊』の近くに住んでいるんだって。

「幻獣の中でも珍しく定住する者達だが……代わりに時々他の世界へ遊びに行ってしまう事があるらしい」

「あぁ、そういえばそんな生態しておったな……別世界だと『カーバンクル』とか呼ばれておったわ」

隣で聞いていたフッシーが補足する。

へー、カーバンクルかぁー。このゲームでは『結晶の幻獣』って扱いなんだねぇ。

「……仲間にしたい?」

「したいかも! でもどこにいるかな?」

「霊蝶ならばいくらか知っているのではないか?」

「マジ?」

集合知助かる。

僕は庭をヒラヒラ飛んでる霊蝶ちゃん達を呼んで、いそいそと飛んできた数羽に訊いてみた。

「『結晶の幻獣』」

「知ってる」

「いっぱい、知ってる」

「どれが良い?」

あ、そんな選べるくらい知ってるんだ。

ありがとう集合知。

そうだなぁ……僕はネビュラをチラ見した。

犬派の相棒に犬要素がいるなら、猫派の僕にも猫要素がほしいなぁ。

「猫ちゃんの結晶の幻獣とかいる?」

「いるよ」

「いるいる」

知ってた、やったぜ!

でもネビュラは途端に渋い顔をした。

「……猫か……」

「ネビュラは猫キライ?」

「いや、特に好悪の感情は無い……が、猫の精霊・幻獣はかなり気まぐれでな……役目に対する姿勢が違い過ぎて、推薦は出来ぬというだけだ」

「なるほど、反りが合わない?」

「うむ、それだ。だが上手くやれぬという事ではない。奥方の好きにすると良い」

仲良く出来ないわけじゃない感じかな。ネビュラは結構真面目系だもんね。同じ仕事してる死の猫ちゃん精霊相手には思う所があるみたいな感じなのかもしれない。

じゃあ僕の欲望のままに猫ちゃん選ばせてもらいましょうかね。

「猫ちゃんどこにいる?」

「結晶の猫幻獣」

「大きな街から」

「日の沈む方向」

「霊蝶と出会った山の、もっと先」

「岩を掘ってる街の、もっと先」

『石の街ロックス』よりも西かぁ。

「行ってみる?」

「うん!」

割とログインしたばっかりだから、まだまだ時間に余裕あるしね。

* * *

色々と買い出し含めた準備を整えて、まずは『石の街ロックス』へ転移。

今日のメンバーは、相棒がネビュラとベロニカ、僕がネモとコダマ爺ちゃんとバン、そして案内役を買って出てくれた霊蝶ちゃんが一羽フードにくっついてるスタイルでお送りします。

装備は森夫婦変装スタイル。

なので、転移と同時にプレイヤーの視線が向いた。

「おっ」

「あっ」

その視線の中に、グレッグさんを発見。

「よぉ、石でも掘りに来たか?」

「いえ、最寄り駅です」

「最寄り駅?」

怪訝な顔をするグレッグさん。

「なんかこの辺に猫ちゃんがいるらしいんで、会いに来ました」

「猫ちゃん?」

「僕は猫派なんで」

「ほー」

「この辺に猫系のモンスターなんかいたか……?」と悩むグレッグさん。

モンスターじゃなくて、幻獣だからなぁ〜

見つけたら大体の場所を教えるって話をしてグレッグさんと別れて、僕らは街の外に出た。

「じゃあ出発」

「ネビュラ、頼んだ」

「うむ」

ネビュラに乗って、霊蝶ちゃんの示す方向へ、ベロニカに安全に進めるルートを確認してもらいながら進む。

この辺は険しい岩山だからね、安全第一で進みましょう。