軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:占い屋開店

ログインしました。

準備から一夜明けて、今日の僕はいよいよ占い屋さんデビューしようと思います。

いつもの変装をして……準備したテーブルと道具を持って……籠にいつもの知恵の林檎も入れて……声変わりシロップも持って……あとは、お昼用にパンでも持っていこうか。

どのくらい来るかは未知数だからのんびり長時間座ってる事になるかもしれない。でも、うっかり人が押し寄せそうになったらすぐに帰ってこようね。

相棒も変装して楽器を持って準備はオッケー。

「じゃあ行こうか」

「うん」

今日はネビュラも留守番。

狼がデンといると、初心者はびっくりしちゃうかもしれないから。

転移オーブで、ピリオへ移動。

そのまま南の門へ。

次のイベントが南の大森林の先だからね。

初心者さんもイベントに参加したくて街を登録しておこうとしたりするかもしれないから南方向に行くことにしたよ。

一応門の詰所にいる兵士さんに、門の外で占い屋さんをやっても良いか確認を取る。

「構いませんが……第二防壁の建築の邪魔にならないようにだけお願いします」

了解しました。

そう、大街道敷設イベントで未完成だった第二防壁は、今も【建築】スキル持ち向けのクエストがギルドから出されて、少しずつ壁が高くなっているのだ。

四方の二つ目の門はもう出来ていて、壁も人の背よりは高いから、詰所も外側の門の方に移っている。

(もう、家は建てようと思えば建てられるんだっけ?)

(そのはずだよ)

二枚の防壁の間は第二市街地として、プレイヤーが住む専用区画の扱い。

……とはいえ、ゲーム的にメインの街であんまり変な建物を建てられるわけにはいかないからか、ここは自分で建築してはいけない決まりで、ピリオの大工さんに注文して家を建てる必要があるらしい。

僕が拠点で作ったような、半分が生きてる木みたいなのはピリオじゃやっちゃダメってことだね。

だからたぶん、ある程度統一感のある街並みになるんじゃないかな?

で、もちろん家を建てるにはそれなりのリリーが必要だけど、防衛ポイントを頑張って貯めれば、そのポイントで家が建てられるって話。

(あれは建てる権利じゃなくて、建てる料金込みだったんだね)

(そういう事)

まぁ、開拓勢にはあんまり関係ないかな?

生産メインの人は、開拓地とは別にピリオでお店が欲しかったりするのかもしれないけど。

さて、そんな第二市街地を抜けた門の外に僕らはやって来ています。

門から少し避けた壁際にテーブルを置いて、占い準備を整える。

後は椅子に座ってのんびりお客さんを待つだけ。

目立たない位置だけど、横で相棒が演奏しているから「何だろう?」って振り向いて僕らに気付くって寸法よ。

さぁ、どんなお客さんがやってきますかね?

* * *

最初にやってきたのは、懐かしの簡素シリーズを着ているエルフの少年とドワーフの二人組。

二人は門を出たところで相棒の演奏につられてこっちを見て、華麗な二度見をキメた。

「あ、アレって……」

「CMで見た人!?」

ぐふっ!

(……ツライ。その……その認識のされ方は予想外だよ……)

(……ちょっと演奏ズレかけた)

二人は恐る恐るって感じに近付いてきて、置いてある説明書きを見た。

「……知恵の林檎? こんなんあるのか」

「こっちは占い? えーっと……『占術スキルで占います。クエストのヒントが出るかも? 出ないかも? スキルのヒントが出るかも? でないかも? スキルレベルが低いので、当たるかも? 当たらないかも?』」

「フワッとしてんなぁ……」

「1回占ったらリアル1週間は再占い不可かー、草が生えたら時間切れってのは意味がわからんけど……うん、3リリーならやってみようかな」

「俺は見とくわ」

エルフ君の方が占い初挑戦。

3リリーを受け取る、まいどどーも。

そして僕にとっても【占術】初使用。

インク壺に挿しているガラスペンに指先を向けて

「……【フォーチュンクリエイト】」

詠唱すれば、ポヤンとガラスペンが光って……霊蝶ちゃんがこんにちは。

ふふ、霊蝶はある意味集合知なイメージがあるからね。

ガラスペンは花の飾りがあるから、ちょうどいいかなって。

霊蝶ちゃんがペンにとまると、ペンがフワリと浮かんで紙の上をサラサラと走る。

『急がば回れ。忘れ物に注意』

おおー……おみくじみたいなの出てきた。

書かれた紙を取って渡す。

「忘れ物? ……なんかあったっけ」

「……あ、そういえば。まず入寮手続きしろって言われてなかったか?」

「ああー! 忘れてたわ」

入寮手続き……ってことは戦闘勢だね。

(戦闘勢って、最初に入寮手続きすると何かあるのかな?)

(……部屋の割り当てもそうだけど、ポーションと食料少し貰えるんじゃなかったっけ)

(へぇー)

じゃあ、それを占い通してゲームが教えてくれたのかもね。

二人組は「なんかあるのかも」って言いながら街の中に戻っていった。

冒険の準備はしっかりね!