軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:やりたい事を並べてみる。

さて、なんだか唐突に降って湧いた魔女への転職なんかしてみたけれど、僕のプレイスタイルややりたい事は今までと特に変わらない。

というかこのゲームは、成長しているスキルやら契約している相手やらで職業が出てくるわけだから、自分のプレイスタイルに合った職業におのずとなっているのだ。

というわけで、『やりたい事その1』

イベントの夜歩きで採取してそのままだった月光雫の花の花畑を作りたい。

【月光雫の花】…品質★★★

月の光を蜜に溜め込む花。蜜はMP回復薬の素材になる。

満月の夜に摘むと蜜が多く、効果も強い。

これね。

鉢植えは飾りとして外に置いてたんだけど、採ってきた種できちんと畑は作りたいなって。

なにせ奈落の掃討戦で一気にレベルが上がってMPもドカンと増えたからね! MPポーションの消費が上がるから、自給自足できるならしたいじゃん?

なお、現在の僕らのステータスはこんな感じ。

キーナ

種族:エルフ

職業:死霊使いの魔女

Lv28

HP:28

MP:88

筋力:4

魔力:63

強靭:10

精神:52

俊敏:10

ユーレイ

種族:ヒューマン

職業:霊狼の射手

Lv29

HP:60

MP:41

筋力:35

魔力:25

強靭:32

精神:11

俊敏:66

御覧ください、Lv30目前ですよ。

ここまでくると、相棒のHP然り僕のMP然り、そろそろ一段階上のポーションがあると安心なお年頃なのだ。

そんなわけで僕らは、ピリオノート周辺で採って来た土を使って、新しい畑ゾーンを作っている。

「畑仕事久しぶりな気がする」

「それな」

最近はジャック達に任せっぱなしだったからねぇ。

ヒラヒラ飛ぶ霊蝶ちゃん達に絡まれつつ作業をしながら、僕は『やりたい事その2』である占い結果について相棒に話を振った。

「ところで、僕が占ってもらった結果の事なんだけどさ」

「あー、なんかそれも待ち人らしいやつ」

「そうそれ。えーっと……」

メモを取り出して確認。

「『求める者あり。深き夢より西へ3、北へ1。名も無き墓標』ってやつ。これね、この拠点の住所が『終焉の夢想郷』の『深き夢の台地』の『 微睡(まどろみ) の森』だったじゃん?」

「そうだね」

「だから、この拠点から北西やや西よりな方角に行ったら何かあるのかなって思って」

「ふむ」

せっかく占ってもらったからね、早めに行きたい。

相棒は少し考えこんでから、口を開いた。

「俺が考えてたのは少し違ってて」

「うん?」

「ここって島なんだけど、山の頂上から他の島に飛べるみたいなんだよね」

「おお!」

「だから、この島からすごろくみたいに西に3北に1移動した島に何かあるんじゃないかって」

「それじゃん! 絶対それじゃん!」

「いやまだわからないけど」

「あってると思います!」

さすが相棒、好き。

そんな感じに感心してたら、バサッと翼の音がした。

「つまり斥候の出番ってわけね!」

「ベロニカ」

「任せときなさい! パーッと飛んで見て来てあげるわ!」

「……じゃあ、よろしく」

「気を付けてねー」

「いってきまーす!」

ベロニカちゃんはここに来てからなんだかとっても張り切っている。

飛んでお仕事するのが嬉しくて仕方ない感じ。

まぁ、長らくもどかしい思いをしてきただろうからね。しばらくは好きにさせようって事になった。

従魔だから復活するとはいえ、あんまり危ない目にあってほしくはないんだけどねぇ。

黒い姿を遠く見えなくなるまで見送ってから、作業に戻る。

すると、今度は相棒から話を振って来た。

「そういえば、本で【占術】覚えたんだよね?」

「うん」

「相棒のはどんな占いにする?」

おお、それこそまさに『やりたい事その3』でございますよ。

リンゴガチャ屋さんみたいにね、ピリオで占い屋さんもやりたいのだ。それこそリンゴも一緒に置いておいて占い屋やってもいいよね。

そのためには、まず僕の占いスタイルを確立しないといけない。

アルネブさんは石とペンデュラムを使った星っぽい感じの占いでかっこよかった。

「僕はねぇ……オバケがメインだからさ、オバケ関係の占いにしようかなって」

「ほう?」

「いわゆるコックリさんとか自動書記とか、そういうやつ」

「あー……コックリさんは占いよりも、もっとヤバいモノって印象が強いな」

「まぁ確かに。それにコックリさんスタイルだと50音を一文字ずつ指していくとか時間かかってダルイから、やるなら自動書記かなー」

「どんな?」

「こう……ペンとインク壺と紙をテーブルに置いて……あとなんか僕の【死霊魔法】っぽいものも置いて……そんで術使ったらペンが勝手に動いて紙にサラサラ書いてくれる、的な」

「……自分で書く手間を省いたな?」

「早い方がお客さんも喜ぶと思う」

現代人は、スローライフなゲームでも効率追求しちゃうくらいには忙しないからさ。

なお、アルネブさんは僕がピリオでプレイヤー相手に占い屋をすることに関しては快くOKを出してくれた。

アルネブさんは裏路地とかでNPC相手に占いをするのが好きなんだって。

ちなみにNPC相手だと、クエスト云々というよりは、リアルの占いみたいなちょっとした指針みたいなのが出るらしい。それはそれで面白そう。

「だから……そうだねぇ、綺麗なペンと可愛いインク壺が欲しいよね。それから紙も」

「なるほど」

まぁそれこそ急いでないから、僕の占い結果の調査が一段落したらでいいんだけど。

「よし、こんなもんかな!」

「いいんじゃない?」

話しながら作業をして、それなりに広い綺麗な花壇が完成。

「……あとは、このマップでもちゃんと育ってくれればいいんだけど」

「それな。そもそもここ、月あったっけ?」

「えっ……あ、どうだろ? 気にしてなかった」

おろおろしていると、ネビュラが教えてくれる。

「月はあるぞ。大月の方のみだが」

「……それは、同じ月なのか? というか、大きい月と小さい月は別物なのか?」

「当然別物ぞ。余の管轄ではない故、具体的な所は知らぬが……大月は光の精霊の管轄だが、小月はそもそも何処かからやって来た存在のはず」

「……やって来た?」

月が?

小さい月っていっても、結構な大きさだと思うけど。

暮れ始めた空を見上げてポカンとしていると、その空の彼方から黒い鳥が飛んできた。

「あ、ベロニカちゃん帰ってきたよ」

「……怪我はしてなさそうだな」

無事で何より。

ベロニカちゃんは相棒の腕に綺麗に着地した。

「大当たりよご主人! 西に3、北に1進んだ島に巨大な黒い石が突き立ってて、そこに不定形のナニかがいたわ!」

名も無き墓標……うん、確かにそれっぽいね。