軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ︰森と魔法とステータス

二日目、ログインしました。

「フッシーやっほー、変わったこと無かった?」

「おお主にご主人。特に何事も無かったぞ」

ログアウトしてる間に拠点に異常は無かったみたい。よきよき。

「畑はいくつか芽が出てるね」

「だね」

とはいえ収穫はまだ先。水をまいて、のんびり待とう。

「さて、今日は何する?」

「今日はね、一緒に外に行きたいな」

僕がそう言うと、相棒は意外そうな顔になった。

「いいの? 何か色々作りたいんじゃなかった?」

「作りたいは作りたいけど、僕、たぶん無限に生産していられるからさ……先にちょっとは戦闘しておきたいなって」

「なるほど」

放っておいたら延々と開拓してる自信があるよ?

でも、いつ襲撃が来るか分かんないから。ある程度は感覚を知っておいた方がいいかと思って。

「フッシーはどうしよっか。杖で連れて行く?」

「俺はどっちでもいいよ」

「むぅ……いたらアドバイス貰えそうだけど、二人で散策デートも捨てがたい……」

「どっちにする?」

迷った結果、連れて行く事にした。

生産メインとはいえ、一応死霊使い系の職業だから、フッシーを連れて行く事でどんな感じになるのか確かめておこうと思って。

フッシーを杖の籠に入れる。

「お出かけか?」

「うん、周りの散策」

「そうかそうか」

では出発!

* * *

ぐるぐると渦を巻いたような白木。

葉は奇妙な形の青緑色。

下草はアクアマリンみたいに、水色に透き通って生い茂る。

全体的に、緑というよりも、青みが強い森。

「光合成できてるのかな、この森」

「さぁ……?」

前に露店で売ったネジネジドングリは、この渦巻き白木の木の実だったんだね。コロコロとたくさん落ちているのを拾う。

「キノコもあるよ」

「あるねぇ。今日は目に付くもの一通り採ってみる?」

「うん、採りたい」

【イチコロキノコ】…品質★

絶対に料理に入れてはいけないキノコ。美味。

酷い名前のキノコだ!

料理に入れてはいけないのに美味て。誰だ食べたのは。

でも素材らしいから採取はしよう。

キノコを採って、ふと上を見上げると、少し雰囲気の違う木にリンゴくらいある鬼灯みたいな実が生っていた。色は赤だけじゃなくカラフルだけど。

「あ、この実ってマップ選択の時に紙に書いてあった光る実かな?」

「あー、どうだっけね」

食べられるかな?

【鑑定】してみよう。

【千夢の果実】…品質★★

数多の夢の結実。

口にすると強い幻覚を見る。

……なんだろう、この。

「この森の物ってさ……どれもこれもやたら精神とか意識に作用してこない?」

「うん、普通に食わせる気が無いよな」

眠りとか、夢とか、死とか。

そういう物に関わりのある森なのかな。

そんな話をしていると、杖の籠でのんびりしていたフッシーがクチバシを開いた。

「ふむ……薄々感じてはいたが。主らは本当にこの森がなんなのか知らぬまま住み着いたのだな」

ああ、やっぱりフッシーは知ってるんだね。

不死鳥だから、長生きしてる知識人ポジションなんだろうなとは思ってたんだ。

骨がここにあったくらいだから、ここに来た事はもちろんある。それならここが何なのかもわかってるんだろうなって。

「知りたいなら話すが、いかがする?」

ふむ、問答無用で話し始めなかったね?

ってことは、この森の正体に関わるクエストがすぐに始まったりはしないのかな。

それなら急いで聞かなくてもいいか。

「ん-、僕はいいや。もう少し自分で考えたい」

「そうか」

「俺はちょっと聞きたい」

「じゃあ僕のいないところで聞いといてー」

「うん」

「よかろう」

プチプチと実をいくつか収穫する。

色んな色があるけど、どの色でも熟し加減に違いは無いみたい。ゴロゴロと集めると中々可愛い。

「籠編んで、入れて飾っていい?」

「好きにしなー」

相棒は大体は僕の好きにさせてくれるから、僕はのびのびとマイペースでいられる。ありがたいね。

と、先を歩く相棒が足を止めた。

「相棒、ウサギいる」

「あ、ほんとだ」

うたた寝ウサギの名前の通り、座り込んでうとうとしているウサギがいる。

「ノンアクティブ?」

「いや、あんまり近付くと噛みついてくる」

「逃げないんだ?」

寝起き悪いのかな。

「僕でも倒せるかな?」

「むしろこの森の最弱があのウサギだと思う。アレが倒せないなら、街でレベル上げしないといけない」

「おおっと」

つまりこのウサギに負けたら森でのヒエラルキー最底辺が決定してしまう!

「まずちょっと一人でやってみるね。……攻撃当てたら逃げたりする?」

「いや、襲い掛かってくる」

「ウサギのくせに血の気多いなぁ」

さて、僕は魔法職希望なので、魔法のお時間です。

取得しているのは【草魔法】【水魔法】【死霊魔法】の三つ。

とりあえず今回は【水魔法】を使おう。

このゲームの魔法は少し変わっていて、各属性を取得すると最初に使えるのはひとつだけ。

「【アクアクリエイト】」

この【○○クリエイト】が属性の初期魔法。

というより、原点にして全て。

これは、属性を自分の想像通りに動かすことのできる魔法。

【水魔法】だったら、水をどうするのか。球体として呼ぶのか、水球をぶつけるのか、大量に出して波にするのか。それはプレイヤー次第。

動かし方に応じてMPの必要量が変動して消費される。

そして、魔法のスキルレベルが上がっても、威力やMP最大値が上がるだけで、新しい魔法を覚えたりしない。

じゃあ上位魔法はどうするんだって言うと、自分で想像して作らないといけない。

自分で考えた動きを何度か繰り返して使っていると、それに名前をつけて登録する事ができるんだって。

だから最初から津波みたいな魔法も使おうと思えば使えるけど、当然MP消費はバカでかくなるから、レベルが低いと一瞬でガス欠になるし、そもそもMPが足りなかったら大した威力になってくれない。

エフォ(EFO) の魔法は、想像力が必須なのだ。

苦手な人はまったく魔法が使えなくなるこの仕様だけど、ハマる人にはハマるから評判は良いみたい。

僕は水を球状に呼び出して、ぎゅっと圧縮。

その高圧水球でウサギの頭をぶん殴った。

ウサギは断末魔を上げて、ドロップの毛皮を残して消滅する。

「やったぜ」

「いいね。……やってること鈍器だけど」

「言うて燃えてもいない相手に水で攻撃ってだいたいこうならない?」

「まぁね。ウォーターカッターとかね」

包んで窒息は……長く苦しむだろうから、それしか手が無いとき以外はちょっと遠慮しておきたいな。

やはり獲物は極力苦しませずに死なせてあげるのが慈悲というもの。

「とりあえず、ヒエラルキー最底辺にはならなかったよ!」

「よかったね」

大丈夫そうだったから、このまま二人でうろうろしてレベルを上げる事になった。

……そういえば、ステータスをきちんと確認してなかったかも。

キーナ

種族:エルフ

職業:ネクロマンスクラフター

Lv1

HP:5

MP:6

筋力:4

魔力:8

強靭:4

精神:6

俊敏:5

エフォ(EFO) のステータスはこんな感じ。

ヒューマンの初期値が平均的なALL5。他種族はそこから特性に合わせて上がったり下がったりする。

僕はエルフだから、筋力と強靭とHPが少し下がって、代わりにMPと魔力と精神が少し上がってる。

そこに加えて3ポイント好きに振り分けたら、それが初期ステータス。

HPとMPは見ての通りだね。MPは魔法に使うポイントで、物理攻撃のスキルはMPを使わない。

筋力は、近接物理攻撃の数値に影響が出る。

魔力は、MP・魔攻・魔防の数値に影響が出る。

強靭は、HP・防御・肉体デバフ耐性の数値に影響が出る。

精神は、干渉系スキル・精神デバフ耐性の数値に影響が出る。

俊敏は、動作の加速に影響が出る。

精神の『干渉系スキル』って言うのは、雄叫び上げて敵を怯ませたり、テイマーがモンスターをテイムしたり、そういうバフ・デバフともちょっと違う部類の影響の事。

僕もオバケと関わるわけだから、この数値が必要になってくる。

ネクロマンスクラフターはレベルが上がると魔力と精神の伸びが良い職業なんだって。フッシーが言ってた。

『足りん所はレベルアップボーナスのポイントを振り分けるがよい』とも言われた。まぁ、それは何の職業でも一緒。

そうやってステータスを確認していて、僕はあることに気がついた。

このゲーム、DEXとか命中とかのステータスが無い。

「ねぇ相棒。弓って、なんのステータスで威力上がるの?」

「上がらんが?」

「えっ」

「上がらんが?」

えっ、そんなことある???

「弓は完全に弓の性能とスキルレベル依存の武器。どの武器も……例えば剣だったら【剣術】スキルのレベルが上がったら威力上がるでしょ?」

「うん」

「弓は【弓術】のレベルが上がった時に上昇する威力がものすごく多い」

「はぇー」

つまり、使えば使うほど威力が上がる武器なんだ。

「ただし、【弓術】は命中しないとスキル経験値が入らない」

「……当たらないと育たない?」

「そう」

「とんだ玄人向けでは?」

「そうだよ?」

「目が死んでる……!」

なんで相棒すぐ茨の道を行ってしまうん?

「運営は弓が嫌いなのかもしれない」

「……相棒、色んなゲームでそういう職選ぶ率高いよね」

「なんでだろうなぁ?」

哀愁が漂う半笑いの相棒。

おかしいね? 別に相棒、デジタルマゾヒストとかじゃないのにね?

「なんか、魔法とかで工夫できたらいいのにね」

「うん? 例えば?」

「ん-、風の魔法で矢をこう……強く射出する魔法を作るとか」

僕の適当な思い付きを言うと、相棒はふむと目を見張った。

「……有りだな。【風魔法】取るか」

「おー、上手くいくといいねぇ」

「上手く や(・) る(・) んだよ」

ヒントになったならなによりです。