軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

自身の成長を、感じる!

呪いがどうだと言われても、要は触れさせなければいいんでしょ?

たしかにいつまで経っても魔力切れは期待できない。

でも数がそこそこってだけで威力はぜんぜん大したことないし、ぶっちゃけ防ぐだけならいつまでも付き合っていられますが?

とはいえ俺だってそんな暇じゃない。

テキトーに盛り上げるところは盛り上げて、サクッと倒してしまえばいいのです。

だがしかぁし!

タイミングを計っているときにふと思った。

アレ、倒しちゃっていいんだっけ?

魔神なんだから生かしておく必要は皆無。でもそれは中身の話で、外側は帝国の皇帝さんである。

正直なところ帝国ってのは、かつて俺の家族を襲いやがった連中なので印象は最悪だ。その親玉ともなれば死のうがどうなろうが知ったこっちゃない。

でもシャルは俺を見送るときに言ったのだ。

『帝国の皇帝さんをお願いします!』ってね。

となればギーゼロッテからルシファイラを抜き取ったみたいに、いったん魔神の精神と皇帝の身体を分離させようそうしよう。

ところがここで問題が。

ギーゼロッテのときより融合具合というかくっつき度というか、二人の一体感が高い気がするのだ。言っててなんかキモいけど。

雑にやっちゃうと剥がすときに傷んじゃうかも。

というわけで、俺はじっくり観察することにした。

じーっと見る。

じぃーーっと視る。

中身が魔神ってのもあるのかもしれないが、頭の奥がチリチリ焼けるみたいな痛みを伴う。

それでも俺はひたすら見続けて。

ぱちり。

チリチリしていたところで何かが弾けたような音。

なんかヤバそう!

とびくびくしたものの、あれ?

皇帝さんの胸の中心部に、揺らめく何かを見つけた。いや元々あったのは知ってたけど、明瞭になったというか、境目がはっきりしたというか。

それだけじゃない。

俺のすぐ横。正確にはやや斜め後ろにいて俺の視界から外れていたテレジア学院長が、なんかあいつと話を始めたかと思ったら前に出そうになったので、『近づくと危ないっすよ』的に手で制したときだ。

視界に入った学院長が、いつもと違って見えた。容姿がどうのではなく、今までと見え方が違っていたのだ。

あー、なーほーね。

そういや学院長も神的な何かだったっけか。

人や魔族はその背中から魔法レベルの概念的な『糸』が出てる感じなんだけど、彼女のソレは明らかに違っていた。

羽、生えてますやん。

やや控えめな大きさながら天使の翼っぽい白いのが背中にちょこんとね。ヴィーイは灰色っぽいのが、こちらは学院長の三倍くらいでかい。

てかあんたら神ちゃうの?

なんで天使の翼やねん、とのツッコミはあとにして。

どうやら俺、これまでとは視野が広がった――いや、視座が高くなった感じか。

今までは魔神やら魔人やらの魔法レベルを測ろうとしたら頭が痛くなってまともに把握できなかったのだけど、今はなんら苦もなく覗けるようだ。

ヴィーイの魔法レベルは207か。

最大とか現在とかではなく、単純に数値がひとつだけ。

人類史上最高が77だから、ヴィーイは遥か上をいく。

ふつうに考えて絶望的な戦力差なんだけど、どういうわけか怖さを感じない。

おそらくヒントは学院長の言葉だ。

たしか『無尽蔵の魔力があっても瞬間的に扱える魔力は大したことない』みたいな。自信ないけど、そんなこと言ってた、はず。

てか俺自身の魔法レベルが2しかないのにいろいろできてる現状、その逆――つまり高すぎても実は大したことないってのもギーゼロッテやルシファイラとかで経験済みだ。

そんな諸々を考慮すると、勝利への道筋が見えて、かつ相手が油断している今こそ絶好の機会ってわけ。

まずは計画を頭の中でまとめあげ、その名も『魔神ヴィーイ捕獲作戦』の全容をシャルとユリヤにこっそり伝える。

今回は魔法少女メインのイベントだもの。

こっちで完結はさせない。ちゃんと弁えてるさ。

そうして俺は皇帝さんの胸の中心部に揺らめく何かを、結界で閉じこめる。

ギーゼロッテに取り憑いたルシファイラのときと同じく 三次元(いまのせかい) より 高い次元(たかみ) から、それでいてあのときとは違って明瞭な境界を丁寧になぞって結界を忍ばせ、外界から完全に遮断するため百を超えて重ねた。

念には念をね、大事です。

というわけで俺自身の成長を感じつつ、魔神ヴィーイを完全に封じこめたわけですが。

まだ向こうの攻撃は続いている。

どうやら〝聖なる器〟が命令されたまま自動的に黒い魔弾を撃ち続けてるみたいだ。

ま、この程度ならシャルたちには当たらんだろう。当たりそうになったら俺の結界が発動して守るしな。

さて、ここらでフィナーレといきますか。

「待たせたな、魔法少女の諸君。こちらの準備は整った。そちらも始めてくれて構わない」

俺はシヴァモードできりりと告げるのだった――。