軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

両陣営の反応やいかに?

今さら語るまでもないが、でっかい宝箱とか小っちゃい宝箱とかは俺が用意したものです。

自律型にしようとしたけど不測の事態が起こってはならない(俺のコピーはよく反乱を起こす)ので、遠隔操作で魔物っぽく動かしたりしていたのだ。

シャルを守る魔法陣的結界を作ったのも俺。

二枚を破壊される演出はなかなかスリリングでしたね。でも三枚目で謎時空に飛ばしたのはちょっと安直だったかな、と反省。

ところで『 七熾天使の護り(セラフ・シルト) 』ってなんですかね? すでに知っていたような口ぶりだったけど、俺が作ったのはあの場面でだよ?

即興で命名するとかシャルちゃんホントパネェですわ。

さて、最初のカード集めは終わった。

お互いに目的のカードをゲットして、お互いが満足して帰投した状況である。

カードを二つも用意した理由?

簡単な話だ。

双方とも内容は違うが『七つのカードを集める』という目的は共通している。

つまり、ひとつでもカードが相手に奪われると『相手を襲って奪い返す』話になってしまうのだよ。

それだと奇襲・闇討ち・不意討ちの応酬で収拾が付かなくなってしまいます。困ります。

ので、双方が納得できるようにしてあげたってわけよ。

……これ、わりと早い段階で破綻するんじゃないかな?

いや、きっと大丈夫さ。バレそうになったら臨機応変に対応すればいいし。

俺は将来の不安から目を背け、現実に目を向けることにした。

「ついに手に入れましたね。あらためてじっくり観察しますと……輝いています!」

目の前では、金色のカードに大興奮のシャルがいる。可愛い。

場所はティア教授の研究棟、その会議室だ。

「これは……左脚を描いたものでしょうか?」

金色のカードには意匠を凝らした文様のほかに左の脚がででんと描かれ、その中央に『6』と刻まれていた。

「へたくそな絵だな」

ライアスってそもそもこのメンバーに必要かな? いらないよな?

「わたくしは味わい深く感じます」

ほら~、やっぱわかる人にはわかるんだよなあ~。マジ天使。

そして空気を読まないイリスは淡々と語る。

「これが魔神復活のカギになるものだとすれば、この絵が示すのは、魔神の片方の脚部と考えられるね」

「バラバラになってんのかよ?」とのライアスの疑問にはお姉ちゃんが応じる。

「魔神の力を体の各部として示しているだけかもしれません」

それを受けてイリスが難しい顔をする。

「であれば、魔神の復活自体はこれひとつを押さえたからといって防げないかもしれないな」

はい! とシャルが元気に手を挙げた。

「逆に考えますと、マリアンヌ王女さまのおっしゃるとおり、ひとつを確保したために左脚分の弱体化には成功しているのではないでしょうか」

キリリと表情を引き締めて続ける。

「とはいえ、です。イリスさんの言葉に従えば、魔神復活を完全に阻止するためには七つのルシフェル・カードすべてを集め、封印しなければなりません」

また俺の関与しないところで設定が固まっていく。

「今回はうまくいったけれど、次も成功するとは限らない」

「なにせあっちには魔人なんて化け物がいるからな」

「油断はできませんね」

神妙な顔つきになる三人を鼓舞すべく、

「それでも世界を守るため、みなさんがんばりましょう!」

俺ではなくシャルちゃんが声高らかに叫ぶのだった。

にしても、あれだね。

思い込みの激しいシャルはいいとしても、イリスもライアスもお姉ちゃんもよくこんな茶番に騙されるもんだな。

ぶっちゃけ俺は不安でたまらない。

カード集めの現場に現れた新魔人の女はまあ、なんとなく頭が緩そうな気がしているので心配はない、と思いたい。

問題は文字通り王妃の皮を被った本物の魔神さんなんだが……。

俺はこっそりと女魔人(ヴァリって名前だったかな?)にくっつけておいた監視用結界を覗いてみた――。

「ご覧ください、ルシファイラ様。この禍々しいほどにあふれる魔力。目的のカードで間違いございません!」

離宮の一室、王妃の前で片膝をついて恭しく金色のカードを差し出す破廉恥な格好の女。

ヴァリとかいう女魔人は 得意満面(ノリノリ) である。

ワイングラスを片手に椅子に腰かけ、足を組む女王様スタイルで見下ろすのはもちろん王妃ギーゼロッテ。

疑いの眼差しにしか見えん表情で、じーっとカードを凝視している。

「ずいぶんと、無様を晒したようね」

冷ややかな言葉に、ヴァリがびくっと肩を跳ねさせた。

「ま、あの小娘の守りが確認できただけでも収穫ね。ケガの功名、結果オーライ。ええ、過程なんてどうでもいいわ。それが――」

ギーゼロッテ兼魔神はゆらりと立ち上がり、

「本物であればね」

比喩ではなく眼光がぎらんとなった。こわっ。

完全に委縮しているヴァリに歩み寄り、しげしげとカードを眺める。

こっちはシャルたちのカードと似たような文様だけで、そこに『6』と記してあった。なんか意味深な絵でも描いときゃよかったかなあ。

などと反省しても後の祭り。

さすがに神的何かの目は誤魔化されなかったか、と落胆したときだ。

「この忌々しくも心地よい魔力の質……あの女よりも格上の魔神か、下手をすれば三主神クラスね」

あの女って誰? 三主神とは?

「自身の魔力を変質……いえ、転換ね。そうして鉱物へ流しこんで蓄える。ただの魔力貯蔵とは比べ物にならないほどの純度で実現するなんて……」

また俺が知らんことをぶつくさ言い始めた魔神さんはカッと目を見開いて、

「ふふははははっ! これは信じざるを得ないわね。そして相手が誰だかも、かなり絞れてきたわ」

ぎくりとしたけど、きっと勘違いだ。俺にはわかるんだ。

というわけで、どうやら魔神さんチームも俺作成カードをなにか特別なものだと認識してくれましたとさ。

さて、次はどんな 戦場(シチュ) でやりましょうかね?

俺はシャルが好きそうな魔法少女アニメを見ながら考えるのだった――。