軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

脇役剣聖、久しぶりの会議

「ではこれより、会議を始める」

さて、あっという間に七大剣聖の会議が始まった。

周りを見ると、ちゃんと七人揃ってる……なんというか、こうして見て気付いた。

こいつら全員、強くなってる。

「今回の議題は……魔族だ」

団長が言う。

全員、微動だにせず聞いている……あのラストワンですら、いつもの軽薄な感じがない。

団長は重苦しい声で言う。

「そう遠くない未来、七大魔将、そして魔王による侵攻があると考えられる。恐らく……アルムート王国始まって以来、『破虎』ビャッコの侵攻すら超える戦いになるだろう。だが、我ら七大剣聖はアルムート王国が始まって以来、最強の集団となった」

まあそうだろうな。

『臨解』は七大剣聖になる最低条件だが、『神器』を発現させたのは歴史上そんなにいない。でも、今は七人全員が『神器』を獲得している。

それにしても。ラストワン、アナスタシア……こいつら、とんでもなく強くなってるな。

見ただけでわかる。サティやエミネムでは相手にならないくらい強くなった。恐らく、今なら単騎でビャッコを倒せるだろうな。

ロシエル、ランスロット……こいつらも。

「ラスティス」

「へ?」

「……貴様、聞いていたのか?」

「え? ああ、はい……昨日はごちそうさまでした」

「…………」

しまった、全然違うわ。ってかなんだごちそうさまって。

団長の額に青筋が浮かんでいる。やばい、マジで何のことだ。

「……摸擬戦闘のことですよ」

「あ、ああ。すまんランスロット……摸擬戦闘ね、摸擬戦闘。えっと……」

「……一度、気を引き締める必要があると言ったのはお前だろう。お前から説明しろ」

「は、はい」

そうだ、ちゃんと説明しないと……げほんげほん。

◇◇◇◇◇◇

俺は立ち上がり、軽く咳払いした。

「あー、改めて説明するけど、俺たちは七大魔将『滅龍』カジャクトを退けた。んで、カジャクトは魔王から見限られてな……俺たちと手を組み、魔王を倒すと約束してくれた」

この件、団長にきちんと説明した。最初は「七大魔将を信用するのか」とか言われたが……もし暴走したら俺が始末するって約束した。まあ、そんな心配はないけどな。

「で、俺はそのまま『緑鹿』シンクレティコを討伐。七大魔将は四人倒して、残りは魔王と三人だけ」

ラクタパクシャはわからんけど、残り二人の七大魔将とは戦いになるかも。まあ……心配は他にもある。

「問題は、魔王」

魔王アザトース。

見た目はガキだったけど、たぶん違う。

「ルプスレクスに前魔王が負けて、前魔王は引退……その力を全て息子に渡したって話だ。今いる魔王は、前魔王の息子。名前はアザトース……こいつ、ルプスレクスに復讐するために人間界に侵攻することもためらわないって感じだった。前魔王は人間界を領土にするために、今の魔王は復讐のために……動機としては、今の魔王のが厄介だ」

恐らく、アザトースは領土なんてどうでもいい。

親父を殺したルプスレクスに復讐するために、ルプスレクス……いや、俺を狙うはず。

「今のうちに言っておく。魔王アザトースは、俺が倒す」

全員、何も言わなかった……ってか、そろそろ何か反応して欲しい。

「予想だけど、七大魔将の補充とかあるかもしれん。その時はみんなに任せるわ」

「軽く言うねぇ……でもま、任せとけよ」

ラストワンが、ようやく軽薄な笑みを見せてくれた。

さて、ここからが本題。

「さて。とりあえずこのまま進めちゃっていいっすかね?」

「好きにしろ」

「じゃあこのまま。現在、アルムート王国にいる『戦力』……まあ、『神スキル』持ち限定にしますか。どのくらいいます?」

すると、アナスタシアが。

「私たち七大剣聖。サティ、そして、団長の娘エミネム、ランスロットの部下二名……すぐに出るのはこれくらいね」

「まあそうだな。団長、戦力としてどうです?」

「……一般兵、騎士にもスキル持ちはいる。お前たちほどではないが、魔獣や魔族相手ならなんとかなるだろう」

「上級魔族相手は?」

「……」

「『 理想領域(ユートピア) 』を使う魔族を相手にするには、やっぱり神スキル持ちが必要です。団長は兵士の総指揮、俺は魔王と、仮に七大魔将が補充され七人いるとして……七大剣聖五人じゃ相手できない。最低でもあと四人、神スキル持ちが欲しい」

「おいおいおいおい、四人って……どういう振り分けだよ?」

「七大魔将相手だ。全員がタイマンに持ち込めるわけじゃないし、そうならない場合もあるだろ? 上級魔族もいるだろうし、団長の指揮下で戦う神スキル持ちは必要だ。多ければ多いほどいいけど、四人は欲しい……最低、『臨解』を使えるヤツ」

「サティちゃん、エミネムちゃんは?」

「あいつらは七大魔将相手に引かない気概はあるが、実力不足だ。ランスロット……お前のとこの二人もそうだろ?」

「……そうですね。上級魔族相手なら問題はないですが、七大魔将は無理です。実力云々より、経験が足りません」

「そういうこった」

するとラストワンが言う。

「七大剣聖と七大魔将のタイマン勝負、んで魔王との戦い……ってわけじゃないんだな」

「ああ。協力して、確実に倒すスタイルでいこう。当面は、神スキル持ちの捜索と勧誘、そして……」

俺はランスロットを見ると、ランスロットも俺を見ていた。

「俺らの実力向上、だな」

「そうですね。ラスティス……私も腕が鈍りそうですので、お相手していただければ」

「いいぜ。今のお前なら、俺もマジになれそうだ」

ランスロットは強い。今のこいつは、闇を抱えていたころのランスロットじゃない。

俺も、神器を使わないとダメかもな。

するとラストワンがパンパン手を叩く。

「いいねいいね、天才剣士ランスロットと、最強の脇役ラスティスの戦いか。こりゃ面白いぜ」

「なーに言ってんだラストワン」

「あ?」

俺はラストワン、アナスタシア、そして黙っていたフルーレに言う。

「お前ら三人も強くなったんだろ? だが、そこで満足してもらっちゃ困る。久しぶりに、俺が稽古付けてやる……お前ら三人同時にな」

すると、ラストワン、アナスタシア、フルーレの眉がぴくっと動いた。

いいね、少しキレてやがる。

「おいラス、あんまナメんなよ? オレ、マジで強くなったぜ?」

「その言い方がダメなんだよ。強くなったのはわかるけど、そこで満足してるような口ぶりだ。その余裕、俺が叩き直してやる」

「……言うじゃない」

「アナスタシア。お前もだぞ……俺に負けたら、ギルハドレッドの俺の屋敷でメイド服着てご奉仕してもらうからな」

「……あなた、最強だからって調子に乗り過ぎね」

「フルーレ。お前も負けたらメイド服な。アナスタシアと並べて「お帰りなさいませ~」って言ってもらうぞ。覚悟しろよ」

さて、煽ったつもりなのだが……アナスタシアとフルーレに気持ち悪い物を見るような目で見られてしまった。ラストワンは笑いだす寸前だし……メイドとか言わなきゃよかったぜ。

そしてロシエル。

「ロシエル。お前も、そろそろ一度は全力出すとこ見せてもらうぜ。もし全力を出さないようだったら、口が軽くなるかもな」

「……!!」

なあ、ミルキィちゃん……と、思うだけで言わない。

だが、ロシエルは俺が何を言おうとしているのか察し、俺を睨む。

最後、団長が締める。

「では、七大剣聖による訓練、そして神スキル持ちの捜索を最優先として行動するように。七大魔将の動きを察知したら、すぐに報告、共有せよ」

こうして、会議は終わった。

なんか俺が喧嘩売っただけのような気もするが……まあいいか。