軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

七大魔将『滅龍』カジャクト①/竜族最強

四人の戦いが終わり、残りは俺、そしてカジャクトだけ。

俺は冥狼斬月を手に、空を見上げて深呼吸した。

すると、サティがそっと俺の袖を掴む。

「……師匠」

「ん?」

「……あ、あたしでもわかります。あの人……と、とんでもなく強いです」

サティは震えていた。

サティだけじゃない。エミネムは大量の汗を流し、スレッドは歯を食いしばって厳しい顔をして、フルーレは腕を組み震える身体を抑えつけている。

ロシエルだけは変わらないように見えたが、一筋の汗を流していた。

原因は一つ……カジャクト。

七大魔将『滅龍』カジャクトが、とんでもない闘気を漲らせ、仁王立ちで俺を待っていた。

「ああ、確かに強い。間違いなくビャッコ以上……というか、比べるのが失礼なくらい格上だな」

「……し、師匠」

「なんだお前。俺が負けるとでも思ってんのか?」

サティの頭をポンポン撫でると、サティはくすぐったそうに眼を閉じる……なんか、猫みたいだな。

「あいつは強い。でも、俺とルプスレクスの最強コンビが負けるわけないだろ」

「う……」

「大丈夫。終わったらみんなでメシでも食おう。その後は風呂だ風呂。俺、作り直したばっかの風呂、もっと堪能したいんだよ」

「……ほんとにお風呂好きですね」

「当然だろ」

「……ふふ、師匠はいつも通り、師匠でした。よし、心配やめます!! 師匠、明日からまた修行をお願いしますね!!」

「おう。じゃあ、行って来る」

エミネム、スレッド、フルーレ。そしてロシエルに目配せし、俺は前に出た。

よーく見ると、滅龍四天王たちもカジャクトから目を離せないようだ。あれほど本気になった姿を見たことないのかもしれないな。

カジャクトの前に立つと、嬉しそうにほほ笑んだ。

「とうとう、この日が来たわ。ラスティス、そしてルプスレクス」

「おう。っと……おい、お前も何か言えよ」

『ボクの声、キミにしか聞こえないから意味ないよ。でもまあ……久しぶりって伝えておいて』

「……カジャクト、ルプスレクスが『お前と戦う日を楽しみにしてた』ってさ」

『ちょ、嘘言わないでよ!!』

「ほんと!? んふふ、その言葉を聞いてさらにやる気出てきたわ!!」

カジャクトは牙を剝き出しにすると、拳をボキボキ鳴らす。

「ラスティス・ギルハドレット!! 『冥狼』ルプスレクス!!」

「……!!」

「私は七大魔将最強『滅龍』カジャクト!! 魔族最強である竜族!! さあ、命を賭けて至高の戦いを!!」

「七大剣聖序列六位『神眼』ラスティス・ギルハドレットだ。さあ、始めようぜ!!」

憎み合い、殺し合い、恨み合いではない。

互いの誇りを賭けた戦いが始まった。

◇◇◇◇◇◇

先手必勝。

「『 閃牙(せんが) 』!!」

始まると同時に抜刀、得意の居合による斬撃を放つ……が。

「さあ、行くわよ!!」

あれ……き、斬ったよな?

気付いていない。というか、斬れていない。

すると、カジャクトの右腕が鱗、そして黒い岩石のような外殻に包まれ巨大化する。

「『 凱黒竜拳(がいこくりゅうけん) 』!!」

「っ!?」

『ラスティス、避けろ!!』

俺は飛び退く。すると、カジャクトの拳が地面にめり込み、とんでもない轟音と爆発、そして振動で周囲が揺れた。

恐ろしい一撃。もしビャッコに命中したら、一撃でビャッコは死んでいただろう。

これにはルプスレクスも驚いていた。

『こいつ、かつてボクがあしらった時とは別人……!!』

「お前に負けたの悔しかったんだろうさ!!」

着地。すると、すでに接近していたカジャクトの右足が黒い外殻に包まれる。

「『 凱黒竜脚(がいこくりゅうきゃく) 』!!」

「っ、『 開眼(かいがん) 』!!」

先読み───だがこいつもビャッコと同じかそれ以上。

予想を上回る速度。先読みと動きのタイムラグがほぼない。

俺は全力で身体を捻って蹴りを躱すと、蹴りの衝撃波が地面を抉る。

そして、全力で捻った状態で剣を地面に刺し、無理やり体勢を整えた。

「オラァ!! ぶん殴る!!」

両腕が黒い外殻……いや、ありゃもう鎧だ。黒い鎧に包まれる。

そして、俺に接近しての連続ラッシュだ。

「師匠!!」

サティが叫ぶ。

そりゃ、一撃喰らったら人間である俺の身体は間違いなく破壊されるだろうよ。でも……いかに『開眼』で見てタイムラグがなくても、俺にはこれまでの戦闘経験がある。

「この、ちょこまかと!!」

俺は開眼状態で、攻撃を躱すのではなく、カジャクトの動きを見て攻撃を予測し技を躱す。

戦ってわかった。カジャクトは確かに強い……でも、武術に関してはほぼ素人だ!!

「『閃牙・瞬』!!」

「いだっ!?」

「『閃牙・顎』!!」

「うぎっ!?」

攻撃を躱しつつ、剣技を叩きこむ。

ほんのわずかな切り傷しか付かない。でも、ダメージは通っている。

「速い……っ、でも!! これでどうよ!!」

「っ!!」

速度が増した。

両拳、そして両足に黒い鎧が現れると、速度が劇的に増した。

カジャクトはその場で俺を囲むように回転して動く。あまりの速度に残像が見え、カジャクトが一斉に分身したように見えた。

「これでも躱せるかなぁ!!」

「いけるさ。なあ……ルプスレクス!! 『 抜刀(ばっとう) 』!!」

納刀から抜刀すると、俺の身体にルプスレクスの鎧が装着される。

身体が軽い、力が沸いて来る。

『サポートは任せて』

「ああ、行くぞ相棒!!」

カジャクトが接近すると、『狼尾刀』がカジャクトを弾く。

驚くカジャクト。だが、すぐ理解した。

「その尾……ルプスレクスね!? 会いたかったわ!!」

『やれやれ、本能でボクの意思を感じ取るとは……ちょっとボクもキミに興味出てきたよ』

「カジャクト!! ルプスレクスがお前に興味津々だってよ!!」

「え、ほんと!? そりゃ嬉しい、わっ!!」

カジャクトは、狼尾刀と鍔迫り合いするように拳を合わせる。

俺も接近、必殺技の一撃を放つ。

「『色即是空』!!」

「───っ!?」

スパン!! と、カジャクトの右腕が綺麗に斬れた……が、カジャクトは腕をキャッチし、断面を合わせる。それだけで何もなかったようにまた向かって来る。

だが、斬れた。

俺の三つある切り札の一つなら斬れる。

「カジャクト、まだまだ行くぞ!!」

「ええ、ブチ殺してやるわ!!」

このまま押し切って、こいつを倒す……!!

◇◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇

戦いが続く中、サティは目が離せなかった。

ラスティス、そしてカジャクトの戦い。

サティだけではない。フルーレたちも、そして滅龍四天王たちも……自分の主の本気を目の当たりにして、目が離せなかった。

「……師匠、何だか楽しそう」

ここに、怒りや恨みはない。

戦うための強い意志、そして誇りを賭けた両者の想いだけがあり、見る者全員が魅了される『熱』が籠っていた。

サティは、小さく言う。

「……師匠、私……なんだか羨ましいです」

そう呟き、サティは二人の戦いに魅了されるのだった。